旗を掲げよ
掲載日:2026/10/29
どこからか声が飛んでくる。
「来たぞ、来たぞ。彼らが来たぞ」
それが何を報せる声か、子供の無邪気な声だけではわからない。
だが、それがどんどんと建物の隙間という隙間、壁という壁にこだまし続け、音他の耳に届くころには意味を成す。
「来たのか、とうとう彼らが」
それは絶望を希望へ変える声。
見捨てられたという心証を、救われたと確信させる声。
村の中にある建物という建物の中から、扉が開かれて彼らを出迎える。
「英雄たちよ、万歳!国王陛下、万歳!!」
誰かの声が子供の嬉しそうな声をかき消していく。
村は敵からの、全くと言っていいほど人外の侵略に耐えていた。
そして繰り返す侵略に耐えて耐えて、いよいよその制圧のための軍勢がやってきた。
「旗を掲げよ!われらは一つ!我が旗のもとに!!」
王子が馬に乗り、そして軍勢の先頭を歩いている。
そして人は歓呼の声をあげ、彼らを出迎えている。
これからどうなるのか、ということについてはただ誰もわからない。
だが、この王子であるドレイスト・グッディはその後、グッディ家の家祖とされ、さらに今につながるグッディ家、アマーダン財閥の直接の源流となることはよく知られている。




