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噛み潰す願い

完璧な初心者なので読みづらいかもしれませぬ。


読んでいただけたのは嬉しいです!


ぼちぼち投稿していくのでよろしくお願い致しまする。

どんな死に方なら自分は納得できるだろう。


死とは誰もが迎える怖いもの。避けられないもの。先延ばしにしたいもの。


本能が拒絶する絶対のその事象には、本来「納得できる」なんてことは無いのだ。


しかし、納得せざるを得ない。生物が産まれた瞬間から背負い続ける心地の悪いその矛盾を積んだ重荷。


ならば、これをどう軽くするのか。どう背負っていくのか。どう向き合うべきなのか。

これに気づける人間は相当な経験者か手練れくらいなものだろう。


死に際にこそ、自分の命の価値を悟るものだと誰かが言っていたような気がするが、人生100年と言われているこの時代だ。

「100年やるから命の価値を探してこい」と言われても、ただただ酷に感じて仕方ない。


ゴールが100キロ先にあると最初から言われ、途中リタイアも可能ですともなれば、大抵の人間は道を逸れてしまうのではないのだろうか。

しかも、ゴールの方角は人それぞれですときたものだ。


そんなもの持久力が余程なければ、自分の存在とは?命の価値は?俺の人生ってなんだったの?だの。

これの答えに辿り着くことなど難しく思えてくる。


それ程まで感じてしまうのは、きっと俺が何者かになりたくても、なれていない現状のもどかしさが原因の一端なのだろう。


17歳という年頃でありながら、インターネットの普及により、やりたいことや夢を語る者が俺の周りには案外いた。

しかしながら、今の俺にはそれが無かった。

そんなところからか、俺は焦りらしきものが噴き出してくるようで、いつしか俺は「捻くれ者」のレッテルを貼られるような人間になっていたのだ。



「華の金曜日」こんな古い言葉に唆されて、バカ共はすぐに浮かれて騒ぎやがる。

世の中不況の真っ只中で皆苦しんでいるというのに。それでいて、また給料日の前の週くらいから節約だなどと安い言葉で触れ回るのだろう。


世の中なんてバカばかりだ。まるで「奇跡も魔法もあるんだよ」とでも言わんばかりの無計画に縋り、今ばかりを生きようとする者が多すぎる。


そんなことを思いながら勉強の合間、休憩中に窓の外に目をやると、日常の嫌悪する光景が今日も広がっているのだ。そして俺は思わず口癖を漏らす。


「まったく呆れるよ。」


ため息と共に吐きでるこれは、気づけば俺の口癖になっていた。

物心ついた頃から何となく使っていた言葉ではあったが、まさか定着するなんて。


思い返してみれば、体感、これまで生まれてから死ぬ程の幸福や幸運を頂戴したことが無かった様にも感じる。


ずっと平坦な道のりであったようにも思う。ただ環境に従って、誰かに言われたことを実行し、些細な意志を途中、介入させてみたりする。


そうやって、何となく自分の「生」らしきものを実感しようと無意識にでも動いてはみたものの、それしきのことでは、この巨大な環境なる怪物に一石を投じることなど虚しいのみ。


ただただ与えられた勉強をこなすこと以外、俺にはやるべき事が見えなくなっていた。


「本当にまったく呆れるよ。」


遅くはなったが、そんな17歳に有るまじき言葉が口癖になってしまった時代の被害者ともいえる俺の名前は、木内 寿征(きうちじゅぷとる)だ。


少々話は逸れるのだが、この名前を聞いた人間のリアクションは、大体はいつも決まって頭に?マークを浮かべるものだ。もう慣れている。


一応言わせてもらうと、キラキラネームではない。別に親がポケ〇ン好きでとかそういうことでは断じてない。


みんなが気にかかっている寿征については、寿(ことぶき)(せい)すると書く訳だから、つまりはウェディング系統の能力者に〜という両親からの熱いメッセージであると、俺は勝手に受け取っている。


だから世間で言う、音を重視したキラキラネームなるものでは絶対無いのだ。ただ純粋なる寿征。それが俺だ。


さて、前置きが少し長くしまったが、俺はいつものように退屈にも自室で猛勉強をしていた。


「今日は暑いな。珈琲でも取りに行くか。」


この日は今年の夏の中でも、特に暑い日だった。

ちょっと背伸びして飲んだブラック珈琲も、今ではすっかり慣れたもので、2階の自室から1階へと取りに向かう。


「あれ?珈琲無いじゃないか。」


お母さんが買い忘れたのである。

ちなみに、寿征のお母さんは「四千頭身炒飯」という中華料理屋を営んでおり、とても忙しい身であった。

その為、寿征は幼少期のころから母親とのそれらしい思い出の類を持ち合わせてはいなかった。


「お袋ー、珈琲はー?」


静かな我が家からは沈黙のみが顔を出していた。


「なんだ、お母さんお店忙しいのかよ」


やや不愉快な状況を確認した寿征の表情は、思っていた以上に曇りであった。


17歳の男子特有のキレやすさ(個人差があります)もあるのだが、どこか寂しさも含んでいたことが、先程の素の呼び方が不意に出てしまった事で気付かされる。


念の為に説明しておくと、男子の思春期に発症する、いわゆる成長病の1つだ。

「お母さん」や「ママ」と言った親しみ慣れた呼び方が急に気恥しくなり、突如「お袋」や「母さん」、強気に「ババア」、名前を忘却する者が「おい」、

希少種に「ファーストネーム呼び」等がいたりする。


いつもは気を張ってはいるが、色付いた灰色の日々たちに、思わず高く積んだ心の壁を飛び越えてくるものがある。


「しゃーない、買いに行ってくるか」


寿征は我が家に別れの一言を残し、コンビニへと向かう。


家からコンビニまでは、徒歩で約10分程。

とぼとぼと歩いている道中、「寿征ー!」と秋風のような元気な呼び声に足を止めた。


前方20m先くらいだろうか、そこには黒髪ショートが良く似合わない、青い瞳、透き通る肌、花柄のワンピースに薄茶色の品のあるサンダルを装備した娘がスっと進路に立ち塞がっていた。


寿征「松井か。何してるんだ、そんなとこで。」


彼女は松井(まつい) 桜実夢(ちぇりむ)。キラキラネームだ(偏見です)。


桜実夢「寿征こそ、ボケっと歩きよって。危ないであろうが。」


……この独特な言い回しが彼女の特徴の1つだ。

俺は髪の毛ロング女子が好みなので、先程は似合わないとか言ったが、実際は背丈も160cmくらいでスラッとしているし、可愛い容姿をしている。


しかしながら、時代と容姿にミスマッチのこの言い回し。

慣れるまで、ちょっと脳の処理が遅れてしまう。


寿征「珈琲を買いにコンビニに行くところだよ。危ないってお前、車なんか全然通ってないだろ。電柱とかも無いし。それに勉強の合間に脳を休めてるだけでボケっとなんかしてない。」


寿征には、心配を含んだ言葉が効果抜群だったようで早口で返答してしまう。


桜実夢「まったく、1言うと10返してくるな寿征は。だから女にモテんのだそ。」


呆れ顔でクリティカルを放たれてしまう。


寿征「は?モテようとか別に思ってねぇし。恋愛とかくだらねぇって思ってるし。フラれたこととかも全然無いしな(告白をしたことがない)。」


またも早口で応戦してしまう寿征に、桜実夢はにんまりと笑いながら応える。


桜実夢「容姿は悪くないのになぁ。その性格ではなぁ。」


実際、寿征の容姿は悪くなかった。

整った顔立ちに、痩せ型ながらにほんのり筋肉質。

血色の良い肌艶に、キューティクルの際立つ程良い長さの髪。そしてギザギザの前髪。


寿征「性格も悪くねぇよ。ボランティアとかするし。って言うか、珈琲買いに行くだけなのにダル絡みすんなよな。」


桜実夢と寿征は小学生の頃からの付き合いで、登下校の班が同じだったり、家が近かったりと何かと腐れ縁で結ばれていた。

その為ズケズケとした物言い合いができるのだった。


桜実夢「はぁ。本当に口うるさい奴よ。それでは、気をつけて行くのだぞ」


寿征「言われなくてもそうするよ。」


そうして、すれ違う2人。ありふれた日常に少しイラッとはしたものの、先程感じさせられていた寂しさのようなものは、桜実夢とのやり取りで薄らいだ気がした。


こうしてコンビニまでダラダラと歩き、無事に到着し、珈琲ととん〇りコーンを購入。

帰り道の道中、あまりの暑さに我慢できず珈琲を1口飲む。

やはり珈琲は美味い。


ありふれた日常は、ありふれていてこそなのだ。

毎日同じようなサイクルで進む平坦な人生。たまには登り坂もあるが、乗り越えられる程度のもの。

下り坂等が見えた時には、なんと幸運な人間なのかとある種の強者感すら覚えることもある。


訳もわからず幼稚園にいて、ハッとしたら小学生になっていて、あっという間に中学生、気づいてみたら高校生。


これまでの中で、敵わないほどの不便と不自由に出会ったことがない気がする。

大抵のこういったことは諦めてしまえば、そのうちに忘れてしまっているし、頑張れば乗り越えることもできた。


あぁ。考えてみては感じる。これは幸せなのだと。


見知った街並み。聞き覚えのある環境音。触れたことのある人間関係。味わったことのある食事。嗅いだ覚えのある匂い。


安心する。心の底から無警戒になる。


これらが泥沼のように混ざり合って、包まれて出来上がった生ぬるい日常には感謝しかないだろう。


そうして見えなくなっていく。ありふれた日常、幸せの裏側には、すぐ不幸のみが潜んでいることを。


暑い夏。いつも通りだ。


コンビニの美味い珈琲。いつも通りだ。


帰りは軽快な下り坂道。いつも通りだ。


騒がしい人集り。響き渡るサイレンの音。滲み出る赤に広がる黒。

上がる歓声はなんだか俺を呼んでいるようだった。


「………。」


おかしい。俺の呼びかけに対する反応が返ってきていない。


「……………。」


いや、違う。これは俺の方に問題が……。


気付いた時には、黒がほぼを支配していた。


ちょっと待って……まだ俺にはやる……こと……。


痛みを感じる隙も無いほどの出来事であったのに、思考と意識はスローモーションに。


まるで最後の晩餐かのように、終わり際を味わわされる。


夏の暑い日、想像とはかけ離れた形で噛み砕かれた、ありふれた日常。


この日、俺は死んだんだ。

読んでいただきありがとうございまする!


まさかここまで読んでいただけるとは……。


本当に感謝……!


これから面白くしていくので、これからもご愛読のほどよろしくお願い致しまする。

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