【スペースオペラ】船長ブルは吠えない
俺の名前は、ブル。フレンチブルドッグだ。体重は十キロ。耳は立っていて、鼻はぺちゃんこ。顔にはシワがたくさんある。見た目は、ただのかわいい犬だ。しかし、俺には秘密がある。俺は、天才だ。IQは二百を超える。そして、俺は宇宙船の船長だ。
俺の船は「ホープ号」という名前だ。小型の個人宇宙船だが、性能は抜群だ。ワープ航法も搭載している。この船で、俺は宇宙を旅している。クルーは二人。いや、二匹だ。一人は、パグのパギー。もう一人は、ルリコンゴウインコのルリ。
パギーは、俺と同じ犬だ。しかし、性格は正反対だ。俺が冷静なら、パギーは陽気だ。俺が計画的なら、パギーは行き当たりばったりだ。でも、パギーは優秀な航法士だ。宇宙のどんな場所でも、正確にナビゲートできる。
ルリは、美しい鳥だ。羽は青く、尾は長い。声は大きい。いや、本当に大きい。ルリは、通信士だ。どんな言語でも、瞬時に翻訳できる。そして、どんな信号でも、受信できる。
俺たちは、首に特殊な翻訳機をつけている。この機械のおかげで、俺たちは人間や他の種族とコミュニケーションが取れる。俺たちの声は、機械を通じて、相手の言語に翻訳される。便利だ。
その日、俺たちは銀河系の端にいた。目的地は、惑星ザナドゥ。そこには、希少な鉱石がある。俺たちは、その鉱石を採掘して、売る予定だった。単純な仕事だ。
しかし、計画は変わった。突然、ルリが叫んだ。
「船長!緊急通信です!」
「どこから?」
「惑星ザナドゥからです!助けを求めています!」
「内容は?」
「海賊に襲われているそうです!」
俺は、考えた。海賊。面倒だ。しかし、助けを求められて、無視するわけにはいかない。俺は、決断した。
「パギー、ザナドゥに最速で向かえ」
「了解、船長!」
パギーは、操縦桿を握った。そして、ワープボタンを押した。船が、光に包まれた。数秒後、俺たちは惑星ザナドゥの上空にいた。
下を見ると、街が炎に包まれていた。海賊船が、上空を飛んでいる。大型の戦艦だ。俺たちの船より、はるかに大きい。
「船長、どうします?」
パギーが聞いた。俺は、冷静に答えた。
「戦う」
「本気ですか?あの船、俺たちの十倍はありますよ」
「関係ない。やるぞ」
俺は、武器システムを起動した。ホープ号には、レーザー砲とミサイルが搭載されている。小型船にしては、強力だ。
「ルリ、海賊船に通信を送れ。攻撃を中止しろと」
「了解です、船長」
ルリは、通信を送った。しばらくして、海賊船から返信があった。スクリーンに、海賊の船長が映った。それは、巨大なトカゲのような生き物だった。ドラゴニアンだ。
「何だ、お前は。小さな船だな」
ドラゴニアンの船長が言った。俺は、冷静に答えた。
「俺は、ホープ号の船長、ブルだ。攻撃を中止しろ」
「ブル?犬か?ははは、笑わせるな」
「笑うな。真剣だ」
「犬が船長だと?面白い。では、お前の船を撃沈してやろう」
ドラゴニアンの船長は、通信を切った。そして、海賊船がこちらに向かってきた。レーザー砲が、充電を始めた。
「船長、来ます!」
パギーが叫んだ。俺は、冷静に命じた。
「回避しろ」
パギーは、操縦桿を動かした。船が、急旋回した。海賊船のレーザーが、俺たちの船をかすめた。危なかった。
「反撃しろ」
俺は、ミサイル発射ボタンを押した。ミサイルが、海賊船に向かって飛んでいった。しかし、海賊船はバリアを展開した。ミサイルは、バリアに当たって爆発した。効かない。
「バリアがあります!」
ルリが言った。俺は、考えた。バリアか。厄介だ。しかし、バリアには弱点がある。エネルギーを大量に消費する。長時間は維持できない。
「パギー、海賊船の周りを回れ。攻撃を続けろ」
「了解!」
パギーは、船を高速で旋回させた。俺は、レーザー砲を連射した。海賊船のバリアに、次々と当たる。バリアが、少しずつ弱くなっていく。
「もう少しだ」
俺は、さらに攻撃を続けた。そして、ついにバリアが消えた。チャンスだ。俺は、ミサイルを発射した。ミサイルが、海賊船のエンジン部分に命中した。大爆発が起きた。
「やった!」
パギーが叫んだ。しかし、海賊船はまだ飛んでいた。エンジンが一つ破壊されただけだ。他にもエンジンがある。
「まだだ。もう一撃」
俺は、再びミサイルを発射した。しかし、海賊船は反撃してきた。レーザー砲が、俺たちの船に命中した。船が、大きく揺れた。
「損傷しました!シールドが三十パーセント減少!」
ルリが報告した。俺は、歯を食いしばった。このままでは、やられる。何か策を考えなければ。
その時、パギーが言った。
「船長、俺に考えがあります」
「何だ」
「あの海賊船、大きいですよね。つまり、小回りが利かない」
「それで?」
「俺たちは小さい。小回りが利く。それを使いましょう」
「どうやって?」
「海賊船の死角に入るんです。そして、近距離から攻撃する」
俺は、考えた。確かに、それは有効かもしれない。しかし、危険だ。近づきすぎると、こちらもダメージを受ける。
「やってみろ」
俺は、パギーに任せた。パギーは、操縦桿を握った。そして、船を急降下させた。海賊船の下に潜り込んだ。海賊船のレーザー砲が、俺たちを狙う。しかし、当たらない。俺たちは、速すぎる。
「今だ、船長!」
パギーが叫んだ。俺は、すべてのミサイルを発射した。六発のミサイルが、海賊船の腹部に命中した。連続爆発が起きた。海賊船が、傾いた。そして、煙を上げながら、惑星の大気圏に突入していった。
「やった!」
パギーが叫んだ。俺も、安堵した。海賊船は、墜落した。俺たちの勝利だ。
俺たちは、惑星ザナドゥに着陸した。街の住民たちが、俺たちを迎えた。彼らは、人間に似ていたが、肌が青かった。ザナドゥ人だ。
「ありがとうございます、船長ブル」
ザナドゥ人のリーダーが言った。俺は、首を振った。
「いや、当然のことをしただけだ」
「いいえ、あなた方がいなければ、私たちは全滅していました」
「海賊は、何が目的だったんだ」
「鉱石です。私たちの惑星には、希少な鉱石があります。海賊は、それを奪おうとしたのです」
「そうか」
俺は、考えた。鉱石。それは、俺たちも目的だった。しかし、今は言えない。
「あなた方に、お礼をしたいのです」
リーダーが言った。
「何か欲しいものはありますか」
「いや、特には」
「では、鉱石を差し上げます」
リーダーは、小さな袋を俺に渡した。中には、青く輝く鉱石が入っていた。
「これは?」
「ザナドゥ鉱石です。非常に希少で、高価です」
「いいのか」
「はい。あなた方への感謝の印です」
俺は、鉱石を受け取った。ありがたい。これで、しばらく資金に困らない。
俺たちは、惑星ザナドゥを後にした。次の目的地は、宇宙ステーション「ノヴァ」だ。そこで、鉱石を売る予定だ。
しかし、その途中で、また問題が起きた。突然、船が停止した。エンジンが動かない。
「どうした、パギー」
「わかりません。突然、エンジンが止まりました」
「ルリ、何か異常は?」
「スキャンします。……船長、外部から何かの信号を受信しています」
「信号?」
「はい。妨害電波のようです」
俺は、窓の外を見た。すると、大きな宇宙船が近づいてきた。それは、軍艦のようだった。しかし、どこの国の船かわからない。
「ルリ、通信を送れ」
「了解です」
しばらくして、スクリーンに映像が映った。それは、人間の男性だった。しかし、目が赤く光っている。サイボーグか。
「お前たちは、ホープ号か」
男が言った。俺は、警戒しながら答えた。
「そうだ。お前は?」
「俺は、バウンティハンター、ザックだ」
「バウンティハンター?」
「そうだ。お前たちに、賞金がかかっている」
「何?」
俺は、驚いた。賞金?俺たちに?
「なぜだ」
「お前たち、海賊船を撃墜しただろう」
「ああ、惑星ザナドゥで」
「その海賊船の船長は、ドラゴニアン帝国の王子だった」
「王子?」
俺は、さらに驚いた。あのドラゴニアンが、王子だったのか。
「ドラゴニアン帝国は、お前たちに賞金をかけた。生死を問わず、一千万クレジット」
「一千万?」
「ああ。俺は、その賞金を手に入れる」
ザックは、通信を切った。そして、彼の船が、武器を充電し始めた。
「船長、どうします?」
パギーが聞いた。俺は、考えた。戦うか、逃げるか。しかし、エンジンが動かない。逃げられない。戦うしかない。
「戦う」
「了解!」
俺は、武器システムを起動した。しかし、ミサイルはもうない。さっきの戦闘で、すべて使い切った。残っているのは、レーザー砲だけだ。
「レーザー砲で戦うぞ」
「了解です、船長」
ザックの船が、攻撃してきた。レーザー砲が、俺たちの船に命中した。船が、激しく揺れた。
「損傷しました!シールドが五十パーセント減少!」
ルリが報告した。俺は、反撃した。レーザー砲を連射した。しかし、ザックの船はバリアを展開していた。効かない。
「バリアがあります!」
パギーが叫んだ。俺は、歯を食いしばった。またバリアか。厄介だ。
その時、ルリが言った。
「船長、私に考えがあります」
「何だ」
「私の声です」
「声?」
「はい。私の声は、非常に大きいです。もし、通信を開いたまま叫べば、相手の通信システムを妨害できるかもしれません」
「本当か」
「やってみます」
ルリは、通信を開いた。そして、大きく息を吸い込んだ。そして、叫んだ。
「キャアアアアアアアア!」
その声は、凄まじかった。俺の耳が、痛くなった。パギーも、耳を塞いだ。そして、ザックの船が、動きを止めた。通信システムが、麻痺したのだろう。
「今だ、パギー!エンジンを再起動しろ!」
「了解!」
パギーは、エンジンを再起動させた。妨害電波が消えたのか、エンジンが動き始めた。俺は、すぐにワープボタンを押した。船が、光に包まれた。そして、俺たちは逃げた。
ワープ後、俺たちは安全な場所にいた。ザックの船は、追ってこなかった。俺は、安堵した。
「助かった。ルリ、ありがとう」
「どういたしまして、船長」
「しかし、賞金がかかったか。面倒だな」
「どうします、船長?」
パギーが聞いた。俺は、考えた。賞金がかかった以上、バウンティハンターが次々と襲ってくるだろう。俺たちは、逃げ続けるしかない。
「宇宙ステーション・ノヴァに向かう。そこで、情報を集める」
「了解です」
俺たちは、宇宙ステーション・ノヴァに到着した。そこは、巨大な宇宙ステーションだ。数千隻の船が、停泊している。様々な種族が、行き交っている。人間、ドラゴニアン、エルフ、ドワーフ、エイリアン。宇宙の交差点だ。
俺たちは、情報屋のところに行った。彼の名前は、スニッチ。小さなネズミのような生き物だ。しかし、情報は豊富だ。
「やあ、ブル船長。久しぶりだね」
スニッチが言った。俺は、頷いた。
「久しぶりだ、スニッチ。情報が欲しい」
「何の情報だい」
「俺たちに賞金がかかった。ドラゴニアン帝国が」
「ああ、知ってるよ。一千万クレジットだろ」
「そうだ。どうすればいい」
「難しいね。ドラゴニアン帝国は、強大だ。賞金を取り消すのは、ほぼ不可能だ」
「何か方法はないのか」
スニッチは、考えた。そして、言った。
「一つだけある」
「何だ」
「ドラゴニアン帝国の皇帝に直接会って、謝罪することだ」
「皇帝に?」
「そうだ。もし、皇帝が許せば、賞金は取り消される」
「皇帝に会えるのか」
「会えるよ。ただし、簡単じゃない。皇帝は、ドラゴニアン帝国の首都、ドラコニアにいる。そこに行くには、厳重な警備を突破しなければならない」
「厳重な警備?」
「ああ。ドラコニアは、要塞都市だ。宇宙艦隊が、常に警備している」
俺は、考えた。皇帝に会う。危険だ。しかし、他に方法はない。
「わかった。ドラコニアに行く」
「本気かい、船長」
「本気だ」
俺たちは、ドラコニアに向かった。それは、遥か彼方の銀河にあった。ワープを何度も繰り返して、ようやく到着した。
ドラコニアは、美しい惑星だった。赤い大地、青い海、紫の空。そして、巨大な城が、惑星の中心にそびえ立っていた。皇帝の城だ。
しかし、俺たちが近づくと、すぐに警備艦隊が現れた。数十隻の戦艦だ。圧倒的だ。
「止まれ。ここは、ドラゴニアン帝国の領域だ」
警備艦隊の司令官が言った。俺は、通信を開いた。
「俺は、ホープ号の船長、ブルだ。皇帝陛下に謁見を求める」
「謁見?お前に賞金がかかっていることを知らないのか」
「知っている。だからこそ、皇帝陛下に会って、謝罪したい」
司令官は、驚いた顔をした。
「謝罪?」
「そうだ。俺は、王子を殺すつもりはなかった。正当防衛だった」
「……わかった。待て」
司令官は、通信を切った。しばらくして、再び通信が入った。
「皇帝陛下が、お前に謁見を許された。ただし、武器は持ち込めない」
「了解した」
俺たちは、武器を置いて、皇帝の城に向かった。城の中は、豪華だった。金色の壁、赤い絨毯、巨大なシャンデリア。そして、玉座には、巨大なドラゴニアンが座っていた。皇帝だ。
皇帝は、俺たちを見下ろした。
「お前が、ブルか」
「はい、陛下」
「お前は、私の息子を殺した」
「申し訳ございません。しかし、それは正当防衛でした」
「正当防衛?」
「はい。王子は、惑星ザナドゥを襲撃していました。俺は、住民を守るために戦いました」
皇帝は、しばらく黙っていた。そして、言った。
「息子は、愚かだった」
「え?」
「息子は、私の命令に背いて、海賊行為をしていた。私は、それを止めようとしたが、息子は聞かなかった」
「そうだったんですか」
「ああ。そして、お前に倒された。それは、息子の自業自得だ」
皇帝は、立ち上がった。
「ブル船長、お前に賞金はかけない。むしろ、感謝する」
「感謝?」
「ああ。お前は、息子を止めてくれた。それは、帝国のためになった」
「陛下」
「行け。そして、もう二度と帝国に迷惑をかけるな」
「はい、陛下」
俺たちは、城を後にした。賞金は取り消された。俺たちは、自由だ。
宇宙ステーション・ノヴァに戻ると、スニッチが待っていた。
「やったね、船長。賞金が取り消されたよ」
「ああ。ありがとう、スニッチ」
「どういたしまして。で、次はどこに行くんだい」
「わからない。まだ決めてない」
その時、ルリが言った。
「船長、新しい依頼が来ています」
「依頼?」
「はい。銀河連邦からです」
「銀河連邦?」
「はい。緊急の任務だそうです」
俺は、スクリーンを見た。そこには、銀河連邦の大使が映っていた。
「ブル船長、あなたに依頼があります」
「何ですか」
「銀河の平和を守るための任務です。詳しくは、会って話しましょう」
「わかりました」
俺たちは、新しい冒険に向かった。銀河連邦の任務。
銀河連邦の大使館は、宇宙ステーション・ノヴァの最上階にあった。俺たちは、エレベーターで向かった。しかし、エレベーターは俺たちのサイズに合っていなかった。人間用だからだ。
「パギー、ボタン押せるか」
俺が聞くと、パギーは後ろ足で立ち上がった。そして、前足でボタンを押した。しかし、バランスを崩して、倒れた。
「痛い」
「大丈夫か」
「大丈夫です、船長」
ルリが、くちばしでボタンを押した。エレベーターが、動き始めた。
大使館に着くと、受付の女性が驚いた顔をした。
「あの、ペットは」
「ペットじゃない。俺たちが、ブル船長のクルーだ」
俺が言うと、受付の女性はさらに驚いた。
「犬が、船長?」
「そうだ。問題あるか」
「いえ、失礼しました。どうぞ、お入りください」
俺たちは、大使の部屋に通された。そこには、人間の男性が座っていた。初老の紳士だ。
「ブル船長、ようこそ。私は、銀河連邦大使のハミルトンです」
「よろしく」
「犬が船長とは、驚きました」
「慣れてくれ」
ハミルトンは、笑った。
「わかりました。では、本題に入りましょう。実は、銀河の平和が脅かされています」
「何があった」
「未知の宇宙船が、各地で攻撃を行っています。その船は、非常に強力で、どの艦隊も太刀打ちできません」
「未知の宇宙船?」
「はい。誰が操縦しているのか、何が目的なのか、まったくわかりません」
「それで、俺たちに何をしろと」
「その船を追跡して、正体を突き止めてほしいのです」
「なぜ、俺たちに」
「あなた方は、小型船です。大型艦隊より、気づかれにくい。そして、あなた方の実績を聞きました。海賊船を撃墜し、ドラゴニアン帝国の皇帝に謁見した。優秀です」
俺は、考えた。危険な任務だ。しかし、報酬次第では、受けてもいい。
「報酬は?」
「成功すれば、五千万クレジット」
「五千万?」
俺は、驚いた。それは、巨額だ。
「本気か」
「本気です」
「わかった。受ける」
俺たちは、未知の宇宙船を追跡することになった。ハミルトンは、最後に目撃された座標を教えてくれた。それは、銀河の辺境にあった。
俺たちは、ホープ号で向かった。ワープを繰り返して、目的地に到着した。しかし、そこには何もなかった。宇宙空間だけだ。
「何もいませんね」
パギーが言った。俺は、スキャンを開始した。
「ルリ、何か信号は」
「スキャンしています。……船長、微弱な信号を検知しました」
「どこだ」
「座標、X-235、Y-489、Z-123」
「そこに向かえ、パギー」
「了解」
俺たちは、信号の場所に向かった。すると、巨大な宇宙船が見えた。それは、黒く、不気味な形をしていた。まるで、生き物のようだ。
「あれが、未知の宇宙船か」
俺は、呟いた。パギーが言った。
「船長、どうします」
「近づくな。観察だけだ」
俺たちは、距離を保ちながら、宇宙船を観察した。すると、突然、宇宙船が動いた。俺たちに向かってくる。
「船長、こっちに来ます!」
ルリが叫んだ。俺は、パギーに命じた。
「逃げろ!」
パギーは、操縦桿を動かした。しかし、宇宙船は速かった。すぐに追いつかれた。そして、宇宙船から光線が発射された。俺たちの船に命中した。
「損傷しました!エンジンが故障しています!」
ルリが報告した。俺は、歯を食いしばった。まずい。このままでは、やられる。
その時、宇宙船が停止した。そして、通信が入った。スクリーンに、奇妙な生き物が映った。それは、触手を持つ、巨大なタコのような生き物だった。
「お前たち、何者だ」
生き物が言った。俺は、答えた。
「俺は、ブル船長だ。お前は?」
「俺は、クラーケンのクトゥルフだ」
「クトゥルフ?」
「そうだ。お前たち、なぜ俺を追っている」
「銀河連邦の依頼だ。お前が、各地で攻撃を行っていると聞いた」
「攻撃?俺は、攻撃などしていない」
「嘘をつくな」
「嘘ではない。俺は、ただ故郷に帰ろうとしているだけだ」
「故郷?」
「ああ。俺は、遠い銀河から来た。しかし、迷ってしまった。そして、この銀河に漂着した」
「それで、攻撃は?」
「それは、誤解だ。俺の船は、エネルギーを吸収する。近くの船や惑星から、エネルギーを吸い取ってしまう。それが、攻撃に見えたのだろう」
俺は、考えた。クトゥルフの話が本当なら、彼は悪者ではない。ただの迷子だ。
「お前、故郷に帰りたいのか」
「ああ。しかし、道がわからない」
「なら、俺たちが手伝う」
「本当か」
「ああ。ただし、条件がある」
「何だ」
「もうエネルギーを吸い取るな。それが、みんなを困らせている」
「わかった。約束する」
俺たちは、クトゥルフを助けることにした。まず、彼の故郷の座標を聞いた。それは、遥か彼方の銀河だった。普通の船では、何年もかかる距離だ。
「パギー、どのくらいかかる」
「ワープを最大限使っても、かなりかかります」
「そうか」
俺は、考えた。長い旅だ。しかし、やるしかない。
「わかった。行くぞ」
俺たちは、クトゥルフの船を先導して、彼の故郷に向かった。途中、様々な困難があった。小惑星帯を通過したり、宇宙嵐に遭遇したり、海賊に襲われたり。しかし、俺たちは乗り越えた。
そして、ついにクトゥルフの故郷に到着した。それは、美しい銀河だった。無数の星が、輝いている。クトゥルフは、喜んだ。
「ありがとう、ブル船長。お前たちのおかげで、帰れた」
「いいんだ。無事でよかった」
「お前たちは、良い友達だ。また会おう」
「ああ、また会おう」
クトゥルフは、自分の銀河に消えていった。俺たちは、元の銀河に戻った。
宇宙ステーション・ノヴァに戻ると、ハミルトンが待っていた。
「ブル船長、任務は成功しましたか」
「ああ。未知の宇宙船の正体は、クトゥルフという生き物だった。彼は、迷子だった。俺たちは、彼を故郷に送り届けた」
「そうでしたか。それは、素晴らしい」
「報酬は?」
「もちろん、お支払いします」
ハミルトンは、俺たちに五千万クレジットを振り込んだ。俺たちは、大金持ちになった。
「これで、しばらく遊んで暮らせますね」
パギーが言った。俺は、首を振った。
「いや、まだやることがある」
「何ですか、船長」
「新しい冒険だ」
俺たちは、また旅に出た。銀河の果てまで。新しい友達を作るために。
ある日、俺たちは謎の惑星「ミスティア」に立ち寄った。そこは、霧に覆われた惑星だ。俺たちは、探検のために降り立った。
霧の中を歩くと、古い遺跡が見えた。石でできた巨大な神殿だ。俺たちは、中に入った。
神殿の中央には、大きなクリスタルがあった。それは、青く輝いていた。俺が近づくと、クリスタルが話しかけてきた。
「ようこそ、旅人よ」
「お前は、何だ」
「私は、ミスティアの守護者だ」
「守護者?」
「そうだ。私は、この惑星を何千年も守ってきた」
「何を守っているんだ」
「この惑星の秘密だ」
俺は、興味を持った。秘密とは何だろう。
「その秘密を、教えてくれないか」
「いいだろう。お前は、純粋な心を持っている。教えよう」
クリスタルが光った。そして、映像が浮かび上がった。それは、遥か昔の映像だった。
映像には、高度な文明を持つ人々が映っていた。彼らは、美しい都市を築いていた。しかし、ある日、巨大な災害が起きた。都市は、崩壊した。人々は、全滅した。
「これが、ミスティアの過去だ」
クリスタルが言った。
「この惑星には、かつて高度な文明があった。しかし、彼らは欲望に負けて、自滅した」
「欲望?」
「そうだ。彼らは、力を求めすぎた。そして、制御できなくなった」
「それで、滅んだのか」
「そうだ。そして、私は彼らの記憶を守るために、ここに残った」
俺は、深く考えさせられた。欲望に負けると、滅びる。俺たちも、気をつけなければならない。
「ありがとう、守護者。俺たちは、この教訓を忘れない」
「そうか。では、無事に旅を続けてくれ」
俺たちは、神殿を後にした。そして、ホープ号に戻った。
「船長、あの守護者の話、深かったですね」
パギーが言った。俺は、頷いた。
「ああ。欲望に負けないようにしないとな」
「そうですね」
俺たちは、ミスティアを後にした。そして、次の冒険に向かった。
宇宙は広い。まだ見ぬ世界が、無数にある。俺たちは、その世界を探検し続ける。ホープ号と共に。仲間と共に。
フレンチブルドッグの船長、ブル。パグの航法士、パギー。ルリコンゴウインコの通信士、ルリ。俺たちは、ホープ号のクルーだ。宇宙一、奇妙なクルーかもしれない。でも、宇宙一、最高のチームだ。
俺たちの冒険は、永遠に続く。
完。
フレンチブルドッグとパグは尻尾を振って、ルリコンゴウインコは横乗りでリズム取っています。




