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世界は静かに壊れている【ショートショート集・短編集】  作者: 御影のたぬき


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【スペースオペラ】船長ブルは吠えない

 俺の名前は、ブル。フレンチブルドッグだ。体重は十キロ。耳は立っていて、鼻はぺちゃんこ。顔にはシワがたくさんある。見た目は、ただのかわいい犬だ。しかし、俺には秘密がある。俺は、天才だ。IQは二百を超える。そして、俺は宇宙船の船長だ。


 俺の船は「ホープ号」という名前だ。小型の個人宇宙船だが、性能は抜群だ。ワープ航法も搭載している。この船で、俺は宇宙を旅している。クルーは二人。いや、二匹だ。一人は、パグのパギー。もう一人は、ルリコンゴウインコのルリ。


 パギーは、俺と同じ犬だ。しかし、性格は正反対だ。俺が冷静なら、パギーは陽気だ。俺が計画的なら、パギーは行き当たりばったりだ。でも、パギーは優秀な航法士だ。宇宙のどんな場所でも、正確にナビゲートできる。


 ルリは、美しい鳥だ。羽は青く、尾は長い。声は大きい。いや、本当に大きい。ルリは、通信士だ。どんな言語でも、瞬時に翻訳できる。そして、どんな信号でも、受信できる。


 俺たちは、首に特殊な翻訳機をつけている。この機械のおかげで、俺たちは人間や他の種族とコミュニケーションが取れる。俺たちの声は、機械を通じて、相手の言語に翻訳される。便利だ。


 その日、俺たちは銀河系の端にいた。目的地は、惑星ザナドゥ。そこには、希少な鉱石がある。俺たちは、その鉱石を採掘して、売る予定だった。単純な仕事だ。


 しかし、計画は変わった。突然、ルリが叫んだ。


「船長!緊急通信です!」

「どこから?」

「惑星ザナドゥからです!助けを求めています!」

「内容は?」

「海賊に襲われているそうです!」


 俺は、考えた。海賊。面倒だ。しかし、助けを求められて、無視するわけにはいかない。俺は、決断した。


「パギー、ザナドゥに最速で向かえ」

「了解、船長!」


 パギーは、操縦桿を握った。そして、ワープボタンを押した。船が、光に包まれた。数秒後、俺たちは惑星ザナドゥの上空にいた。


 下を見ると、街が炎に包まれていた。海賊船が、上空を飛んでいる。大型の戦艦だ。俺たちの船より、はるかに大きい。


「船長、どうします?」


 パギーが聞いた。俺は、冷静に答えた。


「戦う」

「本気ですか?あの船、俺たちの十倍はありますよ」

「関係ない。やるぞ」


 俺は、武器システムを起動した。ホープ号には、レーザー砲とミサイルが搭載されている。小型船にしては、強力だ。


「ルリ、海賊船に通信を送れ。攻撃を中止しろと」

「了解です、船長」


 ルリは、通信を送った。しばらくして、海賊船から返信があった。スクリーンに、海賊の船長が映った。それは、巨大なトカゲのような生き物だった。ドラゴニアンだ。


「何だ、お前は。小さな船だな」


 ドラゴニアンの船長が言った。俺は、冷静に答えた。


「俺は、ホープ号の船長、ブルだ。攻撃を中止しろ」

「ブル?犬か?ははは、笑わせるな」

「笑うな。真剣だ」

「犬が船長だと?面白い。では、お前の船を撃沈してやろう」


 ドラゴニアンの船長は、通信を切った。そして、海賊船がこちらに向かってきた。レーザー砲が、充電を始めた。


「船長、来ます!」


 パギーが叫んだ。俺は、冷静に命じた。


「回避しろ」


 パギーは、操縦桿を動かした。船が、急旋回した。海賊船のレーザーが、俺たちの船をかすめた。危なかった。


「反撃しろ」


 俺は、ミサイル発射ボタンを押した。ミサイルが、海賊船に向かって飛んでいった。しかし、海賊船はバリアを展開した。ミサイルは、バリアに当たって爆発した。効かない。


「バリアがあります!」


 ルリが言った。俺は、考えた。バリアか。厄介だ。しかし、バリアには弱点がある。エネルギーを大量に消費する。長時間は維持できない。


「パギー、海賊船の周りを回れ。攻撃を続けろ」

「了解!」


 パギーは、船を高速で旋回させた。俺は、レーザー砲を連射した。海賊船のバリアに、次々と当たる。バリアが、少しずつ弱くなっていく。


「もう少しだ」


 俺は、さらに攻撃を続けた。そして、ついにバリアが消えた。チャンスだ。俺は、ミサイルを発射した。ミサイルが、海賊船のエンジン部分に命中した。大爆発が起きた。


「やった!」


 パギーが叫んだ。しかし、海賊船はまだ飛んでいた。エンジンが一つ破壊されただけだ。他にもエンジンがある。


「まだだ。もう一撃」


 俺は、再びミサイルを発射した。しかし、海賊船は反撃してきた。レーザー砲が、俺たちの船に命中した。船が、大きく揺れた。


「損傷しました!シールドが三十パーセント減少!」


 ルリが報告した。俺は、歯を食いしばった。このままでは、やられる。何か策を考えなければ。


 その時、パギーが言った。


「船長、俺に考えがあります」

「何だ」

「あの海賊船、大きいですよね。つまり、小回りが利かない」

「それで?」

「俺たちは小さい。小回りが利く。それを使いましょう」

「どうやって?」

「海賊船の死角に入るんです。そして、近距離から攻撃する」


 俺は、考えた。確かに、それは有効かもしれない。しかし、危険だ。近づきすぎると、こちらもダメージを受ける。


「やってみろ」


 俺は、パギーに任せた。パギーは、操縦桿を握った。そして、船を急降下させた。海賊船の下に潜り込んだ。海賊船のレーザー砲が、俺たちを狙う。しかし、当たらない。俺たちは、速すぎる。


「今だ、船長!」


 パギーが叫んだ。俺は、すべてのミサイルを発射した。六発のミサイルが、海賊船の腹部に命中した。連続爆発が起きた。海賊船が、傾いた。そして、煙を上げながら、惑星の大気圏に突入していった。


「やった!」


 パギーが叫んだ。俺も、安堵した。海賊船は、墜落した。俺たちの勝利だ。


 俺たちは、惑星ザナドゥに着陸した。街の住民たちが、俺たちを迎えた。彼らは、人間に似ていたが、肌が青かった。ザナドゥ人だ。


「ありがとうございます、船長ブル」


 ザナドゥ人のリーダーが言った。俺は、首を振った。


「いや、当然のことをしただけだ」

「いいえ、あなた方がいなければ、私たちは全滅していました」

「海賊は、何が目的だったんだ」

「鉱石です。私たちの惑星には、希少な鉱石があります。海賊は、それを奪おうとしたのです」

「そうか」


 俺は、考えた。鉱石。それは、俺たちも目的だった。しかし、今は言えない。


「あなた方に、お礼をしたいのです」


 リーダーが言った。


「何か欲しいものはありますか」

「いや、特には」

「では、鉱石を差し上げます」


 リーダーは、小さな袋を俺に渡した。中には、青く輝く鉱石が入っていた。


「これは?」

「ザナドゥ鉱石です。非常に希少で、高価です」

「いいのか」

「はい。あなた方への感謝の印です」


 俺は、鉱石を受け取った。ありがたい。これで、しばらく資金に困らない。


 俺たちは、惑星ザナドゥを後にした。次の目的地は、宇宙ステーション「ノヴァ」だ。そこで、鉱石を売る予定だ。


 しかし、その途中で、また問題が起きた。突然、船が停止した。エンジンが動かない。


「どうした、パギー」

「わかりません。突然、エンジンが止まりました」

「ルリ、何か異常は?」

「スキャンします。……船長、外部から何かの信号を受信しています」

「信号?」

「はい。妨害電波のようです」


 俺は、窓の外を見た。すると、大きな宇宙船が近づいてきた。それは、軍艦のようだった。しかし、どこの国の船かわからない。


「ルリ、通信を送れ」

「了解です」


 しばらくして、スクリーンに映像が映った。それは、人間の男性だった。しかし、目が赤く光っている。サイボーグか。


「お前たちは、ホープ号か」


 男が言った。俺は、警戒しながら答えた。


「そうだ。お前は?」

「俺は、バウンティハンター、ザックだ」

「バウンティハンター?」

「そうだ。お前たちに、賞金がかかっている」

「何?」


 俺は、驚いた。賞金?俺たちに?


「なぜだ」

「お前たち、海賊船を撃墜しただろう」

「ああ、惑星ザナドゥで」

「その海賊船の船長は、ドラゴニアン帝国の王子だった」

「王子?」


 俺は、さらに驚いた。あのドラゴニアンが、王子だったのか。


「ドラゴニアン帝国は、お前たちに賞金をかけた。生死を問わず、一千万クレジット」

「一千万?」

「ああ。俺は、その賞金を手に入れる」


 ザックは、通信を切った。そして、彼の船が、武器を充電し始めた。


「船長、どうします?」


 パギーが聞いた。俺は、考えた。戦うか、逃げるか。しかし、エンジンが動かない。逃げられない。戦うしかない。


「戦う」

「了解!」


 俺は、武器システムを起動した。しかし、ミサイルはもうない。さっきの戦闘で、すべて使い切った。残っているのは、レーザー砲だけだ。


「レーザー砲で戦うぞ」

「了解です、船長」


 ザックの船が、攻撃してきた。レーザー砲が、俺たちの船に命中した。船が、激しく揺れた。


「損傷しました!シールドが五十パーセント減少!」


 ルリが報告した。俺は、反撃した。レーザー砲を連射した。しかし、ザックの船はバリアを展開していた。効かない。


「バリアがあります!」


 パギーが叫んだ。俺は、歯を食いしばった。またバリアか。厄介だ。


 その時、ルリが言った。


「船長、私に考えがあります」

「何だ」

「私の声です」

「声?」

「はい。私の声は、非常に大きいです。もし、通信を開いたまま叫べば、相手の通信システムを妨害できるかもしれません」

「本当か」

「やってみます」


 ルリは、通信を開いた。そして、大きく息を吸い込んだ。そして、叫んだ。


「キャアアアアアアアア!」


 その声は、凄まじかった。俺の耳が、痛くなった。パギーも、耳を塞いだ。そして、ザックの船が、動きを止めた。通信システムが、麻痺したのだろう。


「今だ、パギー!エンジンを再起動しろ!」

「了解!」


 パギーは、エンジンを再起動させた。妨害電波が消えたのか、エンジンが動き始めた。俺は、すぐにワープボタンを押した。船が、光に包まれた。そして、俺たちは逃げた。


 ワープ後、俺たちは安全な場所にいた。ザックの船は、追ってこなかった。俺は、安堵した。


「助かった。ルリ、ありがとう」

「どういたしまして、船長」

「しかし、賞金がかかったか。面倒だな」

「どうします、船長?」


 パギーが聞いた。俺は、考えた。賞金がかかった以上、バウンティハンターが次々と襲ってくるだろう。俺たちは、逃げ続けるしかない。


「宇宙ステーション・ノヴァに向かう。そこで、情報を集める」

「了解です」


 俺たちは、宇宙ステーション・ノヴァに到着した。そこは、巨大な宇宙ステーションだ。数千隻の船が、停泊している。様々な種族が、行き交っている。人間、ドラゴニアン、エルフ、ドワーフ、エイリアン。宇宙の交差点だ。


 俺たちは、情報屋のところに行った。彼の名前は、スニッチ。小さなネズミのような生き物だ。しかし、情報は豊富だ。


「やあ、ブル船長。久しぶりだね」


 スニッチが言った。俺は、頷いた。


「久しぶりだ、スニッチ。情報が欲しい」

「何の情報だい」

「俺たちに賞金がかかった。ドラゴニアン帝国が」

「ああ、知ってるよ。一千万クレジットだろ」

「そうだ。どうすればいい」

「難しいね。ドラゴニアン帝国は、強大だ。賞金を取り消すのは、ほぼ不可能だ」

「何か方法はないのか」


 スニッチは、考えた。そして、言った。


「一つだけある」

「何だ」

「ドラゴニアン帝国の皇帝に直接会って、謝罪することだ」

「皇帝に?」

「そうだ。もし、皇帝が許せば、賞金は取り消される」

「皇帝に会えるのか」

「会えるよ。ただし、簡単じゃない。皇帝は、ドラゴニアン帝国の首都、ドラコニアにいる。そこに行くには、厳重な警備を突破しなければならない」

「厳重な警備?」

「ああ。ドラコニアは、要塞都市だ。宇宙艦隊が、常に警備している」


 俺は、考えた。皇帝に会う。危険だ。しかし、他に方法はない。


「わかった。ドラコニアに行く」

「本気かい、船長」

「本気だ」


 俺たちは、ドラコニアに向かった。それは、遥か彼方の銀河にあった。ワープを何度も繰り返して、ようやく到着した。


 ドラコニアは、美しい惑星だった。赤い大地、青い海、紫の空。そして、巨大な城が、惑星の中心にそびえ立っていた。皇帝の城だ。


 しかし、俺たちが近づくと、すぐに警備艦隊が現れた。数十隻の戦艦だ。圧倒的だ。


「止まれ。ここは、ドラゴニアン帝国の領域だ」


 警備艦隊の司令官が言った。俺は、通信を開いた。


「俺は、ホープ号の船長、ブルだ。皇帝陛下に謁見を求める」

「謁見?お前に賞金がかかっていることを知らないのか」

「知っている。だからこそ、皇帝陛下に会って、謝罪したい」


 司令官は、驚いた顔をした。


「謝罪?」

「そうだ。俺は、王子を殺すつもりはなかった。正当防衛だった」

「……わかった。待て」


 司令官は、通信を切った。しばらくして、再び通信が入った。


「皇帝陛下が、お前に謁見を許された。ただし、武器は持ち込めない」

「了解した」


 俺たちは、武器を置いて、皇帝の城に向かった。城の中は、豪華だった。金色の壁、赤い絨毯、巨大なシャンデリア。そして、玉座には、巨大なドラゴニアンが座っていた。皇帝だ。


 皇帝は、俺たちを見下ろした。


「お前が、ブルか」

「はい、陛下」

「お前は、私の息子を殺した」

「申し訳ございません。しかし、それは正当防衛でした」

「正当防衛?」

「はい。王子は、惑星ザナドゥを襲撃していました。俺は、住民を守るために戦いました」


 皇帝は、しばらく黙っていた。そして、言った。


「息子は、愚かだった」

「え?」

「息子は、私の命令に背いて、海賊行為をしていた。私は、それを止めようとしたが、息子は聞かなかった」

「そうだったんですか」

「ああ。そして、お前に倒された。それは、息子の自業自得だ」


 皇帝は、立ち上がった。


「ブル船長、お前に賞金はかけない。むしろ、感謝する」

「感謝?」

「ああ。お前は、息子を止めてくれた。それは、帝国のためになった」

「陛下」

「行け。そして、もう二度と帝国に迷惑をかけるな」

「はい、陛下」


 俺たちは、城を後にした。賞金は取り消された。俺たちは、自由だ。


 宇宙ステーション・ノヴァに戻ると、スニッチが待っていた。


「やったね、船長。賞金が取り消されたよ」

「ああ。ありがとう、スニッチ」

「どういたしまして。で、次はどこに行くんだい」

「わからない。まだ決めてない」


 その時、ルリが言った。


「船長、新しい依頼が来ています」

「依頼?」

「はい。銀河連邦からです」

「銀河連邦?」

「はい。緊急の任務だそうです」


 俺は、スクリーンを見た。そこには、銀河連邦の大使が映っていた。


「ブル船長、あなたに依頼があります」

「何ですか」

「銀河の平和を守るための任務です。詳しくは、会って話しましょう」

「わかりました」


 俺たちは、新しい冒険に向かった。銀河連邦の任務。



 銀河連邦の大使館は、宇宙ステーション・ノヴァの最上階にあった。俺たちは、エレベーターで向かった。しかし、エレベーターは俺たちのサイズに合っていなかった。人間用だからだ。


「パギー、ボタン押せるか」


 俺が聞くと、パギーは後ろ足で立ち上がった。そして、前足でボタンを押した。しかし、バランスを崩して、倒れた。


「痛い」

「大丈夫か」

「大丈夫です、船長」


 ルリが、くちばしでボタンを押した。エレベーターが、動き始めた。


 大使館に着くと、受付の女性が驚いた顔をした。


「あの、ペットは」

「ペットじゃない。俺たちが、ブル船長のクルーだ」


 俺が言うと、受付の女性はさらに驚いた。


「犬が、船長?」

「そうだ。問題あるか」

「いえ、失礼しました。どうぞ、お入りください」


 俺たちは、大使の部屋に通された。そこには、人間の男性が座っていた。初老の紳士だ。


「ブル船長、ようこそ。私は、銀河連邦大使のハミルトンです」

「よろしく」

「犬が船長とは、驚きました」

「慣れてくれ」


 ハミルトンは、笑った。


「わかりました。では、本題に入りましょう。実は、銀河の平和が脅かされています」

「何があった」

「未知の宇宙船が、各地で攻撃を行っています。その船は、非常に強力で、どの艦隊も太刀打ちできません」

「未知の宇宙船?」

「はい。誰が操縦しているのか、何が目的なのか、まったくわかりません」

「それで、俺たちに何をしろと」

「その船を追跡して、正体を突き止めてほしいのです」

「なぜ、俺たちに」

「あなた方は、小型船です。大型艦隊より、気づかれにくい。そして、あなた方の実績を聞きました。海賊船を撃墜し、ドラゴニアン帝国の皇帝に謁見した。優秀です」


 俺は、考えた。危険な任務だ。しかし、報酬次第では、受けてもいい。


「報酬は?」

「成功すれば、五千万クレジット」

「五千万?」


 俺は、驚いた。それは、巨額だ。


「本気か」

「本気です」

「わかった。受ける」


 俺たちは、未知の宇宙船を追跡することになった。ハミルトンは、最後に目撃された座標を教えてくれた。それは、銀河の辺境にあった。


 俺たちは、ホープ号で向かった。ワープを繰り返して、目的地に到着した。しかし、そこには何もなかった。宇宙空間だけだ。


「何もいませんね」


 パギーが言った。俺は、スキャンを開始した。


「ルリ、何か信号は」

「スキャンしています。……船長、微弱な信号を検知しました」

「どこだ」

「座標、X-235、Y-489、Z-123」

「そこに向かえ、パギー」

「了解」


 俺たちは、信号の場所に向かった。すると、巨大な宇宙船が見えた。それは、黒く、不気味な形をしていた。まるで、生き物のようだ。


「あれが、未知の宇宙船か」


 俺は、呟いた。パギーが言った。


「船長、どうします」

「近づくな。観察だけだ」


 俺たちは、距離を保ちながら、宇宙船を観察した。すると、突然、宇宙船が動いた。俺たちに向かってくる。


「船長、こっちに来ます!」


 ルリが叫んだ。俺は、パギーに命じた。


「逃げろ!」


 パギーは、操縦桿を動かした。しかし、宇宙船は速かった。すぐに追いつかれた。そして、宇宙船から光線が発射された。俺たちの船に命中した。


「損傷しました!エンジンが故障しています!」


 ルリが報告した。俺は、歯を食いしばった。まずい。このままでは、やられる。


 その時、宇宙船が停止した。そして、通信が入った。スクリーンに、奇妙な生き物が映った。それは、触手を持つ、巨大なタコのような生き物だった。


「お前たち、何者だ」


 生き物が言った。俺は、答えた。


「俺は、ブル船長だ。お前は?」

「俺は、クラーケンのクトゥルフだ」

「クトゥルフ?」

「そうだ。お前たち、なぜ俺を追っている」

「銀河連邦の依頼だ。お前が、各地で攻撃を行っていると聞いた」

「攻撃?俺は、攻撃などしていない」

「嘘をつくな」

「嘘ではない。俺は、ただ故郷に帰ろうとしているだけだ」

「故郷?」

「ああ。俺は、遠い銀河から来た。しかし、迷ってしまった。そして、この銀河に漂着した」

「それで、攻撃は?」

「それは、誤解だ。俺の船は、エネルギーを吸収する。近くの船や惑星から、エネルギーを吸い取ってしまう。それが、攻撃に見えたのだろう」


 俺は、考えた。クトゥルフの話が本当なら、彼は悪者ではない。ただの迷子だ。


「お前、故郷に帰りたいのか」

「ああ。しかし、道がわからない」

「なら、俺たちが手伝う」

「本当か」

「ああ。ただし、条件がある」

「何だ」

「もうエネルギーを吸い取るな。それが、みんなを困らせている」

「わかった。約束する」


 俺たちは、クトゥルフを助けることにした。まず、彼の故郷の座標を聞いた。それは、遥か彼方の銀河だった。普通の船では、何年もかかる距離だ。


「パギー、どのくらいかかる」

「ワープを最大限使っても、かなりかかります」

「そうか」


 俺は、考えた。長い旅だ。しかし、やるしかない。


「わかった。行くぞ」


 俺たちは、クトゥルフの船を先導して、彼の故郷に向かった。途中、様々な困難があった。小惑星帯を通過したり、宇宙嵐に遭遇したり、海賊に襲われたり。しかし、俺たちは乗り越えた。


 そして、ついにクトゥルフの故郷に到着した。それは、美しい銀河だった。無数の星が、輝いている。クトゥルフは、喜んだ。


「ありがとう、ブル船長。お前たちのおかげで、帰れた」

「いいんだ。無事でよかった」

「お前たちは、良い友達だ。また会おう」

「ああ、また会おう」


 クトゥルフは、自分の銀河に消えていった。俺たちは、元の銀河に戻った。


 宇宙ステーション・ノヴァに戻ると、ハミルトンが待っていた。


「ブル船長、任務は成功しましたか」

「ああ。未知の宇宙船の正体は、クトゥルフという生き物だった。彼は、迷子だった。俺たちは、彼を故郷に送り届けた」

「そうでしたか。それは、素晴らしい」

「報酬は?」

「もちろん、お支払いします」


 ハミルトンは、俺たちに五千万クレジットを振り込んだ。俺たちは、大金持ちになった。


「これで、しばらく遊んで暮らせますね」


 パギーが言った。俺は、首を振った。


「いや、まだやることがある」

「何ですか、船長」

「新しい冒険だ」


 俺たちは、また旅に出た。銀河の果てまで。新しい友達を作るために。



 ある日、俺たちは謎の惑星「ミスティア」に立ち寄った。そこは、霧に覆われた惑星だ。俺たちは、探検のために降り立った。


 霧の中を歩くと、古い遺跡が見えた。石でできた巨大な神殿だ。俺たちは、中に入った。


 神殿の中央には、大きなクリスタルがあった。それは、青く輝いていた。俺が近づくと、クリスタルが話しかけてきた。


「ようこそ、旅人よ」

「お前は、何だ」

「私は、ミスティアの守護者だ」

「守護者?」

「そうだ。私は、この惑星を何千年も守ってきた」

「何を守っているんだ」

「この惑星の秘密だ」


 俺は、興味を持った。秘密とは何だろう。


「その秘密を、教えてくれないか」

「いいだろう。お前は、純粋な心を持っている。教えよう」


 クリスタルが光った。そして、映像が浮かび上がった。それは、遥か昔の映像だった。


 映像には、高度な文明を持つ人々が映っていた。彼らは、美しい都市を築いていた。しかし、ある日、巨大な災害が起きた。都市は、崩壊した。人々は、全滅した。


「これが、ミスティアの過去だ」


 クリスタルが言った。


「この惑星には、かつて高度な文明があった。しかし、彼らは欲望に負けて、自滅した」

「欲望?」

「そうだ。彼らは、力を求めすぎた。そして、制御できなくなった」

「それで、滅んだのか」

「そうだ。そして、私は彼らの記憶を守るために、ここに残った」


 俺は、深く考えさせられた。欲望に負けると、滅びる。俺たちも、気をつけなければならない。


「ありがとう、守護者。俺たちは、この教訓を忘れない」

「そうか。では、無事に旅を続けてくれ」


 俺たちは、神殿を後にした。そして、ホープ号に戻った。


「船長、あの守護者の話、深かったですね」


 パギーが言った。俺は、頷いた。


「ああ。欲望に負けないようにしないとな」

「そうですね」


 俺たちは、ミスティアを後にした。そして、次の冒険に向かった。


 宇宙は広い。まだ見ぬ世界が、無数にある。俺たちは、その世界を探検し続ける。ホープ号と共に。仲間と共に。


 フレンチブルドッグの船長、ブル。パグの航法士、パギー。ルリコンゴウインコの通信士、ルリ。俺たちは、ホープ号のクルーだ。宇宙一、奇妙なクルーかもしれない。でも、宇宙一、最高のチームだ。


 俺たちの冒険は、永遠に続く。


 完。

フレンチブルドッグとパグは尻尾を振って、ルリコンゴウインコは横乗りでリズム取っています。

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水が死んだ日

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