【コメディ】間抜けな宇宙海賊団
2156年。八神竜二は、宇宙海賊を夢見ていた。
竜二は二十五歳。中古の小型宇宙船を一隻持っていた。
船の名は「幸運丸」。だが、幸運とは程遠い船だった。エンジンはよく故障し、武器は旧式で、居住スペースは狭かった。
それでも、竜二は諦めなかった。
「俺は、宇宙海賊になるんだ」
竜二は鏡に向かって宣言した。
だが、問題があった。
竜二には、才能がなかった。
操縦は下手で、よく壁にぶつかった。戦闘も弱く、訓練用ロボットにも負けた。計画を立てても、すぐに破綻した。
それでも、竜二は諦めなかった。
「仲間を集めれば、何とかなる」
竜二は、仲間探しを始めた。
最初に見つけたのは、三上春奈だった。
春奈は優秀な航法士だ。宇宙船の航路を完璧に計算できる。
竜二は、春奈をスカウトした。
「春奈さん、俺の海賊団に入りませんか」
「海賊、ですか」
春奈は首を傾げた。
「面白そうですね。いいですよ」
竜二は喜んだ。
後で気づいた。
春奈は、極度の方向音痴だった。
航路は完璧に計算できるが、実際の操縦では必ず道を間違える。
竜二は頭を抱えた。
次に見つけたのは、二階堂健だった。
健は天才エンジニアだ。どんな機械でも修理できる。
竜二は、健をスカウトした。
「健さん、俺の海賊団に入りませんか」
「海賊か。給料は」
「出ます、たぶん」
「まあ、いいか」
健はあっさり承諾した。
後で気づいた。
健は、すべての機械を爆発させる。
修理は完璧だが、なぜか最後に必ず爆発する。
竜二はさらに頭を抱えた。
最後に見つけたのは、楠木詩乃だった。
詩乃は超能力者だ。念動力で物を動かせる。
竜二は、詩乃をスカウトした。
「詩乃さん、俺の海賊団に入りませんか」
「超能力は役立ちますよぉ」
「本当ですか」
「えぇ!」
詩乃は、自信満々に答えた。
後で気づいた。
詩乃は、能力が制御できなかった。
物を動かそうとすると、全然違うものが動く。
竜二は完全に頭を抱えた。
「俺の海賊団、大丈夫か」
こうして、宇宙最弱の海賊団が結成された。
最初の作戦は、小さな輸送船を襲うことだった。
「よし、みんな準備はいいか」
竜二が叫んだ。
「いつでも」
春奈が答えた。
「任せろ」
健が頷いた。
「大丈夫ですぅ」
詩乃が微笑んだ。
幸運丸は、目標の輸送船に向かった。
だが、春奈が道を間違えた。
「あれ、おかしいな」
「何がですか」
「目標の輸送船が、見当たりません」
「どこに向かっているんですか」
竜二が尋ねた。
「えっと」
春奈は、画面を確認した。
そして、顔が青ざめた。
「軍の要塞に向かってます」
「なんだって!?」
竜二は、画面を見た。
そこには、巨大な軍事要塞が映っていた。
「逃げろ!逃げろ!」
竜二は叫んだ。
要塞からは警報が鳴り響く。
「侵入者発見。攻撃開始」
無数のミサイルが、幸運丸に向かってきた。
「うわあああ」
四人は、必死で逃げた。
何とか逃げ切った後、四人は反省会をした。
「春奈さん、なぜ道を間違えたんですか」
「すみません。左と右を、間違えました」
「それ、致命的ですよ」
竜二は、ため息をついた。
「次は、失敗しないようにしましょう」
「はい」
四人は、次の作戦を立てた。
次の作戦は、無人の宇宙ステーションからお宝を盗むことだった。
「今度は簡単だ」
竜二は自信満々に言った。
「無人だから戦闘はない。健さんが侵入装置を作って、こっそり入る」
「任せろ」
健は、侵入装置を作り始めた。
数時間後、健は装置を完成させた。
「できたぞ」
「さすがです」
竜二は装置を受け取った。
四人は宇宙ステーションに接近。
竜二は、侵入装置をステーションのハッチに取り付けた。
スイッチを押した。
瞬間、装置が爆発した。
「うわああ」
竜二が吹き飛ばされた。
そして、ステーション全体に警報が鳴り響いた。
「侵入者発見。警備ロボット起動」
「無人じゃなかったのかよ!!」
竜二は叫んだ。
無数の警備ロボットが、四人を囲んだ。
「詩乃さん、超能力で何とかしてください」
「分かりましたぁ」
詩乃は、念動力を使った。
ロボットを吹き飛ばそうとした。
だが、間違って幸運丸を吹き飛ばした。
「ちょっと、船が」
春奈が叫んだ。
幸運丸は、宇宙空間に飛んでいった。
「やっちゃった」
詩乃は頭を掻いた。
四人は再び必死で逃げた。
再び反省会。
「健さん、なぜ爆発したんですか」
「分からん。いつも最後に爆発するんだ」
「それ、エンジニアとして致命的ですよ」
竜二は、さらにため息をついた。
「詩乃さんも、能力をちゃんと制御してください」
「すいませぇん。でも、どうしても制御できないんですぅ」
竜二は、頭を抱えた。
「俺たち、本当に海賊になれるのか」
その時、春奈が言った。
「でも、楽しいですよね」
「え」
「失敗ばかりだけど、楽しいです」
健も頷いた。
「確かに。こんなにスリリングな人生、初めてだ」
詩乃も笑った。
「私も、楽しいですぅ」
竜二は、仲間たちを見た。
そして、笑った。
「そうだな。楽しいな」
竜二は、立ち上がった。
「よし、次こそは成功させるぞ」
次の作戦は、伝説のお宝が眠る小惑星に行くことだった。
竜二は、古い地図を手に入れていた。そこには、小惑星の場所が記されていた。
「これが、最後の大仕事だ」
竜二は、仲間たちに言った。
「このお宝を手に入れれば、俺たちは本物の海賊だ」
「おお!!」
仲間たちは、拳を上げた。
幸運丸は、小惑星に向かった。
今度は、春奈も道を間違えなかった。
「やった、着きました」
小惑星は荒涼とした岩の塊だった。
四人は小惑星に降り立った。
そこには、古い遺跡があった。
「お宝はこの中だ!」
竜二は、遺跡に入った。
そこには罠が仕掛けられていた。
最初の罠は、床が抜ける罠だった。
竜二が一歩踏み出すと、床が崩れた。
「うわああ!!」
竜二は、穴に落ちた。
だが、詩乃が念動力で竜二を引き上げた。
今度はちゃんと制御できた。
「ありがとう、詩乃さん」
「どぉいたしましてぇ」
次の罠は、壁から槍が飛び出す罠だった。
春奈が壁に触れると、槍が飛び出した。
「きゃあ」
だが、健がとっさに盾を作った。
盾は槍を防いだ。
そして爆発した。
「また爆発した」
健が苦笑いする。
最後の罠は、巨大な石が転がってくる罠だった。
詩乃がスイッチを踏むと、石が転がってきた。
「逃げろぉ」
四人は、必死で走った。
そして、何とか罠を抜けた。
遺跡の奥には、宝箱があった。
「あれだ」
竜二は、宝箱に駆け寄った。
そして、蓋を開けた。
中には、黄金に輝く球体があった。
「これが伝説のお宝か」
竜二は球体を手に取った。
その時、球体が光り始める。
「え、何だ?」
球体には、文字が浮かび上がった。
「古代兵器。起動まで十秒」
竜二は、顔が青ざめた。
「これ、爆弾じゃないか!?」
「捨てろ!!」
健が叫んだ。
だが、球体は竜二の手にくっついて離れなかった。
「離れない!!」
「うわあああ」
何とか球体を手離し四人は遺跡から飛び出した。
そして、幸運丸に乗り込んだ。
「早く逃げろ」
春奈は必死で操縦した。
幸運丸は、小惑星から離れた。
その瞬間、小惑星が爆発した。
巨大な爆発だった。小惑星全体が吹き飛んだ。
その衝撃で、幸運丸も吹き飛ばされた。
四人は、宇宙空間に放り出された。
宇宙服を着ていたので、何とか無事だった。
竜二は、叫んだ。
「また失敗だ」
だが、その時、春奈が叫んだ。
「見てください」
爆発の衝撃で、近くにあった軍の金庫が壊れていた。
そこから、大量の財宝が宇宙に散らばっていた。
「これは」
竜二は、目を見開いた。
「お宝だ」
四人は、大笑いした。
「やった、やったぞ」
四人は、財宝を回収し始めた。
健が言った。
「爆発のおかげで、金庫が壊れたんだな」
「皮肉だな」
竜二は笑った。
詩乃が言った。
「でもぉ、結果オーライですよねぇ」
「そうだな」
春奈も笑った。
四人は財宝を幸運丸に積み込んだ。
そして宇宙を飛び去った。
それから数日後、四人は酒場で祝杯を上げていた。
「乾杯」
「乾杯」
四人は、グラスを合わせた。
「俺たち、やっと成功したな」
竜二は、嬉しそうに言った。
「でも、ほとんど運でしたよね」
春奈が笑った。
「まあ、それも実力のうちだ」
健が言った。
「次わぁ、もっと大きな仕事をしよぉ」
詩乃が提案した。
「いいですね」
竜二は、頷いた。
「よし、次は何を狙うか」
四人は、計画を練り始めた。
だが、その計画も、どうせまた失敗するだろう。
それでも、四人は楽しかった。
失敗しても、仲間がいれば笑える。
それが、宇宙一間抜けな海賊団の、幸せだった。
数ヶ月後、四人は再び宇宙を飛んでいた。
今度の標的は、富豪の宇宙ヨットだった。
「よし、今度こそ完璧に成功させるぞ」
竜二は、意気込んだ。
だが、春奈がまた道を間違え、軍の戦艦に突っ込んだ。
健の作った武器が爆発し、幸運丸のエンジンが故障した。
詩乃の超能力が暴走し、味方の船を吹き飛ばした。
結局、四人はまた逃げることになった。
だが、逃げる途中で、偶然、宇宙海賊王の隠し財宝を発見した。
四人は、大笑いしながら財宝を回収した。
「俺たち運だけは最強だな」
竜二は笑った。
そして、幸運丸は再び宇宙へと飛び去った。
失敗だらけの、それでも楽しい冒険がこれからも続く。
宇宙一間抜けな海賊団の物語は終わらない。




