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世界は静かに壊れている【ショートショート集・短編集】  作者: 御影のたぬき


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【超能力バトル】超能力戦争

 2102年。世界は、二つに分かれていた。

 超能力者「ギフテッド」と、一般人「ノーマル」。

 鷹宮煉は、ギフテッドだった。電撃を操る能力を持っていた。

 煉は「イコライザー」という組織に所属していた。イコライザーの任務は、暴走したギフテッドを倒すことだった。

 ギフテッドは強大な力を持つ。だが、その力に溺れ、暴走する者もいる。彼らは、ノーマルを襲い、街を破壊する。

 煉たちイコライザーは、そんな暴走ギフテッドを止めるために戦っていた。


---


 ある日、煉は組織の上司、神代零から呼び出された。

 零は冷徹な女性だった。感情を表に出さず、常に冷静だった。

「煉、新しい任務だ」

「何ですか」

「キングの討伐」

 煉は息を呑んだ。

 キング。最強のギフテッドと呼ばれる男。重力操作の能力を持ち、都市を破壊する力を持っていた。

「キングが、動き出したんですか」

「ああ。彼は、ギフテッドによる世界支配を目論んでいる」

 零は資料を見せた。

「キングは、ノーマルを排除し、ギフテッドだけの世界を作ろうとしている」

「狂っている」

「そうだ。だから、お前に止めてもらう」

 煉は黙った。

 零は続けた。

「柊原蒼と御園朱音も、お前のチームに加わる」

「蒼と朱音が」

「ああ。三人で、キングを倒せ」

 煉は頷いた。

「分かりました」


---


 煉は、蒼と朱音に会った。

 柊原蒼は、氷結能力を持つ青年だった。冷静沈着で、戦略的な思考ができる。

 御園朱音は、炎熱能力を持つ女性だった。情熱的で、戦いを好む。

「久しぶりだな、煉」

 蒼が手を差し伸べた。

「ああ」

 煉は蒼の手を握った。

「朱音も、元気そうだな」

「当たり前よ」

 朱音は笑った。

「キングを倒すんでしょう。燃えるわ」

 煉は苦笑した。

「相変わらずだな」

 三人は、作戦を練った。

 キングの居場所は、廃墟となった工業地帯だった。キングはそこに拠点を構え、配下のギフテッドを集めていた。

「正面から行くのは、危険だ」

 蒼が言った。

「キングの周りには、多くのギフテッドがいる」

「じゃあ、どうするの」

 朱音が尋ねた。

「奇襲だ」

 煉が答えた。

「俺が陽動する。その隙に、蒼と朱音がキングに近づく」

「危険すぎる」

 蒼が反対した。

「お前一人では、持たない」

「大丈夫だ」

 煉は笑った。

「俺を信じろ」

 蒼は迷ったが、やがて頷いた。

「分かった」


---


 翌日、三人は工業地帯に潜入した。

 煉は、正面から突入した。

 配下のギフテッドたちが、煉を囲んだ。

「イコライザーだ」

「殺せ」

 ギフテッドたちが、煉に襲いかかった。

 炎、氷、風。様々な能力が、煉に向けられた。

 煉は、電撃を放った。

 青白い稲妻が、周囲を駆け巡った。ギフテッドたちが、次々と倒れた。

 煉は、圧倒的だった。

 だが、その時、巨大な力が煉を押しつぶした。

 重力だった。

 煉は地面に叩きつけられた。

 そして、目の前に一人の男が現れた。

 キングだった。

 キングは、長身の男だった。白い髪に、鋭い目をしていた。

「お前が、イコライザーか」

 キングの声は、冷たかった。

「ああ」

 煉は立ち上がろうとした。だが、重力に押さえつけられ、動けなかった。

「無駄だ」

 キングは手を上げた。

「俺の重力操作に、逆らえる者はいない」

 煉は歯を食いしばった。

 その時、氷の槍がキングに向かって飛んできた。

 キングは、重力で氷の槍を弾いた。

「誰だ」

 蒼が現れた。

「柊原蒼。イコライザーだ」

 そして、朱音も現れた。

「御園朱音。同じく、イコライザーよ」

 キングは笑った。

「三人か。面白い」

 キングは、重力を解放した。

 煉は、立ち上がった。

「蒼、朱音、ありがとう」

「礼はいい」

 蒼が言った。

「今は、戦うことに集中しろ」

 三人は、キングに向かった。


---


 戦いが始まった。

 煉の電撃、蒼の氷、朱音の炎が、キングに襲いかかった。

 だが、キングは重力でそのすべてを防いだ。

 電撃は曲げられ、氷は砕かれ、炎は消された。

 キングは、圧倒的だった。

「無駄だ」

 キングは笑った。

「お前たちの攻撃は、俺には届かない」

 キングは、手を振った。

 重力波が、三人を吹き飛ばした。

 煉たちは、地面に叩きつけられた。

「くそ」

 煉は立ち上がった。だが、体が重かった。

 キングの重力が、煉たちを押しつぶしていた。

「このままでは、負ける」

 蒼が言った。

「何か、方法はないのか」

 煉は考えた。

 キングの重力操作は、完璧に見えた。だが、何か弱点があるはずだ。

 煉は、キングを観察した。

 そして、気づいた。

 キングは、常に手を使って重力を操っていた。つまり、手が動かなければ、能力は使えない。

「蒼、朱音」

 煉が叫んだ。

「俺が、キングの動きを止める。その隙に、お前たちが攻撃しろ」

「どうやって」

「任せろ」

 煉は、電撃を集中させた。

 だが、今度は周囲に放つのではなく、自分の体に纏った。

 煉の体が、青白い光に包まれた。

「これは」

 キングが驚いた。

 煉は、キングに向かって走った。

 キングは、重力で煉を止めようとした。

 だが、煉は止まらなかった。

 電撃が、重力を打ち消していた。

 煉は、キングに肉薄した。

 そして、キングの腕を掴んだ。

 電撃が、キングの体に流れ込んだ。

 キングは、痙攣した。

「今だ」

 煉が叫んだ。

 蒼と朱音が、攻撃を放った。

 氷の槍と炎の弾が、キングを貫いた。

 キングは、倒れた。


---


 だが、キングは立ち上がった。

 体には、傷があった。だが、まだ戦える様子だった。

「やるな」

 キングは笑った。

「だが、まだ終わりじゃない」

 キングは、両手を上げた。

 周囲の重力が、歪んだ。

 建物が浮き上がり、地面が割れた。

 煉たちは、必死で耐えた。

「これが、俺の本気だ」

 キングは叫んだ。

 重力の嵐が、煉たちを襲った。

 煉は、電撃で防いだ。蒼は、氷の壁を作った。朱音は、炎で重力を燃やそうとした。

 だが、キングの力は、圧倒的だった。

 煉たちは、追い詰められた。

 その時、煉は気づいた。

 自分の電撃は、単なる電気ではない。

 煉の電撃は、神経系を操る力を持っていた。

 煉は、それに気づいていなかった。だが、今、確信した。

 煉は、電撃をキングに向けて放った。

 だが、今度は違った。

 電撃は、キングの体ではなく、キングの脳に向かった。

 キングは、叫んだ。

 頭を抱え、苦しんだ。

 煉の電撃が、キングの神経系を乱していた。

 キングの能力が、制御不能になった。

 重力が、暴走した。

 周囲のすべてが、浮き上がり、そして崩れた。

 煉は、電撃を止めた。

 キングは、倒れた。

 そして、動かなくなった。


---


 戦いは、終わった。

 煉たちは、キングを捕らえた。

 だが、キングは既に意識がなかった。煉の電撃が、キングの脳に深刻なダメージを与えていた。

「煉、お前、何をした」

 蒼が尋ねた。

「分からない」

 煉は正直に答えた。

「ただ、電撃を放っただけだ」

「でも、キングは」

「ああ」

 煉は、自分の手を見た。

「俺の能力は、神経系を操るものだったらしい」

 朱音が言った。

「それは、危険な力ね」

「ああ」

 煉は頷いた。

「使い方を間違えれば、人を殺せる」

 三人は、黙った。

 やがて、零が現れた。

「ご苦労だった」

「零さん」

「キングは、確保した。だが、もう目覚めることはないだろう」

 煉は、罪悪感を覚えた。

「俺が、やりすぎたんですか」

「いや」

 零は首を横に振った。

「お前は、正しいことをした。キングは、危険すぎた」

 煉は、何も言えなかった。

 零は続けた。

「だが、お前の力も危険だ。気をつけろ」

「分かっています」

 煉は頷いた。


---


 それから数日後、煉はキングの病室を訪れた。

 キングは、ベッドに横たわっていた。目を閉じ、動かなかった。

 煉は、キングの隣に座った。

「すまない」

 煉は呟いた。

「俺が、お前をこうした」

 キングは、何も答えなかった。

 煉は、キングの手を握った。

 その時、キングの目が開いた。

 煉は驚いた。

「キング」

「煉、か」

 キングの声は、弱々しかった。

「なぜ、目覚めた」

「分からない」

 キングは笑った。

「だが、もう長くない」

「何を言っている」

「俺の脳は、もう壊れている。お前の電撃のせいでな」

 煉は、俯いた。

「すまない」

「謝るな」

 キングは言った。

「お前は、正しいことをした」

「でも」

「俺は、間違っていた」

 キングは天井を見た。

「ギフテッドだけの世界を作ろうとした。だが、それは間違いだった」

「なぜ、そう思ったんだ」

「ノーマルを排除すれば、世界は平和になると思った」

 キングは続けた。

「だが、違った。ギフテッドもノーマルも、同じ人間だ。共存しなければならない」

 煉は、頷いた。

「そうだ」

「煉、お前に頼みたいことがある」

「何だ」

「ギフテッドとノーマルの、共存の道を探してくれ」

 キングは煉を見た。

「お前なら、できる」

 煉は、涙を流した。

「分かった」

 キングは、微笑んだ。

「ありがとう」

 そして、キングは目を閉じた。

 二度と、開くことはなかった。


---


 煉は、キングの葬儀に参列した。

 多くのギフテッドが、集まっていた。

 彼らは、キングを悼んだ。

 煉は、キングの墓の前に立った。

「キング、約束する」

 煉は呟いた。

「俺は、ギフテッドとノーマルの共存の道を探す」

 煉は、決意した。


---


 それから、煉はイコライザーを辞めた。

 そして、新しい組織を作った。

 名前は「ブリッジ」。ギフテッドとノーマルを繋ぐ組織だった。

 蒼と朱音も、煉に協力した。

 三人は、各地で活動した。ギフテッドとノーマルの対話を促し、共存の道を模索した。

 最初は、誰も信じなかった。

 だが、次第に賛同者が増えていった。

 数年後、ブリッジは大きな組織になっていた。

 ある日、煉は街を歩いていた。

 そこでは、ギフテッドとノーマルが一緒に働いていた。笑い合い、助け合っていた。

 煉は、微笑んだ。

「キング、見ているか」

 煉は空を見上げた。

「俺たちは、やったぞ」

 空は、青かった。

 煉は、歩き続けた。

 まだ、道は長い。

 だが、煉は諦めない。

 ギフテッドとノーマルの共存。

 それが、煉の目標だった。


---


 数十年後。

 煉は、老いていた。

 だが、煉は戦い続けた。

 ある日、煉は若いギフテッドに会った。

「煉さん、教えてください」

 若者は尋ねた。

「どうすれば、ギフテッドとノーマルは、本当に共存できるんですか」

 煉は、笑った。

「簡単だ」

「何ですか」

「互いを、尊重することだ」

 煉は続けた。

「ギフテッドは、ノーマルを見下してはいけない。ノーマルは、ギフテッドを恐れてはいけない」

「それだけですか」

「ああ」

 煉は頷いた。

「それだけだ。だが、それが一番難しい」

 若者は、考え込んだ。

 やがて、若者が言った。

「分かりました。俺も、頑張ります」

「頼んだぞ」

 煉は、若者の肩を叩いた。

 そして、立ち去った。

 煉は、空を見上げた。

 夕日が、沈もうとしていた。

 煉の人生も、終わりに近づいていた。

 だが、煉には後悔はなかった。

 煉は、自分の使命を果たした。

 ギフテッドとノーマルの共存。

 それは、まだ完全ではない。

 だが、確実に進んでいる。

 煉は、満足した。

 そして、静かに微笑んだ。


---


 煉が死んだ時、多くの人々が悼んだ。

 ギフテッドも、ノーマルも、煉の死を悲しんだ。

 煉の葬儀には、何千人もの人が集まった。

 蒼と朱音も、そこにいた。

 二人は、煉の墓の前に立った。

「煉、お前は偉大だった」

 蒼が言った。

「お前がいなければ、俺たちはここまで来られなかった」

 朱音も言った。

「ありがとう、煉」

 二人は、涙を流した。

 そして、煉に別れを告げた。

 煉の魂は、空へと昇っていった。

 そこには、キングが待っていた。

「よく来たな、煉」

「キング」

「お前は、約束を果たしたな」

「ああ」

 煉は笑った。

「ギフテッドとノーマルは、共存し始めている」

「そうか」

 キングも笑った。

「ありがとう、煉」

 二人は、握手をした。

 そして、共に光の中へと消えていった。

 地上では、人々が生きていた。

 ギフテッドとノーマルが、共に。

 煉の遺志は、受け継がれていた。

 そして、それは永遠に続く。

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