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世界は静かに壊れている【ショートショート集・短編集】  作者: 御影のたぬき


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114/210

【復讐劇】裁きの記録 ―15年越しの清算―

プロローグ ―記録の始まり―

 2024年11月15日。

 白石透は、自宅のアパートで15年分の資料を整理していた。

 段ボール箱5箱分。

 中学時代の日記。破られたノート。汚された教科書。

 診断書のコピー。カウンセリング記録。

 そして、15年かけて集めた証拠。

 SNSのスクリーンショット。通話記録。メールのログ。

 加害者たちの現在の生活。職場。家族構成。交友関係。

 全てが、ここにある。

「もう、いいだろう」

 透は呟いた。

「お前たちが幸せになるのを、十分に待った」

「家族を持って、守りたいものができた」

「失うものができた」

「今なら、わかるはずだ」

「奪われるということが、どういうことか」

 透はパソコンを開き、ウェブサイトのアップロードボタンにカーソルを合わせた。

 サイト名:「中学3年2組の真実 ―2010年度―」

 これから始まるのは、裁判ではない。

 法廷での戦いでもない。

 社会という名の、最も残酷な法廷での、公開処刑だ。



第一章 公開

 1. 2024年11月16日 - サイト公開

 午前0時、ウェブサイトが公開された。

 トップページには、こう書かれている。

 中学3年2組の真実 ―2010年度―

 このサイトは、2010年、◯◯市立中学校3年2組で起きたいじめの記録です。

 被害者:白石透(当時14歳)

 加害者:実名・顔写真付き

 証拠:

 日記(スキャン画像)

 破損した持ち物の写真

 医療記録

 SNSでの中傷投稿(魚拓)

 音声記録

 目撃証言

 このいじめにより、被害者は以下の被害を受けました:

 PTSD診断

 不登校

 自傷行為

 家庭崩壊

 加害者たちは現在、何事もなかったかのように生活しています。

 彼らの現在:

 沢村健太:建設会社経営者

 三浦恵:小学校教師

 岡田修:市役所職員

 田中美咲:看護師

 佐々木裕介:医師

 彼らは、罪を償っていません。

 彼らは、謝罪していません。

 彼らは、忘れています。

 でも、私は忘れていません。

 サイトには、膨大な資料が整理されていた。

 時系列順の日記。

「2010年4月7日

 今日からクラス替え。沢村たちと同じクラスになった。嫌な予感がする」

「2010年4月15日

 休み時間、誰も話しかけてこない。一人で本を読んでいたら、三浦が『暗い』と笑った」

「2010年5月23日

 教科書がなくなった。探したら、ゴミ箱に捨てられていた。ページが破られている」

「2010年6月10日

 体育の時間、わざとボールをぶつけられた。痛かった。先生は見ていたのに、何も言わなかった」

「2010年7月2日

 もう学校に行きたくない。でも、親に言えない。家でも居場所がない」

 記録は3年間続いている。

 さらに、音声ファイルも公開されていた。

「ファイル001 - 2010年9月12日 休み時間」

(笑い声)

「おい、白石、お前マジでキモいな」

「うわ、喋んなよ、臭いが移る」

(爆笑)

「ファイル023 - 2011年1月20日 放課後」

「白石が泣いてたぞ、マジウケる」

「あいつ、人間じゃないよね」

「うん、ゴミ」

 SNSの投稿も、全て保存されていた。

 三浦恵(当時のアカウント名:@Megumi_ks)

「今日も学校で笑った。あいつマジ面白い(笑)存在が笑える」

 沢村健太(当時のアカウント名:@Kenta_swmr)

「透って名前なのに透明人間w 誰も相手にしてねーし」

 そして、現在の彼らの生活も記録されていた。

 沢村健太の会社のウェブサイト。

「地域に貢献する建設会社を目指して」

 三浦恵のSNS。

「子どもたちの笑顔が私の宝物❤️ 教師として、毎日幸せです」

 岡田修の市役所での表彰記録。

「地域サービス向上に貢献」

 対比が、あまりにも残酷だった。

 2. 拡散

 サイト公開から6時間後、SNSで話題になり始めた。

「これ、マジ?ひどすぎる」

「加害者、今も普通に生活してるの?」

「教師が加害者って、ありえない」

 12時間後、地元のネット掲示板で炎上。

「沢村建設って、あの会社か」

「三浦恵、うちの子の学校の先生じゃん...」

「市役所職員が中学時代いじめ加害者とか、税金で給料もらってんの?」

 24時間後、まとめサイトが記事化。

「【衝撃】元いじめ加害者、現在は教師・公務員・経営者に...被害者が15年分の証拠を公開」

 48時間後、テレビのワイドショーが取り上げた。

「ネットで話題の『復讐サイト』、その真相は」



第二章 崩壊

 3. 沢村健太の場合

 サイト公開から3日目。

 沢村健太の会社に、電話が殺到した。

「お宅の社長、中学時代にいじめしてたって本当ですか?」

「そんな人間が経営する会社とは取引できません」

「契約、解除させていただきます」

 社員たちも、ネットで会社を検索して気づいた。

「社長...あの、ネットで...」

 沢村は真っ青になった。

「違う、あれは...昔のことで...」

「昔のこと?」年配の社員が冷たく言った。

「人を追い詰めておいて、昔のこと、ですか」

 取引先が次々と離れていく。

 銀行からの融資も止まった。

 1週間後、会社は事実上の倒産状態に。

 妻は、サイトを見て言った。

「あなた...こんなことしてたの?」

「昔のことだ!もう15年前だ!」

「15年?被害者は15年間、苦しんでたのよ」

 妻は娘を連れて、実家に帰った。

 4. 三浦恵の場合

 サイト公開から2日目。

 学校に保護者からの問い合わせが殺到した。

「三浦先生、いじめ加害者だったって本当ですか?」

「うちの子、三浦先生のクラスなんですけど、大丈夫ですか?」

「いじめをしてた人が教師って、どういうことですか?」

 校長が三浦を呼び出した。

「三浦先生...この件、事実ですか?」

「それは...中学の時のことで...」

「事実なんですね」

「でも、もう昔のことで、私は変わって——」

「保護者からの信頼が失われました。教育委員会からも連絡がありました」

「自主退職をお願いします」

 三浦は崩れ落ちた。

「お願いします...教師が、私の全てなんです...」

「なら、被害者にとって、学校は何だったんでしょう」

 校長の言葉は冷たかった。

 三浦のSNSアカウントは、批判のコメントで埋め尽くされた。

「子どもの笑顔が宝物?よく言えるね」

「人を追い詰めてた人間が、教師?」

「あなたの息子さん、いじめられたらどう思う?」

 フォロワーは一夜で10分の1に減った。

 夫は、冷たく言った。

「もう、一緒にいられない」

 離婚届が突きつけられた。

 5. 岡田修の場合

 サイト公開から4日目。

 市役所に市民からの抗議が殺到した。

「いじめ加害者が公務員?」

「税金で給料払ってるんですか?」

「すぐに辞めさせてください」

 市議会でも問題になった。

「この件、どう対処するんですか?」

 市長が答える。

「調査中です。事実であれば、厳正に対処します」

 岡田は上司に呼ばれた。

「岡田くん...依願退職してくれないか」

「でも、これは15年前のことで——」

「市民の信頼が失われた。君がいることで、市役所全体のイメージが悪化している」

 岡田は退職を余儀なくされた。

 妻は、泣きながら言った。

「子どもたちがいるのよ...これからどうするの...」

「わからない...」

 家族を養う術を失った岡田は、絶望した。

 6. 田中美咲の場合

 病院にも、患者からの苦情が入った。

「田中さんに看護してもらいたくない」

「いじめをしてた人に、命を預けられない」

 看護部長が田中を呼んだ。

「田中さん...これは事実?」

「...はい」

「なぜ、今まで黙っていたの?」

「過去のことだと思って...」

「過去は消えないのよ。被害者は15年間、苦しんでたのよ」

 田中は配置転換され、事実上の降格となった。

 職場で孤立し、誰も話しかけてこなくなった。

 かつて、自分が白石にしたことと、全く同じ状況だった。

 7. 佐々木裕介の場合

 医師国家試験に合格し、父の医院を継ぐ予定だった佐々木。

 だが、患者たちがサイトを見つけた。

「佐々木先生の息子さん、いじめしてたの?」

「そんな人に診てもらいたくない」

 父親が佐々木を呼んだ。

「裕介...お前、何をしてたんだ」

「父さん...それは...」

「この医院は、地域の信頼で成り立ってるんだ!」

「お前のせいで、全てが崩れる!」

 父は激怒し、佐々木を勘当した。

 婚約者も、婚約を破棄した。

「ごめんなさい...でも、こんなこと知ってたら...」

 佐々木は全てを失った。

 8. 村田浩教師の場合

 当時の担任、村田浩。

 彼もサイトで名指しされていた。

「村田教師は、いじめを見て見ぬふりをした」

 証拠として、当時の白石の母親が学校に相談した記録も公開されていた。

「息子がいじめられています。助けてください」

 だが、村田の返答はこうだった。

「お子さんにも、問題があるのでは?」

 この記録が公開されると、学校に抗議が殺到した。

「教頭がいじめを放置?」

「こんな人が教育者?」

 教育委員会が動いた。

「村田教頭、懲戒処分とします」

 村田は退職金なしで、依願退職となった。



 第三章 追い詰められた者たち

 9. 加害者たちの集会

 サイト公開から2週間後。

 沢村、三浦、岡田、田中、佐々木の5人が、夜の公園で集まった。

 全員、やつれていた。

「...どうする」

 沢村が呟く。

「警察に被害届を出すか?」

 岡田が提案する。

「何の罪で?」

 三浦が虚ろな目で言う。

「全部、事実だもん」

「でも、これはプライバシーの侵害だ!名誉毀損だ!」

 佐々木が叫ぶ。

「名誉?」

 田中が笑う。

「もう、名誉なんてないよ」

 沢村が頭を抱える。

「会社も、家族も、全部なくなった...」

「私も」

 三浦が震える声で言う。

「教師の資格も、夫も、全部...」

「俺も」

 岡田が続ける。

「仕事も、妻からの信頼も...」

「僕も」

 佐々木が泣き崩れる。

「父に勘当されて...婚約者にも捨てられて...」

「私も...」

 田中が絞り出す。

「職場で、誰も話しかけてこない...あの時の白石と同じ...」

 沈黙。

「...謝罪、するか?」

 沢村が提案する。

「今更?」

 三浦が嘲笑う。

「15年遅いよ」

「でも、何かしないと——」

 その時、沢村の携帯が鳴った。

 メールだ。

 差出人:白石透

 件名:会いましょう

 本文:

 皆さん、お元気ですか?

 サイト、見ていただけましたか?

 一度、会ってお話ししたいです。

 場所:◯◯公園

 日時:明日、午後8時

 来てください。

 全員で。

 白石透

 5人は顔を見合わせた。

「...行くのか?」

「行くしかないだろう」

 10. 再会

 翌日、午後8時。

 人気のない公園に、5人が集まった。

 そして、白石透が現れた。

 15年ぶりの再会。

 透は、当時の面影を残しつつも、落ち着いた雰囲気の大人になっていた。

「...久しぶり」

 透が静かに言う。

 沢村が一歩前に出る。

「白石...すまなかった」

「すまなかった?」透が冷たく笑う。

「15年、何してた?」

「それは...」

「忘れてたんだろ?」

「楽しく生きてたんだろ?」

「家族作って、仕事して、幸せだったんだろ?」

 透の声が、震える。

「俺は、15年間、地獄だったよ」

「毎晩、悪夢を見た」

「人が怖かった」

「誰も信じられなかった」

「友達も作れなかった」

「恋愛もできなかった」

「就職も、何度も失敗した」

「全部、お前たちのせいだ」

 三浦が泣きながら言う。

「ごめんなさい...本当に、ごめんなさい...」

「謝って済むなら、警察はいらない」透が冷たく言う。

「俺が欲しかったのは、謝罪じゃない」

「お前たちが、俺と同じ苦しみを味わうことだ」

「そして、それは実現した」

 岡田が震える声で言う。

「もう、十分だろ...俺たちは全て失った...」

「全て?」透が笑う。

「まだ命があるじゃないか」

「俺は、何度も死のうと思った」

「でも、死ねなかった」

「なぜだと思う?」

「お前たちに、報いを受けさせるためだ」

 佐々木が叫ぶ。

「もうやめてくれ!サイトを閉じてくれ!頼む!」

「嫌だ」透が断言する。

「あのサイトは、永遠にネットに残る」

「お前たちの罪は、永遠に記録される」

「就職しようとしても、結婚しようとしても、引っ越そうとしても、必ず見つかる」

「一生、追いかけてくる」

「俺がそうだったように」

 田中が崩れ落ちる。

「じゃあ...私たちは、これからどうすれば...」

 透が冷たく言う。

「知らない」

「お前たちが、俺にそうしたように、自分で考えろ」

「誰も助けてくれない絶望を、味わえ」

 


第四章 波紋

 11. 家族への影響

 沢村健太の娘(5歳)が、保育園でいじめられるようになった。

「お前のパパ、悪い人なんでしょ」

 子供は残酷だ。親の罪を、子供が背負う。

 三浦恵の息子(3歳)も、母親の異変に気づいていた。

「ママ、どうして泣いてるの?」

 岡田修の双子(2歳)は、まだ何も知らない。

 だが、父親の失業により、生活は困窮していく。

 12. 社会の反応

 サイト公開から1ヶ月。

 ネット上では、意見が二分していた。

 擁護派:

「いじめ被害者の気持ちを考えろ」

「加害者は罰を受けるべき」

「15年間苦しんできたんだぞ」

 批判派:

「やりすぎだ」

「家族まで巻き込むのは間違ってる」

「過去を蒸し返すな」

 だが、透は動じなかった。

 彼のTwitterアカウントで、こう発信した。

「『やりすぎ』という人へ。私は15年間、毎日が『やりすぎ』でした。暴力、侮辱、孤立、絶望。

 毎日が地獄でした。『家族まで巻き込むな』という人へ。私の家族も巻き込まれました。

 両親は離婚しました。

 妹は、私のせいで学校でいじめられました。

『過去を蒸し返すな』という人へ。

 被害者にとって、過去は現在です。

 今も苦しんでいます。今も、夢に見ます。

 加害者だけが『過去』にできるんです。

 それが、不公平だと思いませんか?」

 このツイートは、10万リツイートを超えた。

 13. 法的措置

 加害者たちは、弁護士に相談した。

「名誉毀損で訴えられませんか?」

 弁護士は首を振った。

「難しいですね。全て事実であれば、名誉毀損は成立しにくい」

「でも、プライバシーの侵害は?」

「公共の利益に関わる情報であれば、正当化される可能性があります」

「じゃあ、どうすれば...」

「謝罪して、和解を試みるしかありません」

 だが、透は和解を拒否した。

「謝罪は受け取らない。和解もしない」

 


第五章 終わりなき裁き

 14. 1年後

 サイト公開から1年。

 加害者たちの人生は、完全に変わっていた。

 沢村健太は、会社を失い、家族を失い、日雇い労働者となっていた。

 かつての仲間たちは、誰も連絡してこない。

 三浦恵は、教師の職を失い、離婚し、実家に戻っていた。

 息子との面会も制限されている。

 SNSアカウントは削除した。

 岡田修は、再就職先が見つからず、家族との関係も冷え切っていた。

 妻は離婚を考えている。

 田中美咲は、病院を辞め、別の県に引っ越した。

 だが、そこでもサイトが見つかり、孤立した。

 佐々木裕介は、医師の道を諦め、別の仕事を探していた。

 だが、面接のたびに、サイトが見つかり、不採用となる。

 村田浩は、退職後、引きこもっていた。

 家族からも疎まれている。

 白石透は、普通に生活していた。

 仕事を続け、趣味を楽しみ、友人と会い、笑い、生きていた。

 サイトは、そのまま残っている。

 15. ある日の出来事

 1年半後のある日。

 透の元に、一通の手紙が届いた。

 差出人:沢村健太

「白石へ

 もう、許してくれ。俺は全てを失った。

 家族も、仕事も、友人も、未来も。

 毎日、死にたいと思う。でも、死ねない。

 これ以上、何を失えばいいんだ。

 何をすれば、許してもらえるんだ。

 頼む。サイトを閉じてくれ。沢村健太」

 透は、手紙を読んで、笑った。

 そして、返事を書いた。

「沢村へ

 お前の手紙、読んだよ。『もう許してくれ』?

『これ以上、何を失えばいいんだ』?

 面白いこと言うね。俺に聞くなよ。

 俺は中学の時、何度もお前に聞いたよ。

『もうやめてくれ』『これ以上、何をされればいいんだ』

 でも、お前は笑ってたよね。だから、俺も笑うよ。

 サイトは閉じない。永遠に残す。

 お前が死んでも、残す。お前の子供が大人になっても、残す。お前の孫の代になっても、残す。

 それが、俺の答えだ。白石透」



 終章 救いなき結末

 16. 5年後

 サイト公開から5年。

 加害者たちの人生は、回復しなかった。

 沢村健太は、アルコール依存症になっていた。

 娘は母親に引き取られ、もう会っていない。

 三浦恵は、鬱病を発症し、通院していた。

 息子との面会も、月に一度だけ。

 岡田修は、離婚し、一人暮らしをしていた。

 双子の子供たちは、父親のことを覚えていない。

 田中美咲は、3度引っ越したが、どこでもサイトが見つかり、孤立した。

 もう、誰も信じられない。

 佐々木裕介は、名前を変えようと考えたが、それでも過去は消えなかった。

 村田浩は、自宅で孤独死した。

 発見されたのは、3週間後だった。

 白石透は、相変わらず普通に生活していた。

 ただ、夜、一人になると、時々思う。

「これで、良かったのか?」

 彼らを破滅させて、自分は救われたのか?

 答えは、ない。

 復讐は、何も生まなかった。

 ただ、破壊しただけだ。

 でも、透には、もう止められない。

 サイトは残り続ける。

 記録は消えない。

 17. 10年後

 サイト公開から10年。

 世間は、もうこの事件を忘れかけていた。

 だが、当事者たちは、忘れられない。

 加害者たちは、今も苦しんでいる。

 そして、透も苦しんでいる。

 復讐は終わったが、心の傷は癒えない。

 誰も幸せにならなかった。

 ただ、全員が不幸になっただけだ。

 ある日、透は中学時代の校舎の前を通りかかった。

 建て替えられて、もう当時の面影はない。

「...結局、何も変わらなかったな」

 透は呟いた。

「お前たちを破滅させても、俺の過去は消えない」

「俺の傷は、癒えない」

「ただ、不幸が増えただけだ」

 だが、後戻りできない。

 サイトは今も公開されている。

 記録は永遠に残る。

 苦しみも永遠に続く。

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水が死んだ日

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