委員長ちゃんは俺を従えたい
カーテンを隔てても伝わる陽光に包まれながら俺、黒瀬 蓮は教室の机に顔を埋めて、夢の世界へ意識を飛ばそうとしたが、⋯⋯誰かに肩を叩かれ意識を戻される。 俺は仕方なく前を向いた、そこには黒髪の少女が腕組みをして偉そうにこちらを見ている。 俺はまた視線を机に戻し夢の中へ⋯⋯
「おい! 黒瀬蓮! 起こしたのに寝るとは何事だ!」
「休憩時間に寝ることの何が悪いんです?」
「お前には私と付き合ってもらう」
「今、眠いんで⋯⋯話なら後にしてくれません、神崎 さん」
「⋯⋯放課後ならいいのか?」
「しょうがないですね、わかりました。 ではそう言うことで」
彼女がまだ何か言っていたような気がするがよく聞こえない⋯⋯神崎瑠依ーー別名委員長ちゃんと呼ばれる彼女はその名の通りこのクラスの委員長だ、真面目なのだが、どこか危なっかしい印象があり、正直俺にとっては苦手なタイプである。 にも関わらず何故か、彼女の方はことあるごとに、俺に構ってくるから不思議だ⋯⋯今日も放課後に彼女と会話をする必要があるらしい。 別にどうでもいいが問題なく用事が済むことを願う。
「話はなんでしょう、神崎さん」
「黒瀬蓮! お前には私と付き合ってもらう」
「はい、いいですよ。 ではそういうことで」
「⋯⋯本当にいいのか?」
「はい、構いませんよ。 それで何をしましょうか」
「⋯⋯っ。 とりあえず一緒に帰るぞ」
「はい、わかりました」
何かよくわからないが、一緒に帰りたいらしい。 それなら帰るだけだしなんの問題もない、彼女の要望も叶うし一石二鳥じゃないか。 じゃあ、ささっと帰ろう。
帰り道は彼女も同じ方面だ、俺は帰った後にする事で頭を悩ませていた。
「⋯⋯なあ、黒瀬蓮!」
「漫画かゲームか悩みますね」
「黒瀬蓮! 貴様! 私の話を聞いているのか!」
「あ⋯⋯そうですね、神崎さんは小説派ですか。」
「え? ⋯⋯私は勉強派だ。 ⋯⋯って違う! 黒瀬蓮! 貴様~」
そうか勉強派か⋯⋯なるほどね、俺は納得したように空を見上げた。 小腹がすいて来た⋯⋯ふと彼女を見れば、夕焼けのせいか小さな彼女の顔が赤く染まっていた。 まん丸の赤⋯⋯そういえば家にリンゴがあったな。
「むいて食べたら美味しいそうですね」
「⋯⋯っえ 黒瀬蓮! そういうのは、これからもっと深くお互いを理解してからだな⋯⋯」
「どうしました、神崎さん」
「どうしたも、こうしたも、お前がそんなこと言うからだろ! 勝手にむくな! わかったか」
「申し訳ございません、以後気をつけます」
知らなかった、⋯⋯彼女はリンゴの皮を剥かずにそのまま食べる人だったのか。 俺は彼女の意外な事実を知り彼女への印象が少し変わったのであった。
「では、お別れですね」
「⋯⋯ぇ、そんな、まだこれからなのに⋯⋯」
「仕方ないでしょう」
「そんな⋯⋯考え直して。 私、別れたくないよ~」
「別れたくないって、⋯⋯俺を貴方の家の中に入れるつもりですか? 貴方の家に着きました。 では、また明日お会いしましょう」
「そう言うことか⋯⋯黒瀬蓮! まったく冗談が過ぎるな⋯⋯じゃあまた明日な」
そう言うと彼女は、どこか嬉しそうに去って行った⋯⋯よくわからないが本人が楽しそうならそれでいいか。
「おはよう! 黒瀬蓮! さあ、行くぞ!」
「おはようございます。 今日は元気ですね」
「当然だろ! 何をわかりきったことを⋯⋯さあ行くぞ!」
そう言うと彼女は先を歩いていく⋯⋯そしてたまに振り返って俺がついて来ているのか確認して、満足気に前を向く⋯⋯うむ、どうやら彼女は俺を従えたいようだ。 まあそれで彼女が納得するならそれでいいか⋯⋯
「おい! あれ委員長ちゃんと黒瀬だよな、あいつらやっと付き合ったのか」
「委員長ちゃん何時も、黒瀬に話かけたからな⋯⋯」
「でもさ、あれってなんか違うように見えね?」
「そうだな⋯⋯どう見ても、黒瀬が委員長ちゃんを見守っているように見えるな。 子供を見守る親目線だなありゃ」




