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4 留学

読んでくださりありがとうございます

 ローザは隣国へ行き叔母の屋敷に身を寄せた。叔母は年頃の子供が三人もいるようにはとても見えない美魔女だった。さすが一目惚れをされただけある若々しい美貌をされていた。旦那様のハンス様はイケオジでとてもお似合いの夫婦だった。


「ローザちゃん、良く来てくれたわね。何年ぶりかしら。お兄様達も元気にしてらっしゃるかしら」


「はい、お陰様で皆変わりなく過ごしています。叔母様は相変わらずお若くてお綺麗ですね。この度は無理を聞いてくださってありがとうございます。両親からくれぐれもよろしくとのことです。グレース皆様にお土産をお渡しして」


「はい、お嬢様」


叔父様にはよりすぐりの高級ワイン、叔母様には幻と言われている絹の織物を一反、お兄様達には流行のガラスペンを色違いで、一つ下のソフィアにはピンクブロンドの髪に似合う赤いルビーで出来た花の髪飾りを贈り、使用人たちには焼き菓子を沢山用意して来た。


「ローザがレディになってる」


「ミラン兄様酷い、お土産無しにしますよ」


「何年も会ってなかったから、急に大人になって驚いただけだよ」


「ローザお姉様お土産ありがとう。可愛い髪飾りで嬉しいわ。それにこんなに綺麗なお姉様と一緒に生活できて学院にも通えるなんて夢みたい」


「私もこんなに可愛い妹が出来て嬉しいわ。女の子同士のお話が出来るのがとても楽しみだったの。ライアンお兄様これからどうぞよろしくお願いしますね」


「ああ、実家だと思って気楽に過ごしてくれれば良いよ」


「さあさあローザちゃんは疲れたでしょうからお部屋でゆっくりすると良いわ。グレース達もローザちゃんの部屋を覚えて早くこの屋敷に慣れなさい。護衛も専用の部屋があるからそこに荷物を置いて、家の護衛達に慣れてね。取り敢えず皆疲れたでしょうからゆっくりお茶を飲んで頂戴」


「お気遣いありがとうございます。お茶を頂きます」


「皆、私に付き合って隣国まで来てくれてありがとう。お休みは交代で取って貰うから安心してね。何かあったら相談して頂戴ね、出来るだけ要望に応じるから」


「お嬢様、必ずお守りしますのでご安心ください」


「うん、信じてる」



「お姉様お部屋に行きましょう。私の部屋の隣よ。メイド達も連れて行く?」

「そうね、場所を覚えてもらったほうが良いからそうしようかしら」


屋敷は一階の奥が叔父様の執務室、出口近くに幾つかの応接室、厨房とパントリー、護衛や侍従の控室に洗濯物の部屋、使用人の休憩室等出入りが激しい人達の部屋で、二階以上が客室やダンスルーム、サンルームがあり、三階が家人の私室になっていた。客室と私室にはトイレとお風呂が勿論備え付けだ。


私にはソフィアと同じ三階の日当たりのいい大きな部屋が用意されていた。

あまり時間が無かったはずなのに壁紙は薄いピンク色で家具は白を基調にした女の子が好きそうな上品な物で揃えられていた。


「まあ、素敵なお部屋。ここで暮らせるなんて嬉しいわ。陽も良く当たって明るいのね」


「お姉様の為に私がプロデュースしたの。私の部屋は白い壁紙に薄いピンクの家具なの」


「そっちも可愛いでしょうね」


「サンルームでお茶を飲んだらゆっくりしてね。疲れているのに引っ張り回してごめんなさい」


「こんなに良くして貰ったのに謝らないで。ソフィアとは本当の姉妹のように仲良くなりたいの」


「嬉しい、お兄様達だけだったからこれから一緒にお洋服を買いに行ったり、美味しいカフェで色々なことをお喋り出来るのが楽しみだったの。じゃあお茶に行きましょう」



皆でお茶を飲んだ後ローザは部屋に帰りベッドに横になると、疲れもあり夕食まで眠ってしまった。その間にグレース達は持ってきていたドレスを衣装部屋に吊るしたり、新しく入学する国立学院の教科書を揃えたりときびきびと働いていた。



夕食の前にお湯に浸かりドレスに着替えさせられたローザは食堂へ行き、その豪華なメニューに驚いた。スープに始まり海の幸からお肉、新鮮な野菜まで芸術的なお皿が給仕たちの手によって運ばれて来るのだ。


「叔母様こんなに豪華な料理、全部は頂けませんわ」


「ローザちゃんの歓迎の意味で色々作らせたの、嫌いなものとかあるかしら」


「好き嫌いはありませんが数が多すぎて残してしまいそうです」


「残った物は食べてあげるから気にせずに好きなものだけ食べなよ」


「ミラン兄様ありがとう。手を付けずに置いておくからよろしくお願いします。あのグレース達も今頃食事をさせて貰っているのでしょうか?」


「もちろんよ、使用人用の食堂が一階にあるから交代で食べていると思うわ。ローザちゃんは本当に優しいのね」


「私のために付いてきてくれたので大事にしたいのです。結婚してない者や恋人のいない者の中でお父様が信頼できる者を付けてくれましたので、私が責任を持たなくてはと思っているのです」


「皆独身なのね、お兄様はそこは心配ではなかったのかしら」


「家族や恋人と離すのは気がとがめるので私がお願いしましたの」


「まあ間違ってはいないけど、発想が斜め上かもしれないわね。でも皆しっかりローザちゃんを守りそうだから頑張ってもらいましょうか」


そうして賑やかに夜が更けていった。








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