折り合いが悪いのだ
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
実家帰りたいよ〜!!
内心泣き喚く成人です。
改札を出て開始一秒足らず、早速目を回した。やはりこの場所とは折り合いが悪い。
鳴り響く電子音混じりの広告トラックも、大音響かせる電光掲示板も、弾けんばかりの人の声も、濃密な甘ったるい匂いに至るまで、全て全て全て、この空間を掻き回す材料に他ならない。
そうしてぐるりぐるりと空間を掻き回され、私もその餌食となる。あぁ……ほんとうに折り合いが悪い。早く帰りたい。
「君、コート貸しくてくれない? 代わりに私のコート貸してあげるから」
「は?」
相手は非常に困惑した様子で此方を見詰めている。何がしたいのか分からないと顔に書いてある。まぁ非常に一般的な反応であるが、今はそれどころでは無い。
私は釣り上がる目付きを感じながら、彼の後ろに回り込み、思いきり顔を押し付けた。そして、まずは一息、鼻を鳴らす。
とろとろと香るのは、べったりと鼻に纏わり着く甘苦いムスクでは無く、仄かに漂う爽やかな森林の香り。この匂いを嗅いでいる時だけ、あの場所に帰ってきたと思う。そうそれは、古書の街しかり、上下が入り交じる街であり、高貴で洗礼された街でもある。
ただいま実家。実家からは非常に程遠い場所にあるけれど、あれは実質実家。
「あー……」
「……とりあえず、此処街中……」
彼の引き気味な反応を他所に、私は彼にピッタリと寄り添った。
とりあえず用事を五分で済ませて、あの街から遠のいた。今はオアシス的な場所に避難したので、先程までの奇妙な酩酊感はない。
気分が落ち着いて来たので改めて。
「匂いフェチなのね。多分一般的な言葉で表すと。だから環境が合わないと、マジ吐きそうになるの」
「……汚すなよ……」
「だからさっきのあれば許してほしいかなーって」
高々場所如きで。と皆思うだろう。私もそう思う。だから時間が経つと、かなり嘗めた態度で街に降り立つ。そうして今のような現象を引き起こす。
「あと説明」
「それは御免。五分で終わる用事だったから、油断ぶっこいた」
以下何でも許せる方向け。
個人の意見飛び交います。私の発言が許せる方のみ宜しくお願いします。
改札から覗く景色が見えた途端、
あ、これ駄目な奴。
フラフラすること早一分。
実家帰りたいよ〜。(是非ダミ声でお願いします)
用事を済ませる事早五分。
街に酔った。実家帰りたい。
という訳で、絶賛脱走しました。
探したけれども地形から違う。
似たような場所を見つけたけれども内装が違う。
短い旅だった。
実家じゃないけれど、あれは実質実家。
じゃぶじゃぶしなければ。