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第8話 ボクの生き様。

今回は廃村になった原因に迫っていきます。

そして、アキラの使命感に触れます。


それでゎ、行ってらっしゃいませ。

最終的な配置としては、貯水槽のある家に拠点を移し、寄合場にはボク、篠原さん、武田さんが向かう。


向かう途中にはやはり、かつての村人がひとり、またひとりと姿を表し徘徊している。

この人達に何かが起こって、この地に縛られてしまっている。


きっと、あの神社に祀られていた、狐鈴ちゃんはこの事態を知っている。

知っていても手が出せない状況にあるのだろう。

鳥居の上に座って、この朽ちてしまった村を見下ろしていた、あの巫女服の少女の表情が脳裏に思い返された。


だから神社を訪れる者に伊藤さんのような加護を与えているのだろう。

そして、結界に飛ばした人が、後から来た人によって気付かれるように、時計だったり電話だったり鳴らしていたのだろう…。


ボクもこの人達の抱えている思いを知ってしまったから、何もしないで寄合場に向かう事がとても辛かった。

足を止めて眉間にシワを寄せる度、武田さんに「アキラさん…」と声をかけられ、足を進める。


ボクの役割は見える人間として、原因を知る事と、彼女に代わって出来ることをする(出来ることなんて限られてしまうけれどね)それだけだ。


寄合場に到着し、篠原さんが回していたビデオカメラをを確認する。

「あれ、電源落ちてるな」

「録画押し忘れてたんすか?」

「いや、頭15分は回っていたみたいなんだけど…充電も満タンだし…」


どうやら、ボク達の離れていく姿をとらえて少しした後、ノイズが走り電源が落ちていたとの事。


そんな様子を横目に建物内を見渡す。カメラを設置しに来た時には気が付かなかったけれど、建物隅に置かれたソファーに何か物体がある事に気がついた。


「あれ、ソファーの上に何かある…」

近くに行ってみると一眼レフのデジカメだった。

「伊藤さんのカメラかな…」

イートゥーチャンネルとステッカーが貼ってあった…

「あは、なんか凄く主張の強いカメラがあるわ…」

武田さんへ渡す。


「そう言えば瀬田さんからこんなの預かったよ」

部の備品のライトのヒモ部分にぶら下げられた、ちょっと大きめのキーホルダーが揺れる。

「幽霊検知機だな、オカルト界隈で使っている人多いらしいけれど、目安みたいなもんだろ?」

篠原さんが言う。

「このボタン押せば電源入るのかな?」

「ちょっと待って、折角だからカメラの前でスイッチ入れてみよう」

篠原さんが定点で使っているカメラをこちらの手元に向ける。

「それじゃ、スイッチ入れますよー」

プッシュ式のスイッチを押してすぐにアラームが『ピーッピーッ!』と鳴って、赤く光り、振動が起こる。

あまりの音量だったので、慌てて電源を落とす。

「あはは…」

篠原さんも武田さんも表情が固まる。

「これって…バグ?」

「……だと、俺的には嬉しいな」


ちょうどそのタイミングで篠原さんのザックのサイドポケットに入っているトランシーバーが鳴る。

『こちら瀬田です。何か変わりありましたか?』

これまでの録画の事、機械の事、村人の姿の事を伝える。

『………』

絶句のようだ…。

『……コワ…』

白井さんの声が小さく聞こえる。



ひとり、またひとりと寄合場の前を人影が通り過ぎていく。


「カメラのモニター越しだとオーブが結構通り過ぎているような気がするんだよなぁ…」

篠原さんがつぶやく。


ーーピピッ

武田さんの腕時計が鳴る

「23時か…」

武田さんもつぶやいた。



その時同じタイミングで空気の流れが変わった。澱んだ空気が強風の様に吹き付けて来た。


「何かくる…」

ボクは無意識につぶやいた。

「「えっ!」」

2人は顔をあげる



表が騒がしくなった…。

「…….‼︎……!」

そして、外から叫び声が聞こえだした。


「うわぁっ!なんだアレっ!!」

霊感の強い人と場を一緒にしていると、ごく稀に普段見えない人でも見える事があるらしい。その場にいた2人にも見えていたようだ。


逃げ惑う村人を追いかける生首…落武者の生首。

霊体への暴力なので、血が飛び散ったりしないけれど、叫びながら逃げ惑う老若男女に、首元から、頭から、腕や足など噛み付く様はかなり気分が悪くなる。


しかも、身体を持たなくなっても、毎晩毎晩この惨劇が繰り返し行われている事の恐怖と、地に縛られる事の怒りや苦しみ…


「これが廃村の原因だったのか…」

はらわたが煮えくりかえるほどの怒りがボクの中で込み上げて来た。


「アキラさんっ!?」「山霧さんっ!?」

ボクの憤怒の呟きに2人は同時に声をかけてくる……。


「アイツら人の魂を弄んでるっ!!」

生首達は気色悪い笑い顔で村人を襲っていた。


「「ーー!!」」

ボクはどんな表情をしていたのだろう2人は声を失い固まっていた。


ーーーブツンッ!!ーーー

ボクの中で何かが音を立てて切れた。


「ゴメン、みんなと一緒に帰れないや…」


身体が勝手に反応して寄合場の外へと飛び出していた。

逃げる少年の間に割り込み、水晶の数珠を巻きつけた右手の拳で生首の眉間を殴り付け風穴を空けている。


「ボクがお前らの死神だっ!!動く限り道連れにしてやるっ!!」

ボクは夜空に向かって叫び、生首に対して注意を引く。


ウエストポーチから予備の数珠を取り出し左手にも巻き付ける。


近くで村人を襲っていた生首達が動きを止める。笑っていた気色悪い顔が怒りに染まる。

鬼の形相になった生首はボクを目掛けて飛んでくる。


「的が大きければ外れる事はないんだよっ!」

手を出すすべ、守るすべの無かった村人達との違いだ。


これまで幽体を天へと送ってきた感情の受け入れとは違って、怒りと拒絶の感情を拳に乗せて殴りつける。

苦しむモノには救いの手を出し、苦しませるモノには容赦しない。

それがボクの生き様だっ!!



あるものは下顎をかすめ取り、あるものには下から突き上げるように粉砕する。

コイツらをボクは絶対に許さない!!



根こそぎ潰さない限り、この村の魂達は解放されない。それが分かったから、ボクは止まる事ができなかった。

お帰りなさいませ。お疲れ様でした。

すでに、霊感の有無を通り越して人間離れしてしているのでは?というツッコミもあるかと思いますが…

アキラという人の強さを書いて行きたいです。


それでは、またお会い致しましょう。

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