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第6話 ボクと夜の村探索。

こんにちゎ。

はと。です。まだまだ、あらすじに追いついていなくて申し訳ないです。

村探索夜編となります。



それでは行ってらっしゃいませー。


晩御飯は持ってきた稲荷寿司と稲葉さん達がカセットコンロを使って豚汁を作ってくれた。

みんなの頭の中はこれから突撃する夜の村でいっぱいだ。

「瀬田さん、検証場所は寄合場っすよね?」

「だな、定点幾つ付けられるかな」

「バッテリー足りる?」


絶賛してくれなくても構わないけど、喜んでくれただけ昼間会った狐鈴ちゃんの反応が嬉しくも懐かしくも思える。


「はぁ〜…ブレーキ役が欲しいとかって言っていたのは誰だ…?見解が聞けるだけで嬉しい…って言ってたのは誰だ…?」

「アキさん、こうなったらもうダメでしょうねぇ…明日無事に全員帰れることを祈りましょう」

「まともな人間が1人いるだけでホッとするよー」

「ははは…」


今回の検証はまず夜の現場を見て、ボクが危険に感じたらすぐに撤退と伝えている。


ここまで来てしまったらボクが何を言っても、何もせずに撤退なんて受け入れて貰えないだろう。

危険を回避する形で誘導して、カメラを仕掛けて満足してくれるなら、仕掛けて撤退、何も映っていませんでした。が理想に思えた。

まぁ、そうそう映るモノとは思わないけれどね。


夜の廃村探索、現場へと向かう。

寄合場の定点カメラの設置も兼ねて、ボク、篠原さん、陸の3人で回る。

携帯は繋がらないのでトランシーバーを使用(ボクからしたらここまでやる?って思う)


夜の森は真っ暗で、目印のリボンだけが頼りになる。

最初の小屋のところまでは、とりあえず安全…

トランシーバーを使って拠点へ連絡する。

「アキラです、聞こえますか?」

『瀬田です、聞こえてますよ』

「入り口のとこまできました。特に昼間と変わりません」

『了解』


通りを進んで開けた場所に来ると、昼間と空気が違う。

「瀬田さん、開けた場所に着ました、ここは昼間と何か空気が違います」

『……え?どんな感じですか?』

「ちょっと空気が重たいですね」

一緒にいる篠原さんと、陸がこちらを見る。

『……大丈夫ですか?』

「とりあえず、ここでも何か現象あるかもしれないですね、とりあえず先に進みます」

『…了解です』


防火貯水槽のある家の前に来ると、明らかに周りの空気と違っていた。昼間は全然気が付かなかったけど…これって……

「アキラです、聞こえますか?」

『アキさん、稲葉です。無理しないで今すぐ帰ってきて!危険な思いしなくていいと思います!』

「稲葉さん?心配してくれてありがとう。瀬田さんはどうしたの?」

『武田さんと、検証について考えているみたい』

「戻ってから伝えるけど、拠点を移動した方が良いかもしれないんだ」

「移動できるように準備しておいてもらえたらと思って」

『え…?、とりあえず伝えておきますね』


このやりとりに陸が「どう言う事?」とたずねる。

「うん、ここの建物は結界か何かの強い力で護られているようだよ」



…そうか、夢の中に出てきた建物って結界のあるセフティーゾーンだったのか…妙にしっくりきた。


「山霧さん、伊藤さんは結界の中にいたのに別の結界に飛ばされたって事?」

篠原さんがボクにたずねてくる。

「んー、どういう原理かは分からないけれど、たぶん恐怖の感情と失神がトリガーになって、より安全な結界に飛ばされたのかもしれないですね」


「そっか、伊藤さん気がついていないけど、超能力者で…」

陸がこちらにキラキラした視線を向けるが……

「いや、違うよー」

ジト目で返す。


「たぶん、伊藤さん神社に行ったって言っていたから、土地神様の御加護のようだね。ひょっとしたら村の中限定だろうけど、トリガーになる事が起きたら、寄合場かこの家に飛ばされて来るのかもね」


それは、きっとボクにも適用されるハズ…デスヨネ

『あ、ワチ稲荷寿司に夢中で忘れてたー♪』

とか、とか言わないよね。

何か想像したらゾワゾワしてきた。


「それじゃ、探索再開しましょうか」

ボクも明るいうちは神社に行くだけで時間が過ぎてしまったから、陸の探索した場所も頭の地図に入れておきたい。


特に篠原さんなんて、伊藤さんを抱えて戻っていたから探索どころじゃなかっただろうしね。


しかし、他の建物は倒壊の進行具合が違うくらいで、これといって気になる様な場所も結界に護られている様な建物もなかった。


寄合場まで来ると、予想が確信へと変わった。まず倒壊している状態が他の建物より進んでおらず、気持ちの問題なのかもしれないが、うっすら光を帯びている気がする。


対して、寄合場周囲の空気は重い空気と不安な気持ちにさせる様なドロドロとした空気が、溶け合う事なく澱んで滞在していた。


伊藤さんの話から想像すると、存在を隠して見えなくなるようなモノではなく、外からの被害を受けずに護るだけの力が備わっているみたいだ。


ドアは施錠されておらず、押せば開ける事が可能だった。


「ここで定点カメラを仕掛けたいと思う。」

篠原さんが寄合場の窓の内側から三脚を立てセッティングし、誰もいなくなった後の様子も確認できるように録画を開始する。

「何か映ると熱いですねー」

陸もセッティングを手伝いながら高揚している様子が伺えた。


「アキラです、寄合場の定点カメラのセッティング完了しました」

『おつかれさまでした』

瀬田さんが応答する。

「いったん拠点に戻って合流します」

『了解しました。気をつけて戻ってください』



ひと通り村の中の探索を終え、拠点へとぶらりぶらりと向かう。


上を見上げたら満天の星空…

「あー、これが廃村の中でなければ最高なのになぁ…」


大きく伸びをしながらひとりごちる。


最初の開けた辺りまで戻って来た時、ウィンドブレーカーの裾がくいくいと引っ張られる。


「ふぇ?」


間の抜けた返事をしながら振り返ると頭に手ぬぐいを被った着物姿のお婆さんが立っていた。

お婆さんは悲しそうな顔で首をゆっくり横に振り、ボクたちが今まさに戻る方向を指差す。


ボクが突然足を止めて後ろを見ていたので気になったのか、篠原さんも陸もボクの方へと寄って来る。


「山霧さん、これって…オーブ?」

篠原さんは、発光体が見えているようだ…。


ボクにはお婆さんを皮切りに村の所々に、かつてここで住んでいた人達の姿が透けた状態で見える様になっていた。


学生帽を被った少年、背中にぬいぐるみを背負ったおかっぱの少女、杖をついたお爺さん、皆んな悲しそうな表情でお婆さんと同じ方向を指差している。


「陸、これをお願い」

トランシーバーを陸へと手渡す。

「篠原さん、陸、2人にはこの辺の光景どう見えている?」


「いや、アキねぇには何か見えてるの?ゴメン、俺には何も見えないや」


「俺には、ポツリ、ポツリと蛍の光のような物が見えるかな」

こちらに返事を返して篠原さんは1枚スマホで写真を撮る。


「ッ!!これって!!」

写真の中は満天の星空には劣るが、沢山の大小の発光体がとらえられていた。



この人達は、何かが原因でこの土地に縛られているようだ。

でも何が原因なのかまでは分からない。

ひょっとしたら、伊藤さんが目にした物が原因なのかもしれない。


ボクには何もできないだろうけど、それでもこのままになんてできない。この村人達は死してなお、ボク達が巻き込まれない様に帰れと言っているみたいだ。


「ありがとう、ボクにはこれが精一杯です」

ポケットから水晶の数珠を取り出し、お婆さんの手をスッと撫でる。

お婆さんはスッと消えていく、私の中に感情を通して。

この様子を見ていた他の魂達が恐る恐るこちらへと集まって来る。


見える範囲の魂が消えていった。時間で言うと15分位だろうか…ボクのやっている事に、篠原さんも陸も、ただただ黙って見ていた。


最後の学生帽の子を送ったタイミングで、地に座り込んでしまった。


「ー山霧さんっ!大丈夫っ!?」

「アキねぇっ!!」

ボクの中に入ってくる感情「悲しみ」「恐怖」「苦しみ」「切なさ」「絶望」が溢れてしまって、胸が苦しくなって立っていられなくなってしまった。


きっとボクの顔は涙と鼻水でグシャグシャになっているだろう。


「ゲホッ…何でっ!?ここで何が起きたのっ!?」

ボクは大声で叫んでいた…。




「陸です、聞こえますか?」

『瀬田です、どうかした?』

「緊急事態です。アキねぇ立ってられなくなりました。落ち着き次第戻ります」


『 ーーッ!!』

お帰りなさいませ。お疲れ様でした。

いよいよ廃村パートも中盤となりました。

これに懲りずに読みに来ていただけたら嬉しく思います。


それではまたお会い致しましょう。

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