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第5話 ボクと廃墟探索家。

拠点に戻ってきたアキラ達

何故か廃墟にいた謎の男性は誰なのか


先客の見たこの村とは…


それでは、開幕となります。

いってらっしゃいませー。


拠点に戻ると、廃墟の中で発見した白髪の男性が地面で両腕で頭を覆いガタガタと震え小さくなっていた。

その様子を瀬田さん、篠原さんの両名が少し離れた位置から困った表情で腕組みをし見下ろす形で見守っていた。


「目を覚ましたんすねー」

陸が瀬田さんに声をかける。

「あぁ、お帰り。回復次第病院にでも連れて行こうかと思ったんだけどな…」

「震えが酷すぎてイスにも座れない状態なんだよ。近づくだけで悲鳴あげるしさ…」

篠原さんが付け加える形で説明すると、ニヤついた表情で陸が言う。

「そりゃ…篠原さんが近づけば鬼も逃げますってー…わー!!」

篠原さんに追いかけられる。


「アキさん、どうにもできないですよねぇ」

「……?」

稲葉さんが、お茶のペットボトルをボクに差し出しながら言う。

「ありがとう。…アキさん?」

ペットボトルを受け取り、自分の事なのか確認するため、自分を指差す。

「そう、アキラさんってカッコイイ名前なんですけど、もっと気軽に話せる関係になりたいから、アキさん。ダメ…ですかねぇ?」

悪戯をした子犬の様にボクを上目遣いでみる。

「はじめて呼ばれた。呼び方はどうでも良いけど、聞き慣れないから、気が付かなかったらゴメンね」

稲葉さんはクスリと笑う。つられてボクも微笑む。


「うーん、ボクは見えるだけで霊媒師でも祈祷師でもないからねぇ…それに彼の場合、取り憑かれているというか、恐怖であぁなっているみたいだから精神的な物なんじゃないかな…」

受け取ったペットボトルの蓋を開け、お茶をひと口飲み、折りたたみイスに座ってデジカメのデータを確認していた武田さんにたずねる。

「そういえば、武田さん、あの方知っている様でしたけど彼って誰なんですか?」

武田さんはカメラからこちらに視線を移す。

「あぁ、あの人は廃墟探索家で、確か廃墟の写真集とかも出していたかな?伊藤……なんだっけな…。…篠せんぱーい!」

陸にヘッドロックをかけた状態の篠原さんを呼ぶ。

「ん?」

下で陸が「割れる、割れる」と叫んでる。

「あの人、伊藤…ナニさんでしたっけ?」

「んー……タケル…じゃなかったっけ?イートゥーチャンネルの」

陸をポイッと解放してこちらへと来る。


「そういえばさ、武田。あの家の写真撮ってたよなー、ちょっと気になる事があってさ」

「そんな何十枚も撮ってないっすけど、ちょっと待って下さいねー」

武田さんがデータ確認に入る。

「山霧さん、こっち戻ってきて、ふと違和感に気がついたんだけど…あの家に入る時なんだけどさ…急だったから全然気が付かなかったんだけど、彼が押し入れに入っていたのに、足跡が俺らのしかなかったの気がついた?」

「……!!」

確かに…そうだった。

「しかも玄関閉まっていたし、開かなくて外してましたよね!?」

「っ!?」

糸目の篠原さんの目がクワァッと開く。

「あの家は、何かあるのかもしれないねぇ」

瀬田さんは首だけこちらに向け微笑みながらつぶやく。

「あ、ありました」

武田さんがデジカメを差し出す。それを篠原さんが操作する。

「んー、何も写ってないか…」

「アキラさん、そういえば、あの家と神社と寄合場だっけ?どうして気にしてたの?」

篠原さんがこちらにデジカメをよこしたタイミングで瀬田さんが聞いてくる。

「ん…と、この村の写真を見た日から、時々夢の中で出てきたんですよ。ただちゃんとしていた頃の村の中を歩いている夢だったんですけど、たぶん特徴のある建物だったので記憶に残っていただけだと思います」

「そっかぁ…」

デジカメの画面を見ると、例の家の写真はレトロな埃まみれの黒電話から始まっている(これが鳴ったんだよねぇ…)。

穴の空いた廊下、伊藤さんと押し入れ…床に散乱する日めくりカレンダー…

「あれ?」

写真を戻す。押し入れのところに白いモヤが見える。

「これ、なんだろ」

一緒になって覗き見ていた稲葉さんに指差したずねる。

「え?私には見えませんけど…」



「ワウヒャアーッ!!!」

男性の叫び声が響く。

全員そちらに集まる。

ビショビショに頭を濡らした伊藤さんと空のコップを逆さにしている白井さん…。


「目ぇ覚めたかな?」

ニヒッと笑いタオルを伊藤さんの頭に乗せる。

「あ…れ…」

伊藤さんは身体を起こした後ゆっくりボク達に視線を送り呆けている。

震えも止まった様子。

「こっわぁ、流石にそんな粗治療思いつかないって…」

稲葉さんは呆れたといった表情で白井さんの肩をポンポンとタップする。

白井さんは更にコップに水をつぎ伊藤さんに差し出す。

「ヒィ…ッ」

また掛けられるのかと構える。

「いや、飲みなよ。口渇いているんでしょ」





それから伊藤さんは記憶を辿りながら村での出来事を話し始めた。


てっきり例の家がボクの夢に出てきた3日前からあそこにいたのだと思っていたのだが、ここに来たのは意外にも昨日の昼だという。

と言う事は、やっぱり特徴のある家だったから記憶に残ったのか…と1人で納得する。




廃墟マニアからしたら多少のいわく付きの現場など、五万とあるらしい。

だから何も気にせずに、いつも通り村の中を回っていた…と。

まず、村を一望できそうな丘を見つけたので登ってみた。

そこが神社だったのでお詣りをして…境内の写真を撮って、上から村全体の写真を撮って、また村へと戻ってきて…


屋根の倒壊した家を見たり、村の歴史を感じさせる家具の写真を撮ったりしていた。

村を回ってみて気がついたのは、サバゲーの会場としては手をつけられていない好ましい状態だったそうだ。


寄合場の入り口が開いていて、そう言えば室内からの写真を撮っていないと気になったので中に入ってみたら…転んで気を失った。


目が覚めると夜になっていて、携帯で時間を確認したら日付けが変わってすぐだった。

車に戻ろうと立ち上がったら、窓から外の様子を見ることができて、月明かりで照らされた光景が普通じゃない事に気がついた。


大きな人影?熊とも思えたんだけれど、離れたところにいて…

それとボールの様な物がいくつも浮いていて…

よく見るとボールじゃなくって人の生首だった。


目が離せなくて、だからといって動けないでいて…


生首が俺に気がついて飛んできた。

でも、入って来れない様で、何度も何度も何度も壁にぶつかってきて、俺は怖くなって身をかがめていた、どれくらい時間が過ぎたのか…

突然外が静かになって…様子をのぞこうとしたら目の前に大きな影が光る目を向けていたので恐怖で失神…


気がつくとここに居た。


との事だ。

意識が戻る前に拠点に運んでいたので、倒れていた家の事は全然知らないと、写真を見せてもキョトンとしていた。


幽霊というか、そこまでいくと妖怪の類の話のように聞こえてくる。


ふと、周囲の状況を確認すると、皆んな目をキラキラさせて高揚している状態…

そう…。コワ…とかじゃなくてここに居る人達はこの手の事に関して、好奇心の塊、変人の集まりだった……


「スゲー!!」とか、「写真に撮れるかな?」とか、「いや動画だろ!」とか…


伊藤さんもぽかーんとしている。

稲葉さんは苦笑い…ボクもきっと同じ顔をしているだろう…。


伊藤さんはカメラを紛失してしまったが、暗い中で探すのは抵抗あると、いったんこの場を離れるそうだ。

念のために塩を渡しておく、効くかどうか分からないからあくまで、気休めとしてね。


お帰りなさいませ。お疲れ様でした。

好奇心の塊の人間の前に、「ちょっとまったー」は効かないんです。

次回はいよいよ夜の村の探索となります。

昼間に気が付かなかった村の姿、何を見て何に気がつくのでしょう?

これに懲りずに、読みに来ていただけると嬉しく思います。

それでは、また次回お会い致しましょう。

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