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第150話 ボク達歓迎会の準備をする。

 ミュウの設定がバラバラになってしまってすみませんでした。

 幼い言葉を表現させているうちに、脳内で最初の設定より幼くしてしまっていて、不安定になっているので、読み返しながら変更しています。

現在の見た目年齢は10歳でお願いします。



「ほへーぇ、子供の成長は早いものだと思ったけれど、随分成長したもんだねぇ、和穂は若くなっちゃって、ミュウちゃんが和穂の年齢を吸い取ったのかい?」

 パーレンさんは驚いた表情はしていたけれど、言っていることは冗談みたいな感想だった。



 ボク達が巨鳥の討伐を終えて荷車に戻ったとき、驚いていたのは、ミュウが精霊だと知らなかった、ドワーフの一家だけだった。

 内心はみんなも驚いていたのかもしれないけれど、そこまで騒ぎになっていないのは、ボクがハルに伝えた理由と同じだったからなのかもしれない。


 その後は特に魔物も見当たらず、のんびりと荷車を走らせ、無事に帰って来ることができた。

 


 ボク達が出ている間に、ステージ傍に位置する、ボク達の食堂兼住まいの建設予定地が整地されていて、杭打ちがされていた。


 帰ってきて早々に、シルから迎えに出てきてくれたパーレンさんとヤックさんに、ロイ家の紹介がされている。 今夜は歓迎会かな……。


『新しい関係者が加わる=歓迎会』という流れ、こう他人と皆が外部の人と関わる様になったのも最近の事の様で、ボク達を招き入れてからだって、みんなも言っていたし(第133話)、ボク達が作り出した恒例的行事なのかも?


 歓迎会の翌日は大抵皆ゆっくりしているから、明日はゆっくりできそうだな。


「和穂、明日は1日自由な時間ができそうだよっ、何かしたい事ある?」

 ボクが隣にいる和穂に声をかけると和穂は目をキラキラさせた後、胸の前で腕を組み、目を閉じて考え始める。


「お風呂っ!!」

 すかさずハルが和穂の反対側から、話は聞いたぞっと言わんばかりに、手を上にあげて笑顔で大きな声をかけて来る。

 ハルがこんな表情で、大きな声を出せる様になったなんて……、初めて会った時のハルが見たらビックリするだろうな。


 その言葉の勢いに釣られたのか、和穂もウンウンと頷く。


「お風呂は……これから行くでしょー。 あ、でも明日は溜まった洗濯物もやっつけないとならないかー、ダラダラできるのはその後だねっ」

 ボクが言うと、和穂のブンブン横振りしていた尻尾が元気なく垂れる。



 ボク達がそんなやりとりをしていると元気な声が聞こえる。


「あーっ! 本当だ、アキラーッ お帰りなさーいっ!!」

「おかえりーっ」

 声のあがった方、森の中の林道からヤンマ姉妹が2人で大きなカゴを一緒に持って、空いてる手をこちらに向けて振っている。



「なんだー、帰ってきているならウチに遊びに来てくれれば良いのにー」

「そうそう、畑もついでに手伝ってくれると助かったんだけどなっ」


「いやいや、ボク達も今帰ってきたところなんだよねー」


 2人の持ってきたカゴには野菜が詰め込まれていた。


 2人は和穂の見た目が若くなっている事もビックリしていたけれど、それ以上に「可愛いっ!」と褒め言葉を浴びせ、和穂は勢いに押されて、頭から湯気を出している。


「ねぇねぇ、いっぱい話したいからさ、立ち話も何だしお風呂行こうよっ、私畑帰りだから何だか気持ち悪いんだよねー、日が暮れてのお風呂、嫌いでは無いけど……今夜は歓迎会になりそうじゃん?」

 フェイが、シルのツリーハウスに向かう、パーレンさんとロイ一家に目を向けて言う。


「そうだね、それは良いね。 ボク達も丁度お風呂を考えていたところなんだよー」


 フェイの提案にボクも乗っかる。ハルもウンウンと頷く。


「これ置いたら、着替えとってくるから先に入ってていいよー」

 そう言うと、2人はカゴを「よいしょ」と持ち上げる。


「それはどこに運ぶの? 和穂が収納して運べるから、ボク達で運んでおくよ、2人は着替えとっておいでよー」

 ボクが声をかけると和穂も頷く。


「そう? それじゃお願いしようかな、パーレンさんのところ……シル=ローズさんの家に持って行こうと思っていたんだ」


 最近はシルのツリーハウスが、みんなの生活圏内のほぼ中心辺りに位置しているので、どうやらシルが留守にしている時も、収穫されたものとか集まっているらしい。

 シルの家で収穫物事情とかも分かるみたいだから、次にコロモンからの商隊が来た時の注文の準備もできるみたい。

 なるほど、コロモンからの商隊や、冒険者の窓口として、パーレンさんがうまく回してくれる様になると、家主が居なくても皆の集まる場所になるんだな。


 ヤンマ姉妹は「そっこー取って来る」と駆けて元来た林道へと戻って行く。


 和穂は受け取った大籠を収納にしまう。

 ボク達がツリーハウスのデッキに上がると、先に上がっていた、パーレンさんはお茶をいれ、ロイさん家族もソファーでくつろいでいる。

 ミュウはパーレンさんが出してくれた果物を両手で持って、豪快にかぶりついていた。


「お、アキラ丁度良かった、寝室はロイさん達に使わせて構わないかい?」


 シルはボク達が玄関前にいる辺りで、気が付いた様で、キッチンから窓越しに声をかけてくる。


「うん、全然大丈夫、ゆっくり出来た方が良いだろうしね」

 ボクが返事をするとシルはひとつ頷く。


「今夜はアンタ達の歓迎会をやるから、それまでゆっくり過ごすと良いよ。

 風呂は晩飯の準備が始まるまでは、この辺で生活している者が、入れ替わり立ち替わりで使っているから、家族で貸し切りにしたいなら、歓迎会終わってからゆっくり入ると良いかもね。

 それじゃ、アタシはちょっと部屋に籠るから、自由に過ごしておくれ、分からない事があったら誰かに声かければ教えてくれるよ。 パーレン後は任せたよー」


「はいよ、ちゃんと休みなー」

 シルはパーレンさんに言うと、パーレンさんは笑って頷く。


「アキラ達も休憩かい?」

 パーレンさんはキッチンの作業台の上にティーポットを置くと、人懐っこい笑顔を向けて、ボク達に声をかける。


「ボク達はお風呂行ってこようと思って、その前にチルレ達から預かった野菜を届けに来たんですよ」

 ボクが言うと、和穂が大籠を取り出す。


「そうかい、じゃあここに下ろしてくれるかい」

 パーレンさんは和穂に声をかけて、和穂は指示通り大籠をキッチンへと移動させる。


「今夜の料理、アキラはどうするんだい? 旅の疲れもあると思うから無理はしなくて良いと思うけど?」

 パーレンさんが言っているのは歓迎会のカマド係の事だと思う。


「んー、どうしようかな、出先で作った料理でも作ろうかな……放っておいても、フェイ達に頼まれるだろうし……ボクはチキンカツを作くろうと思います」


「ほー、そりゃ、名前からだと何も想像できないけど、だからこそ、アタシも気になるねえー」


「うわー、アキラお姉ちゃん、あのサクサクの作るの? ハルあれ好きーっ」


 ミュウの口の周りを拭いてやっていたハルがコチラに体を向けて歓喜の声を上げる。


「ははっ、ハルちゃんが好きな物ね、そりゃ楽しみだね」

 ハルの声にパーレンさんは頷き笑う。


「パーレンさんは何を作る予定ですか? チルレ達とお風呂で会うから、決まっている様だったら伝えておきますよっ」


「んー、どうしようかね、いつも特に何も考えずに作っているからねぇ……」

 腕組みをして考えていたかと思うと、ボクの顔を見てニッと笑う。


「うん、アレがいいねぇ、アキラがこれまで作ってきた物は、どれも珍しい食べ物ばかりだったからね、アタシはうどんを作るよっ」


「ええっと、確かに珍しいとは思うんですけど、流石に今からうどんだと時間が足りないと思いますよ……」


「そうかい? 珍しい物を食べさせてやりたいとは思ったんだけどねえー」

 パーレンさんは大きくため息をつく。


 んー、そう言われると、確かに、これから始まる食堂の宣伝として、珍しい物を出すという事は凄く印象に残ると思うんだよね。


「パーレンさん、それだったら……」




「あらあら、アキラ……お帰りなさい、和穂さん? 何だか若くなっていませんか? 逆にミュウちゃんはリンネと同じくらいになったのかな??」

 ボク達がお風呂に着くと、脱衣室では丁度ミルフィとリンネちゃんが、服を脱ぎ始めていたところだった。


「ええーっ、リンネの方がお姉ちゃんだったのにー」

 リンネちゃんはショックを受けて頬を膨らましている。


「ねーーーっ!!」

 当の本人はいつもと変わらずに笑顔でリンネちゃんに抱きつく。

 まあ、姿は変われど、関係は変わらないようで中々微笑ましい光景だ。


「ミュウちゃんとリンネ、今度お揃いの洋服を着せてみようかしらー」

 ミルフィは声をはずませて言う。



「お待たせっ」

「お、ミルフィもいるじゃんっ」

 脱衣所の扉がバンッと音を上げ開くと、チルレとフェイが入って来る。


「リンネ、ハルお姉ちゃんと、ミュウと先に行ってるーっ」

 早々に服を脱ぎ終えたリンネちゃんは着ていた物をカゴに放り投げるとハルとミュウの手を引いて、浴室に向かう。


「ちゃんと身体を洗ってから入るのよっ」


「「「はーいっ!」」」


 3人は元気に返事をして湯気の先に消えて行く。




「……ふむ、なるほど、和穂はチカラを使い過ぎちゃってこうなったんだねー、それにしたって、小さくなってもこの揉み応えってズルいなー」

 フェイはそう言いながら、正面から両手で和穂の胸を鷲掴みして揉む。


「フェイ、分からないでもないけど、手つきがやらしいなー……でも私もちょっと……揉んでも良いかなー」

 チルレはフェイの様子を見ながら言う。


 ミルフィは頬を染めていながらも目は離せない様子で、ジッとみている。


 和穂本人は、嫌がるでもなく、くすぐったがるでもなく、そのまま受け入れていて、ため息をつき、無表情でボクを見ている。


『アキラも揉む……?』

『揉まないよ……』


『…………』

『…………』


 何だこのやりとり……。


「すご……スベスベでこの程よい弾力っ」

 フェイと代わりチルレが後ろから揉みしだく。


「んー、いいなー、いいなー、和穂さん、これ私にちょうだいよー」


「……だめ……アキラのもの……」

「「「「……は??」」」」


 思わずボクまでポカーンとしてしまった。そんな中でもチルレの手は動き続けていたわけだけど。


「ふふ、本当に和穂さんはアキラさんが大好きですねー」

 ミルフィが笑いながら言う。

 和穂は目を細めて、コクコクと頷く。


 和穂のこのブレなさって本当に凄いな……。



「今日は私達が和穂の尻尾を洗ってあげるよーっ」

「……っ!!」


 和穂はボクに手を伸ばし口をパクパクさせるが、フェイに背後から抱きつかれ、手を引くチルレと共にそのまま浴室の方へ連行されていく。


「あらー、いいの?」

「んー、たまに別の人とも触れ合うことも、和穂にはきっと大事な事だと思うんだよね」


 洗い場の数は限りがあるから、ボクはミルフィと少し脱衣所に残り話をする事にした。

 浴室から湯気が流れ込んで来るので、裸のままであっても寒さは感じない。

 ボク達は脱衣室の簡易椅子に腰掛ける。


「とりあえず、ミュウの事なのだけど……、今日帰って来る途中の魔物を狩る時に、魔物の生命力を吸い取って今の状況になっているみたいなんだ」


「ミュウちゃんの身体は元に戻るの?」


「うーん、それは分からないんだよー。

 ただ、これまで生活を共にしていて、食事を楽しんで食べている様子は、幼い子どもそのものだし、食べる物があるからか、自分の生命の維持の為に、食事として血を吸ったり、生命力を吸ったりって事は無かったよ。

 今回のミュウは空腹ではなかったから、吸血まではしなかったのかもしれない。

 ……なので獲物の血抜きが不十分だから、すぐに食材にはできないよ」

 ミルフィの事だから、我が子の様な目で見ているミュウの初獲物を、美味しく調理したいとか言いそうだったので、先回りして伝えておく。



「そうなの……でも、血を啜っているミュウちゃん、私は見たくない……できればこれからも食事で満足してもらいたいな……」

 ミルフィは思わず想像してしまったのだろうか、自分の両肩を抱えブルルと身を震わせる。顔色も少し悪く感じる。


「まったくその通りだよ、ボクもそれは思う、ケチャップを口の周りにつけていたところを見た時は、ミュウには悪いけど、少し怖く感じたよ、肌が白すぎるから、余計にケチャップの赤が強く感じてさ」

 

 ボクが言うとミルフィは自分の額に右手の指先を当てて、少し俯く。

 

「アキラさん、私達でミュウちゃんの食生活を守りましょう」

 ミルフィはボクを見上げるように視線を送り、強い意志を述べる。


「だね。

 あ、あとそう言えば、話が変わるけれど、本当ミルフィがこの場にいて良かったー、伝えておく事があるんだ」

 ボクが、ふと思い出して話を切り替えると、頭の上に「?」を乗せてミルフィは小首を傾げる。


「実はね、向こうで、都市に向けて旅をしていたドワーフの一家を助けて、連れて帰って来ているんだ」

「まあ、それじゃ今夜は歓迎会ですねっ」

 ミルフィは蒼白していた顔から、すっかり明るい表情を取り戻して、両手をパンッと鳴らす。


 ミルフィもすっかり、宴大好き人間(亜人?)になった様だ。


「ねえねえ、アキラは何を作るの? それとも今回は手伝い??」

 ミルフィは前のめりになってボクに聞いてくる。


「ボクは、鳥を使った揚げ物だよ」

 ボクの作る料理を聞いて、更に元気を取り戻し、ニッコリ笑顔になる。


「アキラの作る、揚げ物かー……初めてだね、私楽しみー」

 すっかりご機嫌な様子。


「チャコの両親を送り出す宴の料理として出した物なんだけどね、ミルフィも、フェイも、チルレも気になると思ってね」

 ボクが言うと、ピタッと表情をかためる。


「あ……、ああーっと、そっかぁ、そうですよねー、初出しではないんですねー」

 ミルフィはアコさんと一緒でため息をついてガッカリした表情を向けてくる。

 

「うーん、どうしてみんな、そんなにも初物が好きなのかな……」


「私はアキラの初出しの料理を、どこを見ても初の衝撃を受けてる仲間、料理と一緒に、そんな空気も味わいたいんですよー」

 そっか、そういうものなんだー。ミルフィの場合は優越感に浸るって感じではないんだね。


「で、ミルフィは何を作るの?」

「ええ…….っと……??」

 ミルフィは完全に食べる側の世界に入っていた様で、ぽやっとしている。


「……そ、そ、そうだよね、何がいいだろう……他の作る人と同じにならなければいいけど……」


「パーレンさんはうどんを作る気でいたみたいだけど、数人分とはわけが違うから、流石に時間が足りないだろうし、スイトンをすすめておいたよ」

 ミルフィはコクコクと頷く。


「うううーうんっ、お風呂に入りながら考えよう、きっと2人も何か作るだろうし……」

 頭をワシャワシャと掻き乱し、頭を横に振って、そう言うとミルフィは立ち上がる。


「そうだねー、ボクもいったん疲れと汚れを洗い流す事にするよー……」

 ボクは後を追いかける様に立ち上がり、浴室へと入る。



 リンネちゃん、ハル、ミュウの姿はないので、露天風呂に行っているのだろう。

 湯船の中にはなぜか和穂に手を合わせて謝っているヤンマ姉妹と、無表情でブクブクやっている和穂。


 ここは変に声をかけない方が良さそうだな……。


 ボクは先に洗い場に腰下ろすミルフィの隣に、ペタンと腰を降ろして、桶にお湯を出す。


 この動作も最初の頃と比べて随分スムーズにできる様になったものだな……。

 あの頃はブレスレット内の魔力を全部使い切って、浴室を湯気で見えなくしちゃっていたもんな……。あの頃を思い出すとクスリと笑える。


「アキラ……味付けはどうするの?」

 ミルフィは話に夢中になっていた時は普通に喋ってくれていたと思うのだけど、改めて名前を呼ぶ時には呼び捨てが気になるようで、少し間が空く。


「ケチャップを中心にしたソースをかける予定だよー」

 ボクが言うとミルフィは頷く。


「パーレンさんはまた激辛系になるのかな……なら私はミルクを活かした料理にしようかな……」

 ミルフィはブツブツと呟きながら髪を泡立てている。


「なーに呟いてんの?」

「わばばばっ!?」


 ザパーンッ!!


 チルレは桶に汲んだお湯をミルフィの頭からかけ泡を流し落とす。


「わーっ!せっかくまとまりかけていたのにーっ」

「んで、何を呟いていたのさっ?」

 チルレは腰に手を当てニィッて笑う。


「今夜の料理だよー、2人は何作るの?」

「えー?、私は……と、アキラの手伝いでもしようかなって……うわ、なんでそんな怖い顔してるの!?」

 ジト目をしてチルレを見るミルフィ。


「ズルイッ、できれば私もアキラのフォローにまわりたいっ!」

 珍しくミルフィが感情的にくってかかっている。


「いや、ボクの方は気にしないで、宴で手伝ってくれたメンバーに協力してもらって作る予定だから問題ないよ。

 せっかく、ロイさん一家に皆の美味しい料理を披露出来る機会なのに、ボクの手伝いの為に品数が減るのは勿体無いと思うんだ」

 ボクが2人にゆっくりと伝えると、シュンとした表情になる。


「それに、今回のお客さんは、きっとボク達の料理の腕を試してくると思うんだ。

 ロイさんは、ドワーフの村でも指折りの鍛冶屋なんだって。

 調理器具の事なら任せてって、自信を持って言ってくれているんだけれど、彼らも仕事にプライドをもっているから、誰彼構わず器具を売ってくれることはきっと無いと思う。

 彼らの生活拠点が落ち着いたら、ボク達と取引きできるか確認したいって言っていたんだ。

 食堂が始まったら協力もしてくれるだろうし、そうなったらかなり頼もしいと思うから、皆んなの力を示すことができたらいいなと、ボクは思っているよ」

 本当は湯船に浸かりながらでも、ゆっくり話せたらって、思っていたのだけど、先に伝えておく分には時間は関係ないよね。


「ふむ、それならば得意料理を出して、それに適した調理器具とかを考えてもらえるようにするのも良いのかもしれないね」

 フェイが両拳を握り意気込む。


 話が盛り上がってきたので、ボクはゆっくりするため、露天風呂に向かう事にしよっと。


「和穂、ボク露天風呂いくよーっ」

 ボクの動きを浴槽の中から観察している和穂に声をかけると、バシャリッと浴槽から飛び出し、ボクに抱きついてくる。

 最中が暖かくて、柔らかい。 

 だけど……

 

 露天風呂に繋がる扉が開くと外から冷たい空気が流れ込んでくる。

 くうーっ、湯船で少し温まってから、出れば良かったかも……。


 こ、こうなったら勢いで行くしかない。


「さ、さっむーいっ!! 和穂っ、急いで行くよっ」

 ボクは和穂に一声かけて、小走りで湯船に向かう。


 ドッパーン!!

 露天風呂に飛び込んで、ボクと和穂2人分の湯柱が立つ。


「「わわわっ!!!お姉ちゃんっ!!!」」

「キャハハハッ!!」

 先に湯船に浸かっていたリンネちゃんとハルが驚きの声を上げて、ミュウが笑い声を上げる。


「ご、ご、ご、ごめーんっ!! 寒さに勝てなかった!」


 良い子の皆は、決して露天風呂で走ったら危険だから、決して真似をしちゃいけないよっ、ましてや飛び込むなんて、見えない危険があるかもしれないからね、ボクとの約束だよ。


「びっくりしたよー」

 ハル達はそう言うと、お湯の上流の方へと移動して、今回の旅の話をリンネちゃんにしてあげていた。


 

 和穂はボク達がそんなやり取りをしている間も、離すものかと、背中に抱きついたままでいた。


「和穂、そろそろ離さない?」

 ボクは背中を和穂に預けた状態で、足を伸ばしている。


「……お……」

「お?」

「……おしり……いたい……アキラ……」

「っ!?」


 大変、湯船に飛び込んだボクのせいだ……。

 急いで身体を起こして向きを変えると、目の前の和穂は涙目で、お尻をさすっている。


「和穂、大丈夫っ!? おしり見せてごらんっ!」

 ボクが言うと和穂は言われるまま、背中をコチラに向けて立ち上がる。


 ジャボッ……


「あ、あ、アキラさん、な、何を言っているんですか??」


 ボク達の後から露天風呂に出てきたミルフィは顔を真っ赤にしてボク達を見ていた。 聞かれた、見られた……。


「ちちち、違うーっ!!」

 

 うわー、めっちゃ気まずい空気……事が事だったので、聞かれたボクも、聞いてしまったミルフィも顔を真っ赤にして、沈黙……。

 和穂は痛みが治まったのか、ボクの腕に、抱きついて、露天風呂を楽しんでいる。


 後から合流してきた、フェイとチルレは不思議そうにボク達を見ている。


「えっと……これはどんな状況?」

 フェイが呟く。


「……アキラにおしり見せてた……」

「「え……」」

 フェイとチルレが2人ボクの方を見る。


「……和穂、言い方……」


「アキラ……はおしりが好きなのか……へ、へぇー……他人の趣味にどうこう言わないし、和穂はアキラの事が好きだから問題ない……と、思うよ」

 フェイが何だか苦笑いしながら、気を使って言ってくる。


「お風呂に飛び込んだあと、和穂がお尻を痛めたみたいだったから、怪我していないか見てあげようとしてたんだよ……」

 ボクは訂正をする様に説明をする。


「なーんだ、フタを開けてみたら意外と普通の事だったんだね……、しっぽ洗いが上手いって聞いていたから、アキラにとって、もともとお尻が特別大好きなのかと思ったよ」

 フェイはガッカリした表情で言う。


「へえー、フェイはボクの事をそういう目で見てたのね」

 ボクはジト目を送る。


「まぁ、空気は変になっちゃったけれど、和穂も何にもなっていなそうで良かったよ」


「ねぇねぇ和穂、アキラの作った揚げ物は、今まで作ってたやつの何番目くらいに美味しかった?」

 チルレは尋ねて、和穂は無表情のまま考えている。


「……………………」

 皆の視線が集まる中、和穂は片手を開いて見せ、もう片方の手は指を3本立てる。


「稲荷寿司系を抜いたら?」

 ボクが言うと、和穂は開いた手だけその場に残して見せる。

 残りの4つは何だろう……きっと、和穂の食べ物タワーの頂点に位置するのは、ワサビ稲荷寿司だと思うけど、3つが稲荷寿司系なのは、それだけ稲荷寿司が好きなんだろうな。


「へぇー、それはすごく楽しみな料理だね」

 フェイは口元を緩める。


「んー、私達は……どうしようかな、肉焼きは誰か作るだろうしなー、干しアカウイダケと野菜のスープにでもしようかな? アキラ、メーソルって収穫してきたかな?」

 チルレの質問にボクは頷く。


 メーソルは荒野に生えてる草で、茹でると歯応えの良い、麺類の様になる食材、チヌルがよく作ってくれるスープの食材だ。


 荒野に滞在中、ボクだけでなく、食材探しに出たメンバーも大漁に収穫してきてくれている。


「ミルフィはまとまった?」

 先程まで、うーんと唸っていた表情が少し落ち着いている様に感じる。


「んー……? アキラ……達のせいですっかり飛んでしまいました」

 ミルフィはジト目をボクに向ける。


「え……、ごめん」


「ウソですよ、私の料理は夫のパンと一緒に食べられる様な物を作ろうと思います」

 ニッと悪戯に笑うミルフィは指を立てて言う。


「ミルフィ……悪い顔してるよ……」

「そう? でも、びっくりしたのは本当ですよ……」

 ミルフィは口を尖らせて抗議してくる。


 あれ? ボクが何か悪い事したかな……なんて少し思ったけれど……まぁ、驚かせてしまったことは事実だからな……。


「それよりアキラ、今回の旅の洗濯物が、また溜まっているんでしょ? 今夜は晩餐会の準備だから、手はつけないでしょ、明日やるなら私も手伝おうか?」

 ミルフィがボクに提案してくる。


「いや……悪いよー」

 明日はそれぞれ、ゆっくりしたいだろうし……。


「良いの、遠慮しないで、リンネもハルちゃんとミュウちゃんと一緒にいて楽しそうだしさ」

 ミルフィは奥でワイノワイノ会話を楽しむ、愛娘に優しい微笑みを向けていた。

お帰りなさいませ、お疲れ様でした。

ミルフィの気軽に会話をする中にも時々言葉使いが丁寧になる雰囲気の混ぜこぜが意外と難しかったりします。早くタメぐちで会話をしてくれる日が訪れる事を祈っています。

さて、本日はこの辺りにしたいと思います。また次回のお話でお会いできたら嬉しいです♪


いつも誤字報告ありがとうございます。

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