第14話 ボクと魔女の出会い。
こんにちわ、中々文章が思うようにまとまらなくお時間をいただきました。
さて、アキラ達の前に現れた魔女は果たして何者なのでしょう…。
読みにくいところもあるかと思いますが、その時はお知らせ下さい。
※クラマは本来でしたら一羽と数える事が正しいかと思いますが、妖怪(人型)として人と同じ数え方で表現させていただいてます。1体、2体なのかな…(汗
それでは、話の続きへと行ってらっしゃいませ〜♪
「あんた、日本から来たって本当!?」
両手でボクの肩を鷲掴みにし日本語で質問をしてくる女性。
「その娘を離せ!」
クラマが威嚇する…も意外な返答。
「うゎぁ、キミ白鴉なんて珍しいものつれてるのねっ!しかも話せるんだ!?と、いうことは普通の鴉ではないんでしょ?精霊?」
この人は鴉を知っている?
それともコチラの世界でも鴉の存在は当たり前なのだろうか…
ボクと、クラマに興味を示したこの女性は、ボクの肩を捕まえたまま、ボクとクラマ交互に視線を送る。
先程の精霊のロディと違って、この女性は人であるハズなのだがボク達の言葉を理解している。それだけではないような気がして何だか気持ちが落ち着かない。会って数分の付き合いだが、そんな風に思えた。
そんなやりとりをしているとボクの背後から狐鈴ちゃんと和穂さんがハシゴを登りきりこちらへ姿を現す。
「あゃ?何かあったのかゃ?」
「うへぇっ!?巫女さんっ!?」
「ーー!?」
女性は掴んでいた肩から手を離し、その場で飛び上がりひっくり返る。
そうそれはコントのように…。
ロディ同様に、この女性にもクラマや狐鈴ちゃん、和穂さんが見えている。
ロディは精霊なので、見えていても精霊同士だからだろうと何も違和感なかったのだが…。
…が、この人はどうだろう?魔女と言われているくらいなので、普通の人とは違って、見えていてもおかしくないのだろうか?先に家の中に入ったロディと話しをしているところで、まず見えている事に間違いないのだが…。
それとも、魔力とかこの世界ならではの環境が原因で精霊という物が当たり前の様に目に見えて、共存しているのだろうか…。
疑問は深まるばかりだった…。
とりあえず中へとボク達はツリーハウス内に招かれる。先程ひっくり返したなべの片付けをみんなで手伝う。葉っぱが大量に煮込まれていたようだ。室内は薬品のような臭いが充満していた。
薬でも作っていたのかな…?
片付けを終えひと段落。「あとは大丈夫」と客間に誘導される。
部屋の窓からは先程外でも見えた大きく広がる草原と右側のはるか先にクラマが言っていた湖?海?が光って見えた。
落ち着いた色合いのカバーがかけられているソファーへと腰掛ける。柔らかくお尻が包み込まれる感触だ。
「本当に良い景色だな…」
そう呟くと、女性はお茶を入れてくれながら「でしょでしょ、あたしもそれが自慢なんだ」と笑顔を見せる。
水色のワンピースを纏った女性は銀髪のロングヘアーで癖のある髪の毛は後ろで一つに束ねられていた。
耳の先端は少し尖っていて、目は眠たげでエメラルドの様に緑色、背丈はボクと同じくらいかボクより少し高めの和穂さんと同じくらいでスラリとしている。
全員にカップを配り終え、ボク達の対面のソファーに座るロディの横へと腰掛け、人懐っこい笑顔で自己紹介を始める。
「あたしの名前は"シル=ローズ=ラミュレット"35年前にこの国で生まれたハーフエルフさ。
生まれた頃から、たぶん?日本で住んでいた時の記憶が色々あって、記憶なのか妄想なのか、それとも願望なのか、こっちの世界ではない知識とか、頭の中にあったから変人扱いされてね。今ではこうして自分の好きに過ごさせてもらっているのさ。
さっきは失礼したね、客人が日本から来たってロディが言うもんだから本当にビックリしてね。いやぁ、あんた達に会えて本当にラッキーだよ、まさか人間だけでなく巫女さんにまであえるなんてねー」
ニパッと狐鈴ちゃんのような笑顔をする人だ。
ボク等の世界からの転生者!?でも流暢な日本語からきっと日本人?そうでなくてもゆかりのある地にいた人なんだと思う。
それに変人扱いされたって…ボクとはまた違った環境ではある様だが、失礼ながら親近感を感じる。ボクなんかも霊が見えるだけで変人扱いされていたわけだし…。
「ボクは山霧 旭、この金髪の子は狐鈴ちゃん、黒髪の子は和穂さん、ボクはわけあってこの2人が鎮座している村に行ったんだけど…今はクラマと名付けたこの白鴉、実は鴉天狗で、対立してた際にその妖術でこの世界へ飛ばされて来たんです」
手の平でそれぞれを指し紹介しながら、コレまでの経緯をかいつまんで説明する。
「へぇ〜、巫女さんなんて珍しいと思っていたのに土地神様だったんだねぇ…そもそも鴉天狗なんて、御伽噺とか伝説でしか聞いたことないや。
…っていうかそんな存在に普通…いや、普通じゃないからここにいるんだろうけれど、人間が関わっているなんて本当呆れちゃうねー」
まったくもってボクも同意見だ…。
「でも、まあ同郷…あたしは生まれ変わりだから違う言い方なのかもしれないけれど、色々知った仲だから、この巡り合わせも天からの思し召しなんだろうね、コレからもよろしくね」
と微笑み、右手を差し出してくる。ボクはそれをがっちりと両手で握り返す。
「あと、あたしの事は、シルでもシル=ローズでも呼び捨てで自由に読んでちょうだい、あたしも"アキラ"って呼ばせてもらうから、それと…」
ふと、ボクの両脇にいる2人に目を向け
「2人は何と呼べばいいのかな?狐鈴さま、和穂さま?」
「ワチ等の事も呼び捨てで構わんよ、アキラはどうもかたすぎるのじゃ…」
狐鈴ちゃんは、両手で包み込んで啜っていたカップから顔をあげ返事をする。隣りで和穂さんもコクコクと頷く。
「うぅ…善処します…」
「クラマ、あんたもよ。ここでは遠慮も何もなく過ごしてちょうだい」
「それにロディから聞いたけど、アキラ達は右も左も分からない、大きな赤子なんだろ?
あんた等が良ければ部屋も余っているし、好きなだけいればいいさ。この世界の事ならあたしとロディで知っていることなら教えてあげられるしね」
シルはそういうと隣に座るロディの肩をバンバンと叩く。
「いやはや、ここに連れてきて正解だったようですな、お爺もこれで今夜安心して眠れそうですぞ」
と、お茶のおかわりに息を吹きかけながら啜る。
「本当にありがたい巡り合わせです。このまま2人に会う事ができなかったら、ボク達は生きていくすべも知らないまま、野垂れ死していたかもしれません」
「いやいや、意外と何とかなっていたかも知れないよー。ロディもそうだけど、この国に住む精霊はお人好しが多いからね。
あたしも18で家を出て冒険三昧だったけど何も苦労しなかったしね、言葉だって身振り手振りで何とかなるし、まぁ、生まれ持って知っているのと、これから知らないとならないという違いはあるけどね。」
狐鈴の空いたカップにおかわりを注ぎながらシルは言う。
それから、みんなにパンを出してくれて簡単なお昼にして、いったん部屋を案内をしてくれることになった。
玄関から回り込んだ反対側に、吊り橋がかけてあった。先ほどの森の入り口の上部を横切るようにこの吊り橋はかけてあり、別のツリーハウスと繋がっていた。シルはそこをボク達にあてがってくれた。
ドアを開けてすぐの柱についている、黄色の石に手を触れると、部屋の壁と中央につけられたランプ?ランプに似せて作られた魔石?に灯りが灯される。
「普段は使ってないからねぇ、誰かが使ってくれていた方が物持ち良くなるし遠慮しないでね」
中は4台のベッドとハンモックがかかっており小さな机が備え付けられていた。
「シル本当にありがとう、何とお礼をしたら良いやら…」
「そう?じゃあたっぷり体で払ってもらおうかな?」
しれっと話し、左肩に手をまわしてくる。
「え、え、ええぇ!?」
自分でも顔が赤くなっているのが分かるくらい熱い。
「アキラ達の伝説を楽しみにしてるからね、あたし達の自慢になるくらい、いっぱい暴れて盛り上げてくれると嬉しいよ」
クスッと笑い、こめかみに人差し指でコツンとしてくる。
頭から湯気が出ているのではないだろうか。
顔が熱い…。
一緒に来ていた和穂も顔を真っ赤にしていた。何が起きるのか息を止めて見守っていたらしく、ベッド枠に手をかけ大きく呼吸をしている。
「シル、何を期待されてもボクは普通の人間なんだけど〜…」
身1つに近い状態でこちらに来ているボクには荷物の整理なんて必要ないもので、部屋を確認したらすぐ戻る。
ソファーでは狐鈴とロディとクラマが話をしている。
戻ってきたコチラに気がつき顔を上げソファーから立ち上がる。
「アキラ、ワチはクラマとロディと森の中を見てこようと思う、和穂はアキラと一緒におると良い」
どうやら、2人は案内付きで森の探索に向かう様子だ。ボクも興味は物凄くあったが、たとえそこにシルと和穂を加えても、何か起きた時に『戦えない、地理にも疎い』ボクがみんなの足を引っ張ってしまうと思う。
シルともっと話がしたいと思っていたところなので、狐鈴の話を受け入れることにした。
3人のお出かけをボク達は吊り橋から見送った。
「いってらっしゃい!」
手を振ると狐鈴とロディがコチラを振り返って大きく手を振り返してくれる。
お帰りなさいませ。お疲れ様でした。
シルとの会話はもう少し続きます。
それでは、また次回の話でお会いしましょう〜。




