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第128話 ボク普通の人間ですよねぇ。


 ゼルファさんには食堂の件に関してリシェーラさんと同じ説明をする。

 

「なるほど、そんな容易い事で構わんのか? リシェーラのやつは『第2の拠点にするんだ』なんて意気込んでいたんだがな」


 あ、なんか目をキラキラさせてガッツポーズしているリシェーラさんと、頭抱えているアルクリットさんが頭に浮かぶ。


 そんな本人達はというと、リシェーラさんはウメちゃんを抱えてハルと笑顔で話しており、アルクリットさんは傍で控えている。


「本当に収集つかない様な事態の時は、狐鈴なり和穂なり、飛んで戻れる体制は作っているので……


 本当に……大天使様に言うのもどうかと思いますけれど、食堂には気軽に遊びに来てください。


 お店を開く者には常連という、顔見知りの仲間が増える事が本当に心強い事なんですよ。

 それに、ボク達の世界では『お客様は神様だ』なんて言葉もあるんです。

 自分達の作ったものに対価を払って自分達の生活を裕福にしてくれる……。

 お金という形とは違うのですが、ボクにとっては、お金以上に安全にみんなが安心して楽しく料理が作れて、そして食べてくれる人が喜んでくれる時間と場所を保証できる事が何より大切な事なんですよね。


 仲間の料理の味はボクが保証しますよ。新作の味見を併せてお願いしますね。


 それに、お気に召していただいた稲荷寿司は、若干食材は代わりそうですが、いつでも食べられるようになる予定ですので」


 ボクの説明にウンウンと頷き笑顔を見せるゼルファさん。


「それは嬉しい知らせだな、そう言えば、アルも稲荷寿司を口にして、普段ではあまり見かけない表情をしていたぞ。

 あの者にそんな表情をさせるなんて、やはり稲荷寿司とはすごい食べ物よ」


 へぇー、あの和穂以上に無表情の……とは言っても、和穂は結構感情豊かなんだよ……。

 ボクが、隣の和穂の表情を見ているとそれに気がついた和穂は「ナニ?」とキョトンとした表情をして、ボクの右腕に抱きつく。


 アルクリットさんにも目を向けると、目が合うなりフイッと視線を外される。


 へぇー、あのアルクリットさんがねぇ……。



「ゼルファさんは何か好ましい味とかってありますか?」


「好ましい味……とな……すまない、アキラどのの作った物は、口にすると、こう気持ちが明るくなるというか、もう少し続いてほしいという風になるのだけどな……そもそもモノを口にするということがあまりないからな」


 ゼルファさんは腕組みをして、首を傾げる。


「ボクの作ったものがお口にあっているというならば光栄です。

 きっと、その続いて欲しいって気持ちが食べる事への好みだと思います。

 甘い、辛い、酸っぱい、苦い、味覚の好みは人それぞれなので、ゼルファさんの好みに合わせたモノも、何か作れたらなって思えまして」


 ゼルファさんは笑顔をこちらに向けて言う。


「アキラどのが私に食への喜びを教えてくれているのだな、まだまだ私は疎い、アキラどのの作ってくれるモノを色々食して自分の好みを探してみるのも良いかもしれないな」


「恐縮です」


「それと、例のダークエルフの件だが……」


 それから、話は変わっていく。

 ボクはゼルファさんと話をしていて気がついたことがあった。


 それは以前初めて会った日には『嬢ちゃん』から『アキラさん』に変わったボクの呼び方が、リシェーラさんに釣られてからか、『アキラどの』と呼ぶようになっていた。


 『さん』と『どの』どちらの方が他人行儀なのかはよく分からないけれど……、リシェーラさんは愛称として呼んでくれているのだと思うから、それだけ気軽に感じてくれてるのならば嬉しいな。



 それぞれのグループでゆっくりと流れる時間の中で会話が繰り広げられている。


 しかし、この静かな時間はリシェーラさんのひと言で終わりを告げる。



「ねぇアル、あなた狐鈴どのに鍛えてもらってはどう? あの地の者達は狐鈴どのに戦い方を教わっているのよ」


 リシェーラさんはふと、思い出したかの様に顔を上げ口にする。

 本当に突然の発言にみんなキョトンとする。


 すると、こちらでボクのお願い事に関して話を詰めていたゼルファさんが耳をピコピコ動かして、顔を上げる。


「ほう、それは面白い。 私も狐鈴どのの戦う姿を見てみたい」


 突然の事態に当人のアルクリットさんは、表情を固くする。


「ワチは別に構わんよ、しかし鍛える様な時間はないのう、手合わせで良いかの?

 ただし、身内の様に手加減はせんよ、其方はワチに思う事があるようだからの……其方との腕試しで、ワチがチカラの違いを見せてやるのが手っ取り早いじゃろ」


つい、今まで、ソーニャさん達と笑いながら話していた狐鈴が、目をギラギラ光らせながら言う。


「ハルも一緒に相手をしてやろう、何ならゼルファ、其方も一緒するかや?」


 狐鈴の挑発にも聞こえる申し出に、冷静にゼルファさんは「私は遠慮しておこう、痛いのは嫌なのでな」と言って躱す。


 そういう風に躱す人ほど、実は強い事をボクは知っている。それに本当に狐鈴の戦い方を見る事に興味があるだけの様な気がする。



 かくして、狐鈴相手に、ハルとアルクリットさんの挑む形で戦闘訓練が始まった。




 ボク達は先程、ボクの歌っていた倒木へと移動して、見下ろすような形で3人を見守る。


「ハル良いか、いつもの訓練とは違うからの、本気でかかってくるが良いぞ」


 狐鈴は錫杖を右手に、シャンシャンと音を鳴らしながら自分の肩をポンポンと叩き、2人から距離をとった位置で話しかける。


 ハルは、力を封印されているので、大天使の姿ではなく、白い翼を広げて宙に浮き、白い天使の輪を頭上に光らせる。5本の光の剣を浮かべながら、自身も光の剣を手に取っている。


 アルクリットさんはハルから数メートル離れた場所に足をつけ、バチバチッと閃光を走らせたトライデントを両手でしっかり握り、先端を狐鈴に向けて重心を低くして構える。



「そうじゃの、ここからワチを出したら、ワチの負けじゃ」


 狐鈴は錫杖の先端を上に、柄側で直径10メートルほどの丸を足下にガリガリと書きながら言う。


「ただし、ここから内側はワチの得意な距離だからの、心してかかってくるが良いぞ」


 狐鈴は錫杖の先端をコンコン、シャンシャンと鳴らし説明すると、錫杖を片付けて和傘を取り出す。


 ん? あの丸の大きさって……実際測ってないからわからないけれど、廃村で狐鈴がクラマと戦っていた範囲と同じくらいの様に感じられる。


 狐鈴は手元でいくつかの印を組み、パンッと柏手をひとつ打つ。

 すると、狐鈴の正面にひとつの狐火が現れ、6つの狐火に分裂し、狐鈴を取り囲む様に浮いている。


「さあ、始めようかの」


 狐鈴は和傘から、スラリッと細身の刀身を抜き出すと、閉じたままの傘をそっと足元へと置く。


 正面の狐火を左手に取ると刀身を撫でる様に滑らせ炎を纏わせる。


 左手を腰に当て、右足を前にだした右半身の構えをとる。伸ばした右手に握った刀の剣先は、アルクリットさんの構えるトライデントの先端あたりの高さに合わせている。


 一見アルクリットさんには隙が無く、ハルからは隙だらけのようにも感じるけれど……。

 それでも、死角である後ろからうっかりと足下に書かれた線を跨いだ途端、横薙ぎされた刀身に斬り付けられる様に感じられる。



「っけーっ」

 ハルが声をあげ、剣を持っていない左手を上に挙げた状態から振り下ろす。

 宙に浮く5本の光の剣が狐鈴に向けて撃ち込まれる。


「ダメじゃな、全然届かぬよっ」

 

 狐鈴は足元に置いた和傘の浮いている柄の部分に右足を踏み下ろす。


 和傘は真上に向かってクルクルと回りながら弾き上げられ、ハルの剣は傘によって全て散らされる。


「なっ!?」


 和傘は意思を持っているかの様に全ての剣を散し最高点まで上がると、開きフワリフワリッとゆっくり落ちてくる。


「躊躇した攻撃はワチに届かんよ、本気で斬りつける気でかかってくるが良いっ」


 狐鈴は言うなり、離れたハルに向かい剣を振りあげると、炎の鞭がハルへと伸びる。


「わ、わわっ、あっつ……」


「ゼアッ!」

 空中で炎から逃れるべく羽ばたくハルを他所に、アルクリットさんは狐鈴との距離を一気に詰め、トライデントを狐鈴の顔に向かって突く。


 ガキンッ

 

 狐鈴は今ハルに向かって振り上げた刀を振り下ろし、トライデントの股になっている部分に打ち下ろす。


「くっ」


 剣に残っていた炎がアルクリットさんに向かい降り注ぎ、たまらずアルクリットさんは後方へと下がる。


「下がるんじゃないっ!」

 狐鈴は声を上げて、宙を浮く狐火に左手をかけ、アルクリットさんに向けて投げつける。


「ぐぁっ!」

 投げられた狐火はアルクリットさんの顔の前で破裂して火の粉を散らす。


「ったあっ!」

 ハルは翼をたたみ、落下するチカラを味方にして手に握る剣を振り下ろす。

 振り下ろした剣は狐鈴が身体を捻ることで躱され地面へとめり込む。

 狐鈴はそのまま左足を軸にコマの様に体を横に回しながら、刀を横薙ぎする。


「ひぃっ」

 ハルは頭を下へと引っ込め、狐鈴の横薙ぎを躱す。


「をををっ!」

 アルクリットさんがトライデントを短く持ち上から斬りつけてくる。


 狐鈴は軸にしていた左足で地面を蹴り、横薙ぎしていた刀を引き寄せ、斬り上げる。


  ガギンッ

  ドスンッ


 鈍い音を立てトライデントは軌道を変えられ地面に吸い込まれる様にめり込む。


 トライデントって三又の槍の様だけれど、刀身の短い剣が3本ついている様なもので、突き以外の戦い方は、戦斧に近い使い方になるみたいだ。

 どこか、ナティルさんの戦い方の様にも見えるけれど、トライデントを扱っているアルクリットさんの動きからは全く戦斧のような重さを感じない。


 狐鈴は振り向きざまに、狐火を投げ、ハルに攻撃をする。


「わっ!」


 ハルはとっさに投げられた狐火を剣で斬りつけ、構えを取り直す。


「ハルに足りぬのは残心じゃっ!」

 狐鈴は死角でも見えているのかハルに喝を入れる。


 狐鈴は右足で地を蹴り、刀をアルクリットさんに向かって打ち下ろす。


「くっ」

 アルクリットさんはトライデントを両手で引き寄せ横にした状態で持ち、柄を使って、顔の正面で刀を受け止めようとする。


 狐鈴は伸ばした腕から肘を曲げ刀を引き寄せると左手も柄に添えてそのままアルクリットさんの顔に向かって突く。


 アルクリットさんは後方に身体を反らしてたまらずそのままひっくり返る。


 ハルが間髪入れず、右上より剣を打ち下ろす。

 狐鈴は両手で突いた刀を引き戻し、そのまま刀の柄の先端で、剣を握るハルの手を弾く。

 後方によろけるハルの身体を右斜め下より

体を捻りながら斬りあげる。


「うわぁっ!」


 ハルは叫び声をあげ、翼のチカラを使って後方に逃れる。

 羽が1枚フワリッと舞う。


 炎を纏っていた刀ならば恐らく逃れようもなかったはず。

 それは、柄で斬撃を受け止めたアルクリットさんも然り。


 狐鈴はハルに残りの狐火をまとめて投げつける。


「わわわっ!」

 ハルは3つの狐火の破裂から逃げながら飛ぶ。



「ををっ!」


 体を起こし、立ち上がったアルクリットさんが再度狐鈴に向かってトライデントを突き上げる。


 狐鈴は体勢を低くして突き上げられた攻撃を躱し、アルクリットさんの懐へと潜り込んで両手で地面を叩く。


 ドオォォオオンッ


 叩かれた地面からは炎柱が上がり、アルクリットさんの体を飲み込む。


「ぐああぁっ! っんがぁーっ!!」


 炎に包まれたアルクリットさんは顔を右手で覆いその場から逃れるべく距離をとる。


 ハルは再び5本の光の剣を召喚し、狐鈴にむかって放射する。


「やれやれ」


 狐鈴は地面から手を離して炎柱を消し、足元で広がっている和傘に手を伸ばして、飛んでくる剣へと向ける。


「ええっ!?」


 投げられた剣は傘を貫くことなく弾かれる。


 あの傘の強度って、いったいどうなっているんだろう……。

 過去にクラマのガドリングのような羽の攻撃も普通に耐えていたし……。


 開いたままの傘を横に動かすと、ハルがタイミングを合わせて剣を降ろす。

 しかし、タイミングを合わせていたのは狐鈴も同じで刀で突きに行く。


「わっ!」

 ハルは斬り込みを諦め、体を捻り狐鈴の突きを躱す。


 狐鈴は突きを繰り出した姿勢から傘の柄を肩に乗せ、くるりと体の向きを変える。

 そこに声を出さずに突きに来たアルクリットさんのトライデントがぶつかり矛先が変えられる。


 さらに、くるりと向きを変えながら刀を横薙ぎさせ、アルクリットさんに斬りかかる。


 アルクリットさんはトライデントを立てて、狐鈴の刀を防ぐ。そして、先程の突きに警戒して身を引く。

 恐らくあの姿勢から突きを繰り出すことは難しいと思えるのだが……それを可能にできるのが狐鈴のすごいところで。

 そうでなくても突きへの恐怖はしっかりと植え付ける事はできていた様だ。


 狐鈴は、傘を閉じて肩に担ぐと、ちょうど傘の先端がハルの鼻筋をかすめる。


「ったっ!」

 鼻を抑えるハルに「おぉ、そこにおったのか」と声をかける。

 狐鈴は絶対に気がついていたハズだ……。

 だって、笑っているもの。


「ハルは負傷じゃの、離れて見ておれ」

 狐鈴はハルの頭をポンポンと叩く。


「さて、せっかくなら、こちらの世界では目にする事のない剣技を披露しようかの……」


 アルクリットさんの方に向きをかえ、言いながら、狐鈴はペロリッと唇をひと舐めして、刀を和傘へと納める。

 カゴの持ち手を上から両手で持つ様に、和傘を横にして柄を握っている。


「くぅっ、ば、バカにしよって! 私など剣を使うまでもないっ!! そう言いたいのかっ!!!」


 憤怒したアルクリットさんは姿勢を低くして地を蹴り、トップスピードで突進しながら、電流を強くしたと思われる放電したトライデントの切先を狐鈴に向けて突き上げる。


 狐鈴は傘の先端を左後方に下げて右手を柄に、一見無防備にも見える姿勢をとる。


 あれは……


 居合い切りっ!!


  一閃っ!!


 剣筋を細い光で残し、刀身は傘に納められる。


 斬撃を受けたアルクリットさんは斬られた瞬間を見ることが出来ただろうか……いや、斬られた事すら気がついていないかもしれない。


 ヒラリと右回りに身体を翻した狐鈴の背中を、アルクリットさんは変わらぬ怒りの表情のまま……

 変わらぬ勢いで駆け抜け、体はバランスを崩し転倒し、滑り込む様に地に伏っする。

 突き伸ばされたトライデントの先端は切断され、半分になった刺股のようになっていた。


 崩れた衝撃で、体から斬られた首が離れたところに転がっていき、斬り離されたトライデントの先端部分は宙でクルクルッと回ったあと、地に伏せているアルクリットさんの体の上に落ちて貫く。

 まるで、デザートフォークをカットフルーツに突き立てる様に……


 シンッ…………辺りは静寂を取り戻し、アルクリットさんの発する言葉だけが響く。


「ば、バカなバカなバカな……」


 体から斬り離されたアルクリットさんの首からは信じられないと、言葉が繰り返される。


 ボクからしたら、その光景の方が信じられないのだけど。



「見事なものだな、これだけチカラに差があるとはな、しかも全力ではあるまい」


 隣りでゼルファさんが呟く。

 

 確かに、神通力なのか、妖術なのかの判断はできないけれど、普段の鍛錬では目にしない狐火と炎柱の使用はしたものの、体術による打撃は殆どしていないし、攻撃も一切受けていない。


「息があがっていないどころか……自分で決めた範囲の半分程度しか使っていない。まったくどんな神経してんだか……」

 ゼルファさんは驚いたというよりは、呆れたといった表情だ。

 

 それは気が付かなかった、言われてみれば狐火を使った遠距離以外は寄せ付けてから応戦していた。


 地面に引かれた線は無傷で、中心部は撃ち落とされた攻撃や、力のぶつかり合いが原因でかヒビ割れが目立つ。


「それはそうですよ、手合わせとか言っていたのに、狐鈴ちゃんたら、受ける一方に回って、ハルやアルに助言していたようですし」

 リシェーラさんもおかしそうに笑っている。


 ボクはハラハラしながら、それでも速い攻防に目を凝らすのが精一杯だった。


 ゼルファさんも、リシェーラさんも一歩引いた冷静な観察力はさすがというべきだな。




 狐鈴は和傘で肩をポンポンと叩きながらアルクリットさんの首の元へと歩いて行く。


「こんなハズではない……こんな……ひぃっ!」

 自分の敗北を受け止められず、呟くアルクリットさんの首の前で狐鈴はしゃがみこみ、何かをボソボソと呟く。


 狐鈴は立ち上がりボク達の方に向きを変えるとパンパンッと手を叩き「終わりで良いかや?」とニパッと笑いながら言う。


「まったく懐が深すぎて、全然技量が量れなかったよ」

 ゼルファさんは苦笑いする。


 リシェーラさんは立ち上がると、フワリッと飛び、アルクリットさんの首と狐鈴の元へと行く。


 狐鈴に丁寧に一礼をして、アルクリットさんの首を両手で持ち上げる。

 そして、伏している躰の元に行くと、首を一旦降ろして体に刺さったトライデントのカケラを取り除き、仰向けにする。

 首をあるべき位置に合わせると、何事もなかったかの様にアルクリットさんは体を起こす。


 アルクリットさんは首がくっつくなり、立ち上がると、狐鈴の元へと駆けて行き深く一礼をしている。


 周りがいくら静かでも何を話しているのかまでは聞こえない。


「やっぱり、狐鈴の本気と渡り合えるのは和穂だけなのかもね……」


 ボクは何気なく呟くと、和穂がボクの頭に直接話しかけてくる。


『珠緒様相手だったとしたら、私達が2人でも太刀打ちできるかどうか……』

 ジッと和穂がボクの顔を見ている。


「……マジ……?」

 ボクの情けない呟きに和穂はコクコクと頷く。



「さて、今日はなんだか色々あったな……。 

 

 ソーニャ、ソナタは神の奇跡で、あるべきモノ……いや、ソナタにとって1番大切な仲間を戻す事はできなかったが、自分の体を取り戻した。

 しかし、周りにこの事が知れると、神の奇跡を授かりし者として、崇められたり、自由が奪われる危険性も生じる。

 極力これまでと同じ様に過ごして欲しい」


 ゼルファさんがソーニャさんに声をかけて立ち上がると、足を降ろしていたソーニャさんはすぐに足を引き上げ、姿勢を正して地に額をつけるほど頭を下げて言う。


「ゼルファ様、仰せのままに。仲間との絆を残していただき、心より感謝しております」


 ゼルファさんと、ソーニャさんがそんなやりとりをしていると、リシェーラさんがコチラへ戻ってくる。


「かたい、かたいですよソーニャどの。

 私達は守る事ができなかった事を修正しただけですよ。 

 私達は、救えなかった事実を罪としてしっかりと受け止めます。

 今できる事をしただけ、ソーニャどのの仲間と同じ様に、命を落としてしまった者達はもう、救う事はできないから……

 

 でも、その者達も私達に代わって、狐鈴ちゃんや、和穂どの、そしてアキラどのが天へと導いてくれたから、きっと新しい命としてこの地にまた生まれてくるでしょう……」


 リシェーラさんは小さくなってしまっているソーニャさんの背中に手を当ててさすり、声をかける。


「それに、神の奇跡をソナタに使用したからと言って、その先のソナタとの特別な繋がりは無い。

 この世界に生ある他の者達と等しく恵みを与えるだけだ、受けた神の奇跡に感謝をする事は多いに結構……そうだな、アキラどの達と出会えた事に感謝をすると良いのではないか」


 「ぶ、ちょちょちょ、なんでボク達を巻き込むんですか!!」


 突然何を思ったのかボク達に振ってくるゼルファさん。


「それもそうですね、ソーニャどのはアキラどの達に救われたから、私達と出会う事ができて、奇跡を受ける事ができたの。

 アキラどの達はもともと規格外の存在なんですから、今更ひとつつふたつ規格外の出来事が増えたって構わないですよね」

 

 満面の笑顔でリシェーラさんはゼルファさんの言葉に賛成して付け加えてくる。


「構いますって! なぁにを言っているんですか、規格外って発想は周りが勝手に騒いでいるだけですよ!! そりゃ、狐鈴や和穂、クラマは特別ですけど、ボクは特別じゃ無い、普通の人間なんですよっ!!」

「ですよっ!!」

「すよっ!!」

「すよっ!」

「よっ……」


 ボクは声をあげて言う。静寂なこの地にボクの否定する声が響く。



「……アキラ……主さま……」

 和穂はボクが特別視されると嬉しいから、ボクに抱きつきながら言う。


「そうですよぉ、私のご主人さまでもあるんですからぁー」

 ウメちゃんもウンウンと頷きながら言う。


「………………」

 うう、何も言えなくなってしまった……。



「のう、アキラ、何か食べるものないかや?」


 緊張感のない狐鈴の声が、離れたところからかけられる。

お帰りなさいませ、お疲れ様でした。

戦闘のシーンって何度も思うのですが、文字にする事が難しいですね、躍動感とか、緊張感とか……

表現が下手で本当に申し訳ないです。

書いては消して……

もう、こればかりは繰り返して自分のものにするしか……なんてこった、また戦いが繰り返されるのか……


さて、本日はこの辺りで。また次の話でお会いできる事を楽しみにしています♪


いつも誤字報告ありがとうございます。

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