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復讐に燃えるゴキブリ

悪い夢を見た。


朝起きたら自分がゴキブリになってしまった夢。


まず、そんな状況は100%ありえないのだが夢にしては、やけに鮮明だったため俺ともあろう者が少し焦ってしまった。


仮にもしも、もしもだよ?ゴキブリになっていたとするならば迷うことなく自殺する。


桶の中に貼られた水にダイブして溺死でも燃え盛る火の中に突っ込んでゴキブリ焼きになってでも死んでやる!(虫に痛覚は無いって誰がが言ってたから、多分楽勝♪)


そもそも、ゴキブリで生きろって言われて素直に頷くやつなんていねーし。てか、俺は何でこんなどうでもいいことをグダグダと考えてるんだよ!

そもそもゴキブリになる夢を見たってだけなんだからさぁ!


まぁいいや。考えすぎたら頭が痛くなりそうだし、そろそろ起きるか、、、 うん?


そろそろ起きるか、、、だと?俺は一体何を言ってるんだ?


まず、俺はゴキブリになった夢を見て起きてたのでは?


あれ?訳が分からなくなってきたぞ、、、


まず、俺は今まで何をしてたんだっけ?


混濁する思考を尻目に目覚めの意識が強まる。


その直後に頭の中で正体不明の不安感が押し寄せる。



目覚めてはいけない。俺の中の誰ががそう言った気がした。急に怖くなった俺は力一杯に目を瞑ることしかできなかった。



〜〜♦︎〜〜♦︎〜〜♦︎〜〜♦︎〜〜



「ギィーギィーギィギ(訳:オーマイゴッド)」


部屋の中を探し回り見つけた小さな手鏡の前で俺はボーゼンとしていた。


目覚めた俺に降りかかった現実は余りにも理不尽極まりないものだった。


目の前の鏡に写された自分の姿は長く伸びた触覚と逆三角形の頭、油ギッシュな黒いボディが光輝くゴキブリだった。


「ギィギィギィーギギ(訳:無理ゲーだろ)」


正直なところ、これはもうほとんど詰んだ状態だ。ゴキブリになって、何ができるんだよ!

害虫だの忌み嫌われて人間に殺されるか格上の捕食者に喰われるだけだろ、、、


「ギギィギ、、(訳:死ぬか、、)」


頭によぎる死の選択。思えば久しぶりの感覚だなー。自慢ではないが、俺は今までの人生でこれといった挫折や苦難もなく生きてきた方だと思う。


普通の家庭に生まれ、普通の学生生活を送り、平均よりちょっと上の大学に入り、普通の会社に勤めて、25年間と言う月日を過ごしてきた。


その中でも俺が死にたいと感じたのは会社に入りたての社会の厳しさを知った時と大学時代に付き合っていた彼女に俺のナニが小さいと言う理由で振られたときくらいだ。


ちなみに俺のナニのサイズはけっして小さくは無かった。相手のナマコトンネルがユルすぎただけなのだ、、、


くそー思い出したらイラムラしてきた!奴は俺に一生の傷をつけると同時にナマコの神秘を教えてくれた人物ゆえに、この件を思い出すたびに相反する二つの感情が湧き上がってくるのだ。


…まぁ俺のトラウマは置いといて俺の人生は基本的に充実していたのだと思う。しかし、その充実した人生は一夜にして奪われてしまった。それも、考えられうる最悪の形としてだ。


正直なところもう死んでしまって今という地獄から解放されたいのが本心だ。しかし、その感情とは裏腹にドス黒い怒りの感情が俺の心を支配していた。


なぜ、俺だけ不幸なめに、、


なぜ、よりにもよってゴキブリなんだ、、


俺が一体何をした?


俺を憎む誰かの仕業なのか?


何にせよこの状況を作り出した奴は必ずいる。そうでなければ一夜で人間がゴキブリになるなど有り得ない、、


もし、そうならばソイツは今この状況を遠くから観察して楽しんでいるかもしれない、、、


そんな奴をこのままにしてていのか?


否、俺と同じかそれ以上の目に合わせなければ気が済まない。


復讐だ、、殺してやる、、


楽には殺さない、、一番苦しむ方法でだ、、



鏡の中に写る俺の目は血走り復讐の炎に燃えていた(ゴキブリの目なので血走ることはない。あくまでイメージの話)。その時だった、、



ー スッキル Go!!! ー


突如として脳内にテンション100%のダンディーなおじ様の声が響く、続いておじ様はこう告げた。




『憎悪値が一定値を越えました。

スキルNo.51-黒き恐怖 Lv.1-を取得しました。』



「ギッ!?(訳:はっ!?)」


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