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第三章 15

 人の形をかろうじて保ちながらもその存在はまるで影のようにうつろなもので、声にならない声を上げ、視線の定まらない目で安楽をにらみつけながら、地獄に引きずりおろそうとするかのように、安楽の脚に手を伸ばしていた。


「なっ、なんだ、こいつらは!?」

「覚えていないだろうが、覚えはあるだろう。お前が腹を開いて中身を空にして阿片を詰めてミイラとして売り飛ばした者達だ」

「そいつらが……死んだやつらが私に一体なんの用だ? お前達は既に死んでいる、俺が殺したわけではない、逆恨みもいいところだ!」

「逆恨みだと? お前がしたことは死者への冒涜であり、あの世での審判を妨げるものだ」

「うるさいっ! 死んだ奴らが今更なにを言ったところでどうなる? 誰がその言葉を聞いて信じる? そんなもの誰も信じない、何故なら私は菩薩と言われているのだからな!」


 吠えるように叫ぶと安楽は足を掴んでいたものの頭を容赦なく蹴り飛ばした。蹴られた頭は首から外れ、毬のようにどこかに転がり、消えていった。


「ははっ、見たか! 一度は死んだ身だ。見てくれが恐ろしいだけで、どうってことはない。もう一度死にたいなら死なせてやろう。それが慈悲というものだ!」


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