第三章 11
璃兵衛の言葉に合わせるように、それはゆっくりと起き上がった。
「馬鹿な……こんなことが……死体が、よみがえるわけ」
「あるから、俺はここにいるんだ。お前のおかげでひどい目覚めだがな」
レンは事もなげに左胸に刺さった短刀を引き抜いた。
その傷口から血が流れ出すことも、レンが痛みに顔をしかめることもなく、ただ何事もなかったようにレンはそこに立っていた。
「あなたは、一体……」
「それはお前がよく知っているはずだ。しかし阿片の入れ物にするとは考えたものだな」
「その上、入れ物も薬の材料として高値で売れるときた」
レンと璃兵衛の言葉に安楽はあるものに思い至ったようであった。
「……まさか、自分はミイラだとでも言うつもりで?」
「ああ、そのまさかだ」
レンは親指で璃兵衛を示した。
「こいつのせいで心臓を共有することにはめになったがな」
「正確には魂だが、心臓というのも間違いではない。魂は心臓に宿るという考えもある」
「心臓を。魂を、共有……? さっきから何を言ってるんだ、お前達は!?」
「肉体、魂のバー、生の全ての根源とされるカー、霊の一種のアク……古代エジプトには人間は死後四つの存在になるという考え方がある。そして、このバーは魂を運ぶ役割を持っている」
璃兵衛がバーの羽根をなでてやると、バーは気持ちよさそうに目を細めた。




