第三章 3
「罰当たりはどっちだ」
しかし、璃兵衛はそんな安楽をひややかに見ていた。
「あの墓は茜の母親の墓だ。塔婆は新しい墓にこそ立てられているはずだ。それが新しい墓に立っていないのはおかしいと思わないか」
「それは……そう、うっかり忘れていたのですよ。私も何かと忙しい身で」
「なるほど……坊主業のかたわら、盗人への指示役もとなれば、それは忙しいだろうな。どちらが本業かわかったものではないが」
安楽が動揺で肩を揺らしたのを璃兵衛は見逃さなかった。
「先程から、一体なにを言って」
「お前がおこなったことはこうだ。盗人に医師から阿片を盗ませ、適切な治療を受けられずに死人が出た家から金を盗ませる。お前は何食わぬ顔で家を訪ね、金がなければ自分がタダで葬式をしてやると言って、遺体を引き取る。そうして引き取った遺体の腹を開き、医師から盗んだ阿片を詰めて輸出する。まさか遺体を入れ物に使うとはな」
璃兵衛の言葉に安楽は一瞬たじろいだものの、すぐに落ち着きを取り戻した。
「そんな突拍子もない話をされても困ります……それに私がそんなことをした証拠があるのですか?」
「お前が家を訪ねるのは葬式ができずに困っている最中だ。まるで仏を迎えに来た菩薩のようだと言われているそうだが、一日に何軒も回るなど事前に人が死ぬとわかっていないかぎり不可能だ」
「お前、なぜ、それを……」




