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第二章 21

 病床で抱いた璃兵衛のその思いは世話人達をすべて断り、一日の半分程度を店先で過ごせるようになってからも変わることはなかった。


(……だからこそ、俺は知りたい)


 蓬莱堂にやってきたもの達には、一体どのような思いが宿っているのか。

 いわくつきと呼ばれるものになるまでには何があったのか。


(それがわかれば、己のことを理解できるかもしれない)

 自分がここに存在し、生きている意味を得られるかもしれないのだ。


 カツンと、塔婆の先が何か固いものにあたった。

 塔婆の先にある土を手で払ってみると、丸い木のなにかが顔をのぞかせた。

 

 それは土葬に使われる桶のふただった。


(この中に、遺体が……)


 璃兵衛は緊張を逃すように一度大きく息をして、木のふたに手をかける。


「いくら、あいつから分けてもらっているとは言え、身体は元のままだ……さすがに、重い……」


 じわりと汗をかきながらも、璃兵衛は手に力を込める。

 そうして、どうにかできたすき間から、璃兵衛は中をのぞき込んだ。


「……やっぱり、そうだったか」

(とりあえず一度戻って、いや、この方が早い……)


 左胸をおさえながら立ち上がった次の瞬間、璃兵衛の頭部に強い衝撃が走った。


(……っ、あいつに殴られた時よりは、マシか……)


 そんなことを思いながら、冷たい土の上に倒れ込んだ璃兵衛の意識は遠のいていった。


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