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第二章 20

 病弱であることを理由に母親は璃兵衛を家の外に出そうとはせず、わが子を日の下にさらすことを拒み続けて亡くなった。


 母親亡き後は京都にある母の実家から医師や世話人が手配されたが、いわくつきの物に囲まれた場所に留まることを嫌い、璃兵衛の病は呪いによるものに違いないとそそくさと帰っていった。


 唯一、璃兵衛を気にかけてくれたのは富次郎やその家族達だったが、それでもずっと面倒をみてもらうわけにはいかなかった。


 熱にうなされた夜も、咳込んで息がうまくできない夜も。

 璃兵衛はただひとりだった。


 自分はこのまま死ぬのだろうかと思いながら夜を越して目を覚ませば、再び死ぬかもしれない恐怖が幼かった璃兵衛に襲い掛かってきた。


 やがて璃兵衛は恐怖から逃げるために昼夜問わず、さまざまな書物を読みふけるようになった。


 病弱でほとんどの時間を床で過ごしていた璃兵衛には時間も、これまで集められてきた異国の書物も山程あった。


 それらの中でも璃兵衛がひかれたのは、いわくつきのものや呪いにまつわる話だった。


 何年も物に宿って生き続ける感情が、その魂が。

 璃兵衛にはひどく眩しく思えた。


 そこまで強く深い感情を、璃兵衛は生まれてこの方一度も持ち合わせたことがなかったからだ。


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