第二章 14
「あちらは墓ですか? なんでも身寄りのない者の遺体を引き取り、供養しているとか」
「ええ。身寄りがないからと、ちゃんと供養してもらえへんのは気の毒で」
「よければ、墓を参らせてもらっても? 手を合わせる者がひとりでも多い方がそうした者達も浮かばれる。ちがいますか?」
「いえ、そのとおりで……そういうことなら、私が案内を」
「案内は結構です。準備で忙しいと言われてましたし。お気遣いいただきすみません。行くぞ」
「ああ……」
安楽に頭を下げると、今度こそ璃兵衛はレンを連れて本堂をあとにした。
「はぁ……」
「さすがにあそこまでねこを被ると疲れるか」
「人は見た目で判断し、判断される。よくも悪くもな」
ぼやいて伸びをする璃兵衛を横目に、茜色に染まっていた空をレンは見上げた。
「茜のことが心配か?」
「あぁ……大丈夫なのか?」
「時間なら、まだある。それまでに解決すればいいだけのことだ……と、ここだな」
璃兵衛が足を止めた先は、先程話していた身寄りのない者達が埋葬された場所だった。墓石としていくつもの石が置かれている。
「これが墓なのか?」
「そうだ。さすがに火葬は無理だったのか、土葬にしてるようだな」
江戸では衰退したものの、大坂では火葬は盛んにおこなわれている。
しかし火葬にすると手間も時間もかかるため、土葬にしているのだろう。




