第二章 12
「寺を建て直した感謝としていただいたもので。そんな高価なもんはいただけへんと断りしたのですが、どうしてもと言われ……。寺に来てくださる方にも楽しんでいただければと思うて、ここに飾らせていただいとるんです」
「なるほど。これだけ高価なものを贈る方がついているとは心強い」
「いやいや……ところで、そちらの方は異人さんで?」
安楽が示したのは璃兵衛の隣にいるレンだった。
「えぇ。縁あって、うちで働いてもらってます」
「ほう、それはまた珍しいご縁で。おふたりにとって、これは神仏のお導きだったのかもしれません」
「たしかにそうかもしれませんね」
そう答えた璃兵衛は声を潜めて安楽に続けた。
「実はこの男はこっそりと海を渡ってきた者で」
「こっそりと言うんは、つまり密航……?」
「こうした仕事をしていると、色々とツテもあるもので。ちなみに彼の生まれは砂に囲まれた暑い国だとか」
「……え、あぁ、それは、実に興味深い」
話を聞いた安楽がレンに向けた目は、まるで品定めをしているかのようで、安楽からの視線にレンは不愉快そうに顔をしかめた。
「俺が興味深いとはどういう意味だ?」
「いえ、前に書物で砂に囲まれた国について読んだことがありまして。それにしても異国から来たというのに言葉も上手なことで」
「言葉は、ここに運ばれてくるまでの間に聞いて覚えた。時間なら余るほど、あったからな」
「それはえらい勉強熱心なことで」
安楽は改めて璃兵衛に向き直った。
「ほんで、おふたりは何の用でこちらに?」




