第二章 5
「お前……」
「お前の怒りは正当なものだが、拳を叩きつける相手を間違っている」
「こいつの言う通りだ。少なくともお前はよくやっていると俺は思う。お前は昔から曲がったことが嫌いな熱いやつだったが、何も変わってないな」
「璃兵衛……」
「まぁ、その恐がりはどうにかした方がいいと思うけどな」
「俺の感動返さんかい!」
「つけておいてくれ」
そう言うと璃兵衛はその場をあとにした。
***
「まったく、あいつは……」
「おい……」
璃兵衛に続いてその場をあとにしようとしたレンを富次郎が引き止めた。
「なんだ?」
「その、なんや」
「言いたいことがあるなら、はっきり言え」
「……俺がいくら恐がりや言うても、お前見て悲鳴を上げたんは、ほんまにすまんかった!」
富次郎はレンに向かって勢いよく頭を下げた。
まさかそんなことで謝られるとは思っていなかったレンは少しの間、下げられた富次郎の頭を見ていることしかできなかった。
「そのことなら気にしてない。あれは璃兵衛が仕組んだことだ。暗闇から急に出てくれば幽霊と間違えても仕方ない。それに幽霊というのも間違いでは」
「はぁ? んなわけあるかっ!」
レンの言葉を遮った富次郎の叫び声に、レンは思わず目を丸くした。




