第二章 4
「だが、俺の記憶によると、あれは大量に使うものではなかったはずだ」
「お前が言うように、あれは容量を守れば薬となるが、量を間違えれば取り返しのつかないことになる。犯人探しもいいが、阿片の行方を探すのが先だろう?」
「お前の言葉は毎度耳が痛いわ……」
富次郎は深くため息をついた。
「俺達も阿片の行方を追ってるもんの、まったくて言うてええほど足取りがつかめん。それと阿片を盗まれた医師ていうんが、これまた厄介でな」
「無免許医師か」
「あぁ……せやけど、そうした医師がおるから治療を受けられるもんもおる。ただ、そのせいで中には被害を届け出えへんもんもおるからな」
無免許の医師がいることは珍しいことではないが、阿片を取り扱うことができるのはごく一部の認められた者だけだ。
なぜ無免許の医師が阿片を持っていたのかを問われることになれば、それは困ると届けを出さない者もいる。
恐らくだが富次郎達が把握している以上の阿片が盗まれていると考えていいだろう。
「せやけど、このままやったら治療や手術ができんくて、助かるはずやった者も助からんようになる。己の利益のためだけに、大勢の命を救うもんを盗むんが、俺はどうしても許せへん」
富次郎は悔しさをにじませ、拳を己の膝に叩きつけようとする。
その拳を止めたのはレンだった。




