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第二章 2

「しかし、まさか同心の富次郎が幽霊嫌いだったとはな。このことを富次郎の世話になっている者達が知ったら、さぞかしがっかりするだろうな……」

「今更、勿体ぶらんでええわ。気色悪い」


 幽霊嫌いは富次郎は周囲には隠しておきたいことらしく、たびたび幼馴染である璃兵衛に幽霊嫌いのことをちらつかされては、こうしてわがままに付き合わされている。


「んで? 見回り中の俺のとこにわざわざ用はなんや?」

「昨日、亡くなった母親の腹の中が空っぽになっているのを見たという子供が店にきた」


 璃兵衛は事実を淡々と告げたが、それを聞いた富次郎の顔から血の気が引いた。


「いや、ちょお待て。腹の中が空っていうんは、つまり」

「母親の遺体の腹が開かれ、中にあるはずの臓器がなくなっていたということだな」

「惨い話や……母親を亡くしただけでもつらいのに、そんな……うぅ……」


 富次郎はその場面を想像してしまったのか。

 顔を青くすると掌で口元をおさえた。


「泣いたり吐きそうになったりと忙しいやつだな、お前は」

「むしろ、なんで腹開いた話を見聞きして、ケロッとしてんねん、お前は」


 そう言いながらも、またその場面を想像してしまったらしく、富次郎は声にならない声を上げ、再び口元をおさえた。


「大丈夫か?」

「あぁ、悪いな……」


 レンが背中をさすってやると少しは気分も楽になったようで、口元から手を離すことには顔色も元に戻っていた。


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