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『異世界狂騒録』~兄妹揃って異界に飛ばされたので好き勝手に生きる~  作者: 御星海星
不死と隣国と迷宮と

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死者と頂上と決戦と

投稿できてしまった。

 黒金で出来た閂を持ち上げて外す。

 思っていたよりも重いが、どうにでもなる。

 両開きの重厚な扉を押し開けて踏み入った先は───────────────まるで闘技場のような空間だった。

 肉々しい壁と骨のような柱。

 最奥に見える水晶塊と、ソレを中心に描かれた赤黒い魔法陣。

 天井に開いた大穴から覗く、三日月と満天の星空。

 まさか塔の頂上で戦うことになるとは。

 そして目の前の玉座に腰掛けた青年。

 華美過ぎず、されども確かに気品を感じさせる、黒を基調とした衣装。

 この場に似つかわしくないそれが、しかし不気味な程に似合っていた。

 青黒いワカメヘア―に黄色くぎらついた瞳。

 そして圧倒的すぎる同族嫌悪。

 …………………うん、同族嫌悪。

 初めて会ったヒト(?)の筈なのに、ハッキリ言って殺意しか沸かない。

 虚空から取り出した太刀を八双に構える。

 腰を低く落としたギンカが腕を構え、後方でアヤメとオネットさんがそれぞれの得物を携える。


「……………来訪者諸君、私は君たちに危害を加えるつもりはない。もし、このまま帰ってくれるというのなら、この塔の下まで送ってもいい。………………それに、同胞と殺し合うような悪趣味は持っていないのでね」

「そう、か…………………」


 どうやら、こちらに敵意を持ってはいないようだ。

 それならば、道中の遅延戦略にも説明がつくというもの。

 目的が不明なのが癪に障るが、場合によってはここで帰還するのが最適解なのかもしれない。


「だが断る」

「うぉあ?!」


 一瞬の隙を見逃さずに繰り出した一撃が、クソ野郎の喉を掠める。

 僅かばかり浅かったか。

 だが問題は無い。


「オネットさん!!」

「任せて!≪紫電招く標≫≪天穿つ一閃≫≪怨讐の雷蛇≫≪その名を以て≫≪天誅と為せ≫─────【雷喚:鏃撃】!!」


 クロスボウを軋ませながら放たれた一撃が、クソ野郎の腹に突き刺さる。

 何食わぬ顔のクソ野郎。

 ぶん殴ってやりたい。


「…………すまないが、君達と争いたくはない。私にも目的があるのだ。無駄な時間は割きたくない」


 知ったこっちゃねぇ。


「おい、これだけかよ」

「ちょっと、待っててよ!─────────【降電】!」


 鬱屈とした空間にフィンガースナップの音が響き、視界を極光が埋め尽くす。

 一瞬だけ、星海を切り裂いて落ちてきた雷轟がクソ野郎を貫くのが見えた。

 時間差爆撃かよ。


「アヤメ、デカいの一発頼む!!」

「分かった!」

「レン、最前線任せた!」

「任された!!」

「僕も援護させて貰うよ」


 それぞれ勝手に武器を構えて戦闘態勢を取る。

 きざったらしく溜め息をつくクソ野郎。

 身体強化と喰剣を使い、全力で前進して首を刎ねにいく。

 横薙ぎの一閃を何処からか取り出した儀礼用の突剣(レイピア)で受け流すクソ野郎。

 反撃の刺突を腹に喰らいながらも、相手の顔面に右ストレートをめり込ませる。

 派手に吹っ飛ぶクソ野郎に飛び掛かり、胸に突き立てる。

 着地と同時に蹴り上げ、背負うようにして腹から頭までを切り裂く。

 振り返りざまに更に斬り刻もうとして…………目の前で展開された深紅の魔法陣。

 渦巻き捻れたソレが槍のような形状になって───────────────


「──────【貴血之槍衾(ブルー・ブラッドレイ)】」

「おッ、ラアァァアアッッ!!」


 放たれた大量の鏃を自身の肉で受け止め、相手の喉仏に刃を喰い込ませる。

 ワカメヘアーを引っ掴んで床に押し倒し、首を捩じ切る。

 常人相手ならとっくに死んでるが、不死者がこの程度でくたばるわけがない。

 蠢き再生しだした肉塊を、白光を纏った左手で掴み、叩き伏せて引き千切る。

 肥大化させ、甲殻を張り付けた掌で殴り、念入りに磨り潰す。

 後方から朗々と響く聴き慣れた詠唱と、それに合わせて収束していく死の気配。


「───────────────≪始原の種火≫≪転じて劫火≫≪創世の土塊≫≪移ろいて黒曜≫≪祈りたる壊光≫≪捻れて明星≫≪併せ造りし≫≪浄滅の尖撃≫──────【白光の撃槍】!!」


 生存本能に従って跳び退る俺。

 その脇腹を抉りながら飛翔した、熱量と質量を持った殺意が、無様なミンチ肉に。


「──────【反障(リフレクション)】」


 突き刺さる寸前で、中空に表れた魔法陣に阻まれる。

 直後、逆巻きながら白炎が撃ちだされた。

 ………アヤメに向けて。

 高速で飛んだ一撃が無防備なアヤメの脳天を撃ち抜く直前で突き飛ばし、身代わりとして俺が肉壁になる。

 爆轟、衝撃、激痛。


「ガッ、ァアァアアァァァ…………………」


 焼け焦げ、腐り融けた肉を動かし、歯を食いしばって立ち上がる。

 腕がなかなか生えないうえに、腹から臓物が零れ落ちるが気にしない。

 足元に転がっていた血液瓶を咥えて回収し、瓶を嚙み砕いて飲み下す。

 ガラス片ごと嚥下したせいで喉が痛むが、この程度なんてことない。

 肉体を復元しようとする俺の首を斬り落とそうと迫る鋭刃を、真横から伸びた黒い腕が掴み取り、クソ野郎の眉間を征矢が撃ち抜く。


「助かった!!」

「次から気をつけろ!!」


 ギンカが時間を稼いでくれている間に体勢を立て直し、太刀を手に取る。

 追加で血液瓶を飲み、身体強化と喰剣を発動、大きく踏み込んで突き込み、薙ぎ切り、槍に変えて前進し、更に突く。

 そのまま渾身の力を込めて。


「【柘榴】!」


 穂先から撃ちだされた無数の赤い氷塊が、クソ野郎の体を打ち据え吹き飛ばす。

 大きく槍身を振り回し、相手の脇腹に刃を突き刺す。

 そのまま横刃を引き抜き、返す石突で額を穿つ。

 地を這うように放たれた赤い閃光を、寸でのところで跳躍して避け、顔面に槍を突き刺し【空歩】で踏み込み蟀谷から斬り落とす。


「レン君、しゃがんで!!」


 言われた通りにしゃがんだ俺の頭上を紫電が駆け抜け、クソ野郎のどてっぱらを抉る。

 脚を発達させ一気に全身、すれ違いざまに足首を刈る。

 倒れ込む胴体に真下から刃を突き刺し、背負うようにして叩き付ける。

 辺り一帯にばら撒かれた血の棘に全身を貫かれながら後ろに下がる。

 油断なく槍を正眼に構える俺の前で、余裕そうに服を生成するクソ野郎。

 それなりに手傷を負わせたはずだが、一体どれだけエネルギーを貯め込んでいたのやら。

 互いに距離を取り、再度戦闘が始まった。








クーラーが無いと眠れない季節がやってきた。でも埃が鼻炎にダイレクトアタックしてくる。




















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