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『異世界狂騒録』~兄妹揃って異界に飛ばされたので好き勝手に生きる~  作者: 御星海星
不死と隣国と迷宮と

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テントと迷宮と願望と

多分これから投稿速度さんが死ぬ。

 ゾンビを殲滅した後の階層で、休息をとる。

 血液瓶を飲み干して一息。

 3人が携帯食を齧るのを眺めながらこれからの事を考える。

 この迷宮に潜って何日経ったかはよくわからないが、少なくとも10日以上は経過している。

 俺はまだ余裕だが、他の3人はいい加減、限界が近いだろう。

 というか、このダンジョン長すぎる。

 その上で只々数が増えゆくゾンビを倒して進むだけの作業。


「アヤメ、大丈夫か?」

「あぁ……………うん。多分、ね」


 やつれた顔で言うアヤメ。


「大丈夫じゃないな」


 仕方がないので小脇に抱えてテントに運び、適当に寝かせて折り畳んであった毛布を被せる。

 やはりというか、疲れが抜けていないようだ。

 そしてまるでゾンビの様にテントに潜り込むギンカとオネットさん。

 生身の人間だから仕方ない。 

 もっと俺が頑張らないと。

 太刀を抱え、警戒に努めた。














 無数のゾンビを撥ね飛ばしながら道を往く。

 階層の出口を塞ぐは肉の壁。

 ラ〇―ンシティから逃げる列車に乗っていそうなフォルムの腐肉をぶち抜く。

 流石に一撃では殺せないか。

 ならばもう一発叩き込むだけ。

 崩れ落ちる肉塊を尻目に駆ける。

 左から強襲してきた融合ゾンビを、繰り出した甲殻蛇で喰い殺す。

 群がる一般ゾンビを纏めて捻り潰し、最高速度で進む。出口を塞ぐように膨張した異形のゾンビを喰い破って上へ登る。

 頭上から降ってきた骨と肉の槌をギリギリで躱し、真横から噛み千切る。

 迷宮の床や地面が蠢き、骨片混じりの肉槍が形作られる。

 軋み捩じりあげられたソレが高速で射出され─────────正面から打ち砕く。

 血濡れの鉤爪を振るい、動く死体を動かない死体に変えていく。

 突如として地面に現われた大口に、右足を食い千切られる。

 腹立ちまぎれに牙を圧し折り、足を生やして走る。

 前方から伸びた肉槍を躱し、駆け上った。




















 もう何階層目か分からないが、取り敢えず暴れ回る。

 ここら辺で3人には休んで貰いたい。

 俺の背中でアヤメが立ち上がり錫杖を構える。


「アヤメ、無理はするなよ」

「これくらいなら大丈夫だから。気にしないで」


 かなり心配だが、本人がそう言っているのならそうなのだろう。

 アヤメが一撃を叩き込むまで、時間を稼ぐ。棺桶を蹴飛ばし、融合ゾンビを左腕で貫く。

 無限沸きを疑う勢いで襲ってくるゾンビを粉砕していくが、いかんせん数が多すぎてカバーしきれない。


「悪い、ギンカ。援護頼む!」

「任せろ!【叩き殺せ】!!」


 危険を察知した俺が横に跳ぶのと同時に、周りにいたゾンビが汚いミンチに転生した。


「アヤメ!いつ撃てる!!」

「もうちょっと待って!」

「分かった!」

「あの、僕はどうしたらいいのかな?」

「落ちないようにしがみついてろ!!」


 背中に乗せた3人を落とさないように、細心の注意を払いながら駆け回る。

 行く手を遮るゾンビ共を踏みつけ、圧し潰す。

 俺たちが時間稼ぎに徹する中、アヤメの構える錫杖の先端にナニカが収束していき、そして。


「跳んで、お兄ちゃん!─────────≪始原の種火≫≪転じて劫火≫≪古き微風≫≪移ろいて風穴≫≪巻き込み≫≪荒れ狂い≫≪猛り≫≪蹂躙せよ≫──────【焦土:爆轟】!!」


 アヤメの指示に従い、肉を撓めて全力で跳躍。直後、階層の地表を爆炎が呑み込んだ。




















 四肢を床に突っ伏し、3人を降ろす。

 直後、腐り落ちて液状化する肉体。

 汚泥の中から身を起こして立ち上がり、ここ暫らくの間ですっかり手馴れたテントの設営作業に移る。


「ねぇ、お兄ちゃん………………………」

「どうした、アヤメ」


 迷宮の床に寝っ転がって、天井を見上げるアヤメ。

 何処か愁いを帯びた表情で俺を見つめてくる。


「…………………お風呂に入りたい」

「贅沢だな」


 ここ迷宮の中なんだが。湿らせた布で体を拭うぐらいが関の山だろ。


「あと、リリアナちゃんお手製のカレーが食べたい」

「贅沢だな」


 確かに共感できるが、どっちにしろ迷宮内でカレーは無理だろ。

 ………………いや、材料さえあれば行けるか?


「あと、リリアナちゃんと一緒のベッドで寝たい。抱き締めて匂い嗅いでくんずほぐれつしたい」

「アウトだ」


 というか、なんで今それを言った。


「アヤメ、もう寝た方がいい。きっと疲れているだけだから」

「僕は勝手に寝させてもらうよ………………はぁ、疲れた…………」


 テントの中に滑り込むオネットさん。

 乗り物酔いだろうか。

 ……………………まさかな。


「お休み、お兄ちゃん」

「お休み」


 目元を擦りながら倒れ込むようにしてテントに入るアヤメ。

 そして何故か外に突っ立ったままのギンカ。


「寝ないのか?」

「眠くない。だから寝ない」

「……………そうか」


 無言のまま焚火の傍に座り込むギンカ。

 何処から持ち出したのか毛布に包まってそのまま舟を漕ぎ始めた。

 ってオイオイ。


「どうせ寝るならテントの中で寝ろ」

「……………眠くない」


 ふるふると頭を振るギンカ。

 しかし徐々に目が蕩けてきて……………………


「おい、ギンカ?」

「…………………」

「…………結局こうなるかよ」


 眠りこけるギンカを抱えて、寝かせつけた。










生きてりゅ\(^o^)/














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