不死と踏破と追憶と
デッデッデデデデ!デデデデ!カーン!
霞になって溶ける不死者の鎧をぶち抜いて、迷宮の地面に深く突き刺さった巨杭を両手で掴む。
白煙を上げて俺の掌が焼け焦げた。
クソ痛いが耐えられない程じゃない。
歯を食いしばって引っこ抜く。
「おい、オネットさん。これでいいのか?」
「ありがとう、レン君。僕がやってもいいんだけど流石に厳しいからね」
そう言いながら、筒の中に杭を装填するオネットさん。
赤熱し蒸気を吹く本体が、ガシャンガキン!と異音を響かせて変形した。
ハイテクかよカッコいいな。
「お兄ちゃん、これからどうするの?」
「取り敢えず、先に進むしかないだろ」
「レン………………あっちだと思う」
ギンカが指を指した方の肉壁が大きく捩じれながら穴をあける。
やっぱり続きがあったか。
「………………行くぞ」
腹を括って穴の中に踏み込んだ。
立ち尽くす俺たちの目の前には、広場のような空間。
そこを埋め尽くす大量というのもおこがましい程のゾンビ達。
普通のゾンビにデカブツが沢山。
棺桶に融合ゾンビにフランケンシュタインまで。
つい先ほど振りの騎士までいる。
…………………………………クソッタレが。
「ねぇ、どうする、お兄ちゃん」
「いつも通り、突き進むしかないだろ」
「レン、先陣は任せた。私は援護に回る」
「僕もそうしようかな。どうせ前衛は無理だし」
諦めたように首を横に振るギンカとオネットさん。
「ギンカ、お前は前衛だろ」
「…………………実はさっき投げ飛ばされたダメージが回復してない」
「思ったよりもパイルハンマーの反動がヤバくて肩が………………」
「駄目じゃねぇか」
嘆息を飲み込んで飛び降りる。
太刀を抜き放ち、一気にゾンビを切り刻む。
太刀から槍に持ち替え、身体強化を使って思いっ切り薙ぎ切った。
棺桶に穂先を突き刺し、持ち上げて振り下ろす。
引き裂かれる棺桶に巻き込まれる一般ゾンビ。
体に衝撃が走り、右腕が食い千切られる。
振り返ってみれば、俺の腕を美味しそうに咀嚼するデカブツの姿。
返せや。
怒りを込めて樽腹に腕を突き立て、臓物を引き摺り出して喰らう。
マズい苦い味が薄い。
だが食い物だ。
よって腹に詰め込む。
融合ゾンビに向けて大量の甲殻蛇を放ち、瞬く間に喰い尽くす。
便利だな、コレ。
更に周りのゾンビを捕食し、突き進む。
空きっ腹にゾンビを掻きこむ簡単な作業。
四肢を獣の様に変貌させ、全身を拡張する。
頭部が鰐の様に伸び、口を閉じる事すら困難な程に牙が長くなる。
何故か恐れ戦くゾンビの群れに飛び込み、一息に飲み干す。
勇敢か無謀かはわからないが、フランケンシュタインが足に噛みついてきたので爪で突き刺し、頭から丸齧りにする。
デカブツより旨いな。
どこかに逃げようとするゾンビを発見。
逃がすかよ。
舌を高速で伸ばして敵前逃亡者の胴体を貫く。
そのままこちらに引っ張りよせ、やはり飲み下す。
呆然と俺を見上げる3人組。
そんなバケモノを見るような目で見ないでも………………………
「ヴォイッ、ノォレ!!」
俺の背中に乗るように催促するつもりが、変な声が出た。
喋りにくいな。
仕方がないので三人纏めて触手で縛り付け、無理矢理背中に乗せる。
何やら悲鳴が聞こえたようにも思うがきっと気のせいだ。
四肢を更に発達させ、バネ状に変化した後ろ脚を大きく撓めて───────────────駆ける。
集ってくるゾンビを軒並み撥ね飛ばして、暴走機関車よろしく猛進。
階層の出口に辿り着くが、立ち止まらずに走る。
階層を上るなり襲い掛かってきたゾンビを一瞬で嚙み砕く。
執拗に纏わりついてくるゾンビを抹殺し、怒涛の勢いで階層を踏破。
疾走する俺の目の前に飛び降りてくる融合ゾンビを一瞬でバラバラに引き裂いて平らげる。
他愛もない。
軽く見渡した限りでは、前の階層よりゾンビが少ないように思える。
飯として捉えるなら数がまるで足りていないが、たやすく全滅させられる数。
丁度いいな。
へっぴり腰のゾンビを殲滅するべく、右腕を繰り出した。
「ここをキャンプ地とする!!」
錫杖を地面に突き立て、妙なポーズを取りながら宣言するアヤメ。
その傍に楔を打ち込み、テントを完成させる。
ポーチから血液瓶を取り出し、一気に呷る。落ち着く味がする。
「レン、さっきのアレは流石にやり過ぎ。もうちょっと自重するべき」
「僕もそう思うよ。昔の知り合いに吸血鬼がいたけど…………………君ほど無茶な肉体の変化を使うことはなかった」
「マジか」
というか、アレって無茶だったのか。
てっきり当たり前のことだと………………それに。
「オネットさん、その知り合いってどんな奴だったんだ?」
「元貴族だね。人間から生まれた純血種の吸血鬼だったかな?いい奴だったんだけどねぇ………」
過去を懐かしむような、少しばかり物悲しそうな顔をするオネットさん。
マズいことを聞いた気がする。どうしよう。
「…………………お兄ちゃん、私、もう寝るね?」
気まずそうにテントの中に入るアヤメ。
キレ気味のギンカと陰鬱な表情のオネットさんが同じようにテントに消えていった。
…………………まったく。
「何処で間違えたかなぁ…………」
蹲ったまま、ひとり時間が過ぎた。
眠いんゴ
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