不死と鎧と杭と
杭は持ったな!
どちゃり、と湿り気を帯びた生々しい音を立てて、百足を元に戻す。
取り巻きは片づけた。早くあの鎧の戦士を拘束しないと。
「ギンカ!無事」
「あうっ…………!」
振りむいた瞬間、俺の顔面にギンカの後頭部が激突した。
そのままもんどりうって後ろに倒れ込んでしまう。
「おい、何やってんだよお前!!」
「うっさい!!」
互いに叫び合いながらも起き上がろうとしたところで影が差した。
見上げれば宙を舞う鎧の戦士。
高く掲げられた剣断ちが振り下ろされて───────────────
「ッ……レン!!」
「ガッ?!」
肉厚の刃に頭をカチ割られる寸前で、ギンカが俺の首根っこを掴み、転がって回避。
真っ二つに切り裂かれる俺の胴体。
ひでぇことしやがる。下半身を生やし、血を無理矢理服代わりに加工。
太刀を携えて突き進み、薙ぎ払うもあっさりと受け流される。
繰り出された鉤爪を身を捻って躱す。
ガラ空きの足首を刈り取ろうとして、黒い盾に弾かれる。
体制を崩した俺に突きこまれた刃を、ギンカの構える腕が真横から掴み取った。
「助かった!」
「さっさと、動きを、とめろ!!」
「分かった!!」
とはいえ、どうやって拘束するべきか。
そんな事を考えながら相手の腕を蹴り上げ、胴に突きを入れる。
火花を立てて鎧の表面を刃が滑る。
やっぱりというか通らないか。
泣きたくなるがめげずに太刀を振り下ろそうとして───────────────
「下がってお兄ちゃん!───────────────【炎弾:54連】!!」
「アッツエアッツウァアァァ?!!」
俺の背中と構えられた盾に赤く燃え盛る炎の塊が突き刺さり爆ぜる。
気が狂いそうな焦熱。
吹き飛ばされ、床を転がりつつも太刀を担ぎ、突貫する。
こちらへ向けて盾を構える戦士。
弓の様に引き絞った体躯から必殺の一撃が放たれようとして。
「ギンカァ!」
「ッ、【御手を拝借】!!」
盾を突き出した戦士を、不可視の掌が両脇から叩き潰す。ぐらりと揺らぐ戦士。
盾を持つ腕と手甲の隙間を目掛けて刃を突きさし。
「【牡丹】!!」
一息に断ち切る。汚濁をまき散らして宙を飛ぶ左手首。
そして追撃のラリアットボンバー。
無理矢理床に引きずり倒したうえで、縛り付ける。
更にギンカの出した無数の黒い腕が上から押さえ付けて。
「オネットさん!!」
「後はっ、任せて!!!」
俺の真横を猛然と駆け抜けるオネットさん。
その小脇に抱えられた金属製の筒。
2メートル程の長さがあるソレが、時代錯誤な駆動音と蒸気をまき散らして変形する。
武骨な黒塗りの鉄骨と、中央に装填された巨大な杭。
更にその奥に備え付けられた薬室にも見える金属塊。
漢なら、誰しもが一度は憧れたであろうソレの名は───────────────────
「──────とっつきかよ」
「その、通り!」
地面に転がされた戦士の鎧に、派手な衝突音を響かせながら打ち付けられる金属塊。
暴力的な唸り声を鳴らして高速回転した杭が、紫白色の電光を帯び─────────────
「さよなら!!!」
激発音を轟かせ、螺旋を描いた一閃が不死の戦士の鎧を穿ち抜いた。
短い。でもキリがいい。よって私は許された。QED待って!石を投げないで!ヤメ




