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『異世界狂騒録』~兄妹揃って異界に飛ばされたので好き勝手に生きる~  作者: 御星海星
不死と隣国と迷宮と

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蘇生と故人とフランケンと

今週のビックリドッキリメカ(安心と信頼の死体製)

 黒タイツを殲滅した後の教会を探索する。

 こいつらの目的も何もわからない状況で放置しておくのは危険過ぎる。

 取り敢えず手当たり次第に漁っている訳なのだが…………………


「コレか?」


 よくわからん魔法陣の描かれた羊皮紙を回収する。

 更に動物の骨を削りだして作ったと思わしき曲がりくねったナイフをゴミの山から引き摺り出す。

 床に乱雑に置かれた瓶を拾い上げ、叩き割る。

 どろりと零れた赤黒い粘液は、恐らく血液の類。

 …………尤も、既に腐りきっていて飲めないが。 

 後は連中のコスチュームである黒タイツに、奇怪な形状の羊の頭蓋。

 カルト臭いな。


「お兄ちゃん!ちょっとこっち来て!!」


 アヤメに呼ばれたので、僅かばかりの戦果を抱えて向かう。

 大部屋のあちらこちらに死屍累々と散らばった黒タイツ。

 その内の一体を検分するアヤメ。

 傍に立ち寄って覗き込み───────────────


「───────────マジかよ」

「でしょ?」


 アヤメが引き剥がした覆面の下には、何も無かった。

 強いて言うのなら、黒く濁った粘液の塊。

 その中に埋め込まれた禍々しい胎児のような人形。

 嫌な予感しかしない。


「これは、なんだ?」

「わからない………………けど、ヤバいのは解る」

「なるほど」


 つまりヤバいんだな。

 よくわかった。


「レン、安心して。どうせお前の同類だから」

「流石にこれは違うだろ」

「でもアンデットだよ?レン君」

「………………やめてくださいよ………否定出来ないんで」


 実際、コイツラも不死者なんだろうが納得いかない。

 というか気に食わない。

 そもそも、俺とコイツラとの間に何か致命的で根本的な差があるように思える。

 もっとも、ソレが何なのかが分からないのだが………………どちらにせよ、コイツラを許容してはいけない気がする。


「あとお兄ちゃん、これ見て」

「どうかしたのか………って」


 アヤメが差し出してきた血濡れの羊皮紙。

 奇怪な図形と数式、更に奇妙なケダモノを模した紋様。 

 SAN値が削られそうだ。

 それはともかく。


「何処で見つけた?」

「生贄台の下の隠し部屋から」

「マジか」


 指し示された場所に目をやれば、ぽっかりと開いた暗い穴。

 よくよく見れば如何やら隠し階段になっているようだ。

 …………という事は、この三人があの中に入ったという事か?

 肉壁兼前衛()のサポートも無しに?


「…………せめて俺が戻ってからにしてくれ。…………心臓に悪い」

「大丈夫でしょ?」

「前衛なら私が居る」

「接近される前に撃てば殺せるしね」

「お前ら…………………」


 俺の存在意義が今の一瞬で消し飛んだ。

 泣きたい。


「他には何もなかったのか?」

「まだ色々ありそうだったから、お兄ちゃんにも来てもらおうと思って」

「分かった」


 四人揃って暗がりに降りた。


















 隠し部屋の中は、想像よりもずっと酷かった。

 血と肉片のこびり付いた室内。

 天井に繋げられた鎖に吊るされた誰かさんの上半身。

 中央の祭壇に安置された死体は、どこぞのフランケンシュタインの如く継ぎ接ぎだらけ。

 壁に掛けられた解体用の鋸。

 手術台の上に置いてあるのは……………血塗れのメスと謎の薬液が入った注射器モドキ。

 ナニカを作ろうとしていたようにも思える。

 何をしようとしていたのかはわからないが、どうせ碌な事じゃない。

 更に散らばった無数の書類。

 流し読んだ限りでは何かの実験記録のようだが……………………


「アヤメ、コレが何かわかるか?」

「………………」


 返事がない。振り返ってみれば、瞳孔を見開き、血の気の引いた異様な相貌のアヤメ。

 心なしか怒りを抱いているようにも見えるが………………………


「アヤメ?」

「……………お兄ちゃん、これ……………死者蘇生の研究かも……………」


 死者蘇生…………あぁ、死者蘇生ね。

 鍋に入れて煮込んで喰ったら旨い奴だな。


「マジ」

「本当?!」


 俺の言葉を遮って叫ぶギンカ。

 振り返った俺の目に映ったのは、何かに縋るような顔のギンカ。

 必死さを漂わせるその表情の由来はきっとあの人なのだろう。

 ……………だが。


「これは違うだろ」

「……………ねぇ、なんでそう思ったの?」

「不死者の勘だな」

「ふざけないで」

「……………ふざけてないんだがなぁ…………」


 実際、コイツラと俺の間に何か大きな、そして致命的な差を感じる。

 というかぶっちゃけ殺意が沸く。


「ともかく、ギンカ。コレはやめておけ。その方が良さそうだ」

「そんなの関係ない!!」

「あの人が上の連中みたいになってもいいと?」

「っ…………でも」


 俯きながらも、なお食い下がろうとするギンカ。

 気持ちはわからなくもないが、流石にコレを許容することは出来ない。

 そう言おうとして……………


「…………レン君、ちょっと遅かったみたいだね」

「あ、何が遅かった………………って……………」


 後ろを向いた俺の目の前でゆっくりと起き上がる、巨体のフランケン君と目が合った。

 どうもこんにちは、今日はいい天気ですね。

 え?空なんか見えないって?

 …………それもそうだな。


「クソが」


 剛拳に叩き潰された。




























「お兄ちゃん大丈夫?!」

「大丈夫だ!!」


 無様に転がって死体蹴りの一撃を回避。

 虚空から太刀を取り出し、突貫。

 すれ違いざまに腕一本斬り落とす。

 腐肉が溢れ、黒くべたついた汚濁が撒き散らされる。

 股下を潜り抜けながら跳躍、腹に刃を突き立て捩じり、背負うようにして逆袈裟に振り抜く。

 馬鹿みたいに開かれた口に腰だめで構えた切先を照準し───────────────


「【芍薬】!」


 延髄まで貫き通した刺傷が爆ぜるが、汚泥を垂れ流すだけで必殺には至らない。

 なら。


「【牡丹】!!」


 右手で柄を握り締めたまま刀の峰に左手を添え、押し切る。

 フランケンシュタインの頭部がずれ落ち、一泊置いて切断面が吹き飛ぶ。

 なおも往生際悪く藻掻くフランケンシュタイン。

 だが───────


「ギンカ、オネットさん!」

「任せて!」

「【叩き殺せ】!」


 帯電した短矢と不可視の一撃が、相手を完膚なきまでに粉砕した。
















 フランケンを抹殺した後の室内。

 何気なく目をやった先にある汚濁で塗れた刀身。

 それを指で拭って口に運ぶ。

 うん、マズい。薄いニッキ水の味がする。


「…………お兄ちゃん?ちょっとそれは引くかなって………………」

「レン、人間性を喪失する前にさっさと成仏するべき」

「レン君?一回、精密検査を受けた方がいいよ」

「やめてくれ」


 割とシャレにならない軽口をたたきながら上に戻った。






目と目が合う~♪しゅ~んか~ん♪こ~いだと~きづ~い~た~~♪














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