表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『異世界狂騒録』~兄妹揃って異界に飛ばされたので好き勝手に生きる~  作者: 御星海星
不死と隣国と迷宮と

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

88/173

迷宮と死体と死体と

書けた。

 高台を飛び降り、太刀を抜き放つ。

 こちらに気付いたゾンビが高速で走り出す。

 走ってんじゃねぇよ。

 僅かに抱いた苛立ちをぶつけるように刃を振るう。

 崩れ落ちるゾンビ。

 ざまぁみろ。

 敵の戦力を確認。

 なんかデカいのが15,6体いる。

 後は雑魚が数えきれない数。

 確認するんじゃなかった。

 ゾンビの合間をすり抜け、手近にいたデカブツの腹を踏み台にして跳躍し………………


「【芍薬】!」


 額に切先を打ち込み、爆砕する。

 刀身を引き抜いて後ろに下がりざまに普通のゾンビの頭を蹴飛ばす。

 が、後ろから肉を抉られる。 

 多対一、相性が悪いな。

 身体強化を発動し、刀から十文字槍に持ち替えて全力で薙ぎ払う。

 確かな手応え。

 一般ゾンビを押し退けて突っ込んできたデカブツの腹をぶち抜き、臓物を引き摺り出す。

 悲鳴を上げるデカブツの頭に石突をめり込ませて抹殺完了。

 返す一撃でもう一体の首を刎ね、更に足を斬り落として動けないように。

 大きく槍身を振り回し、樽腹を袈裟懸けに裂く。

 横刃を蟀谷の辺りに埋めて引き倒し、止めの一撃。

 背を向けて逃げるデカブツの胴を背中から貫き、背負う様にして地面に叩き付ける。

 群がってくるゾンビ。

 槍を肩に担ぎ、腰を低く落として半身に構え……………………………


「ガッ、アアァァアアアアァアァァァァッッ!!!」


 雄叫びを上げて薙ぎ払う。

 衝動に任せて、突き刺し、斬り、殴り、抉り、潰し、かち上げ、引き裂き、巻き込み、殺し、殺し、殺し、殺し、殺し、殺す。

 自然と、口角が吊り上がり、瞳孔が見開かれる。

 胃袋と心臓の囁きに導かれるままに、ただ黙々と獲物を狩る。

 「もっとだ」という悲痛な叫びが脳味噌を揺らす。

 死に直結しているのではないかと思うほどの飢餓と焦燥。

 腹が減った。

 視界が赤く滲み歪んでいく。

 噎せかえる程に甘く腐った香りが、嗅覚と空腹を過剰に刺激する。

 食い物が欲しい。

 自身の中でナニカが咆哮を上げ、脈動し、蠢きだそうとして───────────────


「お兄ちゃん!!」

「──────ッ!」


 アヤメの叫び声で意識がハッキリした。

 途端に薄れる熱狂と空腹感。

 頭痛が酷い。

 俺の周りにうず高く積み上げられたゾンビの山。

 どす黒い返り血と腐敗した肉片に塗れた俺を放置して、後方へと向かうゾンビ達。

 後ろで杖を構えるアヤメとオネットさん。

 まぁ、パーサーカーしてるヤバい前衛より、貧弱そうな後衛二人を狙うか。

 槍を大鉈に変え、全力で振りかぶって投擲。

 弧を描きながらゾンビ複数体を両断した刃がやたらと肉々しい床に喰い込む。

 進路上のゾンビを殴り飛ばして前進し、鉈を回収する。

 更に太刀に持ち替えて一閃。

 首〇しみたいになったゾンビは放置。

 雑だがこれで十分だろう。


「オラ、死ねやァ!!」


 向かってきたゾンビにヤクザキックをかまして爆散させる。

 後ろからの殺気。

 跳び退った俺の眼前が纏めて潰される。

 俺の真横で黒い腕を振り切った体勢のギンカ。


「…………今、俺を狙ったよな?」

「何の事かわからない」


 すっと目を逸らすギンカ。

 この確信犯が。


「お兄ちゃん!時間稼ぎお願い!!」

「分かった!」


 緩やかに脈打つ地面に錫杖を突き立て、瞼を閉じるアヤメ。

 しゃん、と澄んだ音を鳴らして揺れるその先端に、赤く煌めくナニカが収束していく。

 悍ましい程の圧力が場を支配する中、流石に危機感を覚えたのか、狙いを完全にアヤメに集中して襲い掛かって来るゾンビ。

 背後からの熱にチリチリと焼かれながらも太刀を水平に構える。

 逆袈裟に斬りあげながら前進し、頭を掴んでねじ伏せ、押し倒し、踏み潰す。

 星鎖棘鉄球に変えて頭上で振り回し、勢いをつけてぶん投げる。

 軌道上のゾンビを轢殺しながら猛進したソレの鎖を引っ掴み、斜め上からデカブツを潰す。

 引き抜きながら鎖を唸らせて更に潰す。

 ついでに一般ゾンビも轢き潰す。

 俺の隣で長く伸びた黒腕を振るい、ゾンビを抹殺するギンカ。


「レン君、ギンカちゃん!避けて!!」

「分かった」

「分かりましたるぼぁ?!」


 しゃがみかけた俺の顔面を蹴って、華麗に跳躍するギンカ。

 その直後、爆ぜる紫電を纏った征矢が俺ごと、直線状にいたゾンビを十把一絡げに撃ち抜き、吹き飛ばす。

 辺りに漂う焦げ臭い空気。

 そして後ろで杖を構えるアヤメ。

 その先端で渦を巻く紅い炎が、蠢きながら一点に凝縮され─────────


「≪始原の種火≫≪転じて劫火≫≪古き微風≫≪移ろいて風穴≫≪巻き込み≫≪荒れ狂い≫≪荒れ狂い≫≪踏破し≫≪蹂躙し≫≪灰燼に帰せ≫─────────【焦土:破貫】!!!」


 アヤメの放った赤く燃え滾る灼熱の奔流が、ゾンビの群れと俺を火葬しながら直進し、辺り一帯を薙ぎ払い、そして炸裂した。















「しっかし……………まったく、酷い目にあったな」


 焼け焦げて消し飛んだ服を、自身の頸動脈を掻き切って溢れた血で構築する。

 咄嗟の判断で投げ捨てたポーチを回収し、詰めてあった瓶の中身を飲み干す。

 疲れた体に染み渡る旨さ。

 これが無いとやってらんねぇ。


「レン、無事?」


 地面に胡坐をかく俺の顔を覗き込むギンカ。


「煤けた上に焼かれたがな」


 実際、こんがりやられたわけだし。


「生きてる?お兄ちゃん」

「死んでると思うぞ?」


 そこんとこどうなってんのか知らんが。

 というか…………………


「急いだ方が良さそう、だな」

「知ってる」

「面倒事は避けたいしねぇ」

「え?」


 荷物を背負って立ち上がる俺達と状況が飲み込めていないアヤメ。

 まぁ、こいつらしいと言えばこいつらしいのだが……………………………


「あっちを見ろ」


 俺が指で指した方向から這い寄ってくるゾンビの群れ。

 結構多いな。

 アレを相手にするのは骨が折れる………………というかぶっちゃけ無理。

 そして奥の方に見える登坂。なので。


「逃げるぞ!」


 4人揃って走り出した。





















 意外に短かった坂を上り終える。

 先の方から感じる大量の同族の気配。

 途轍もなく嫌な予感がする。


「お兄ちゃん…………………これってまさか」

「いや、流石にそれは無いだろ」

「それは…………ねぇ?」

「どういうこと?」


 ぐだぐだと話しながら奥へ進む。

 そして視界に映り込んだ………………………大穴と、その中に群がる大量のゾンビ。

 つい先程の階と全く同じ構造。

 違いといえばゾンビの数が多いことぐらい。


「クソが」

「……………お兄ちゃん、私、もう帰っていい?」

「帰すわけないだろ」


 後ろを向いて逃げようとするアヤメの肩を掴んで引き留める。


「取り敢えず、私とレンで前衛をやるから、援護と火力だけお願い」


 そんなことを嘯きながら歩みを進めるギンカ。

 実際その通りだし、仕方ないのだろうが…………考えるよりも突っ込んだ方がマシか。

 自分自身に言い聞かせて、太刀を抜き放った。






コピー&ペースト
















気に入って頂けたのなら、高評価、ブクマ登録など宜しくお願いします。モチベーションに直結するので

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ