健診と身長と血と
少々短くなってもうた・…………泣きたい。
「健康診断、ですか?」
「そう。定期的に軍の方で行っているんだけど………………受けるよね?」
「それは……………受けますが…………」
里から帰ってくるなり魔王様に健診の話を持ち掛けられた。
なんでまた急に………
「君たちが次の任務に行く前に調べておこうと思ってね。致命的な呪いや疫病を患っているとマズいし」
「マジですか」
そんな物騒なものがあるのか。
怖いな。
「それを入れなくても、レン君は色々イレギュラーだから尚更、ね?」
「わかりましたよ、他の連中も呼んできますね」
頭を下げ、部屋に戻った。
「いやだ!絶対嫌だ!!」
「おいお前、いい加減にしてルバッ?!!」
「アヤメ、大人しくして」
「健診か~、懐かしいね~~」
アヤメを連行しようとして殴り飛ばされる俺。
そして暢気に会話するオネットさん。
「お前も早く諦めて行けよ」
「だって健康診断だよ?!間違いなく注射されるじゃん!!」
「ガキかよ」
いやいやと頭を振り回すアヤメ。
獅子舞の様に乱れたその髪の先端が俺の目に突き刺さる。
地味に痛い。
「私は別にいですよ…………………どうせ拒否権もありませんし」
溜め息を吐くリリアナ。
やけに素直だな。
「早く行くぞ」
「うにゅあああ!!」
不可解な叫び声を上げるアヤメを担いで部屋を出た。
「身長が…………174cm、体重が75kgですね」
「ありがとうございます」
医務室にて測定を担当してくれた看護師さんに礼を言って場を離れる。
そのまま隣の座椅子に案内された。
促されるままに椅子に腰掛け、隣に据えれた肘掛けに腕を置く。
看護婦さんが俺の腕に太い針を突き刺し、血を抜き始める。
吸血鬼が血を抜かれるってのも妙な話だ。
たっぷり大瓶4本分ほど抜かれた。
入れ替わるようにして測定台の上に乗る膨れっ面のアヤメ。
「身長が153cm、体重が………」
「出て行ってお兄ちゃん!!」
「ほぐわッ?!」
思いっ切り殴られた。
痛い。
「ギンカさん?こっちへ」
「………………わかった」
仏頂面のギンカが測定台の上に上がる。
「………………早く出ていけ」
「わかったよ」
大人しく撤退した。
「結局どうだったよ?」
「……………………聞くな」
「身長、伸びてなかったって」
「言うな!!」
切れるギンカが振り回した拳をのらりくらりと躱し、唸るギンカを放置して椅子に座る。
「私は少し背が伸びましたね。後は……………………」
「僕はどっちも変わらなかったね。やっぱりエルフは成長が遅いから…………」
そんなことを話していたのだが………………
「レンさん、こちらに来てください」
いきなり看護婦さんに呼び出された。
何故か俺が。
「お兄ちゃん、何かやらかした?」
「いいや、心当たりが無い」
拒否するわけにもいかないだろうし………………
「わかりました、今、行きます」
大人しくついていくことにした。
「レン君、丁度よかった。話しておくことができたんだ」
「なんであんたがここにいるですか」
医務室の椅子に座った魔王様。
嫌な予感がする。
「君の血を調べて幾つか分かったことがあってね?まず、君の血は人のソレではなく、吸血鬼の物として変容しきっている。ここまではいいかい?」
「ええ、まぁ」
「吸血鬼の血は『貴性』と『獣性』の2つに大別できる。魔術に長けた貴性と近接に長けた獣性。君の場合は獣性に分けられるね」
そんなんあったんやな。
「そしてもう一つ。君の血は少々特殊でね。他の吸血鬼と比べて異常なほどに濃いんだ。血の濃い吸血鬼ほど戦闘能力が高く、血を多量に欲する。気を付けた方がいいかもね」
衝撃の事実。
ワイの燃費がカスやった。
「分かったことってそれだけですか?」
「いや、もう一個だけ。興味があるなら呪いを学ぶといい」
呪いとは………………
「理由は何ですか?」
「君の血の一部から呪いが見つかってね。適性があるようなら君の力になると思うよ」
さようですか。
何にしても……………………………
「色々と丁寧にありがとうございます」
「これくらいならどうってことないしねぇ…………あっ、それと……………」
何かを思い出したようなリアクションを取る魔王様。
「何かありましたか?」
「五日後にまた働いてもらうからよろしくね?」
「クソが」
ヴィエエェエエェええエエえぇぇええぇぇッ!!!
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