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『異世界狂騒録』~兄妹揃って異界に飛ばされたので好き勝手に生きる~  作者: 御星海星
郷里と郷里と異変と

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魔物と龍亀と具足と

やってやったぜ

 鬱蒼と茂った森の中。

 押し寄せる魔物を蹴飛ばし、叩き潰し、殴り殺す。

 拳骨万能説が浮かび上がってきた。

 ギンカが腕で薙ぎ払った魔物に、片っ端から致命傷を負わせていく。

 雑魚が多いから処理がしやすい。

 狐の顔面を掴み、振り回し叩き付け踏み抜く。

 結構数を減らしたと思うが、戦闘音に惹かれたのか、次から次にやって来る魔物の群れ。

 げんなりするような光景だがやるしかない。

 それに…………………さっきから響いてくる遠雷じみた轟音。

 段々と近づいてくるそれは、今回の『標的』のものなのだろう。

 焦りと不安を抑え込んで、ガムシャラに魔物を塵殺していく。

 血と臓物が舞う中を駆け、吹き飛ばし、今のうちに少しでも頭数を減らしておく。

 というか、多すぎやしませんか?


「ッ、来るッ!!」

「あ?」


 急に、怯えたような表情でそう告げるギンカ。

 上を見上げれば宙を舞う巨大な影。

 複雑怪奇珍妙華麗な多軸回転運動を披露するそれは……………特大サイズの巻貝。


「マジで龍でも亀でもねぇな」

「いいから、さっさと逃げるぞ!!」

「いや、必要ないだろ」


 あの軌道ならこっちを飛び越えてそのまま目的地まで突っ走っていくだろうし、と。

 そう思った丁度その瞬間だった。

 遥か先に着弾した巻貝─────龍亀─────が急激にその回転方向を変えてってオイ!


「避けろッ!!」

「ふわっ!?」


 ギンカを横から抱え上げ、衝撃波に吹っ飛ばされながらも逆回転の一撃を躱す。

 危ういところだった。


「おいギンカ!時間稼げるか!!」

「何秒かかる!!」

「15秒!」

「任せろ!」


 ギンカがクッソ頼もしい。

 謎の安心感の中、肉体を変容させる。

 肉を一気に膨張させ、のたうち回る肉塊を無理矢理に押しとどめ、骨を生やし、イメージ通りに操る。

 疼くような熱と痛みを伴って甲殻が、肉腫が、骨棘が、粘液をまき散らしながら、腐って爛れた表皮を突き破る。

 頭骨が蠢き、犬歯が異常に発達する。

 文字通り、肉体が一から作り変えられるかのような疼痛の中、乱雑に動いていたそれらがピタッと、パーツの嵌まったパズルの様に組み合わさり、一つの方向へと指向性をもって移り変わって、変容が終わりを告げた。

 当世具足と呼ばれる類の物に似た、氷の塊を纏った岩のような表皮を持つ鬼の相貌の怪物。

 肉が軋み、剥がれ落ちそうになるたびに、白煙を上げて修復が始まる。

 そしてえげつない勢いの消耗。

 感覚的に、持って後10分ってところか。

 俺の頭上に刺す影。

 面頬越しに見た直上には………………こちら目掛けて飛鳥文化ア〇ックをかます龍亀。

 身体強化を発動して、その超重量を支える。

 骨やら鎧やら肉やらが纏めて砕けるがすぐに治る。

 渾身の力で持ち上げたソレを地面にたたきつける。

 派手に舞う土埃に思いっ切り揺れる地面。

 気分はまさに特撮映画の怪獣。

 唖然とした様子で俺を見上げるギンカに苦笑を送り、全身の筋肉を隆起させて──────


「オッ、オォオオォォォオオオオォォォォォォッッ!!!!」


 投げ飛ばす。

 変質した脳味噌が囁くままに跳躍して、異常発達した腕を叩きつけ、地面に墜とす。

 半ば地面に突き刺さった殻に跨り、拳を振り上げて打ち下ろす。

 鈍い音がして、手が砕けた。

 構うものか。

 更に打撃を入れるべく、拳を固めて───────────────喰いちぎられた。

 殻の間から伸びた亀そのものの頭部。

 間欠泉の様に噴き出る薄汚い血の雨。

 腕を修復して、伸びた首に掴みかかって踏みつけ、締め上げようとするが逆に絡み付かれる。

 腕に巻き付いてきた首に牙を突き立てて肉を抉ろうとするが歯が立たない。

 短期決戦は不利と判断し、喰剣を使う。

 白光を帯び、端からボロボロと風化するように崩れる爪牙をもって相手の体に咬傷を刻んでいく。

 俺と龍亀、互いの血が溢れ、肉が弾ける。

 目的地は間近。

 聞こえてくるのは異質な祝詞。

 殻に抱き付き、キン肉バ〇ターの要領で地面に埋め、跳び退る。

 生命の危機でも感じたのか逃げようとする龍亀を、雁字搦めに縛り付ける黒い腕。

 辺りが輝き、導線の様に伸びる赫灼の陣。

 その光に飲まれながら、まともな発音すら儘ならない喉で【戦歌】を発動。

 赤に銀が混じり融け合い──────


「「『『其は人の造りしモノ』』『『不遜たる極光の蝋翼なり』』『『龍神の息吹』』『『熾天使の祝福』』『『雷神の鉄槌』』『『彼岸の八雷』』『『何れも人のモノに非ず』』『『故にこの一撃を』』『『抵抗の証をもって 』』『『人性の狼煙と為せ』』──────撃滅魔法LV2:【【昇砲】】」」


 見事に重なった祈りから天に昇り詰めるように放たれた純白の極光が龍亀を貫き、俺を巻き込み、消し飛ばした。
























 赤黒く腐りきった肉腫が融け落ち、氷の鎧が砕け散る。

 汚泥のような腐肉の中から体を起こし、立ち上がる。

 眩暈がする消耗がえぐい頭が痛い頭蓋が砕けそうだ。


「レン、動けるか?」

「そう見えるか?」

「全然?」

「なら、聞くなよ」


 俺を覗き込むギンカに返事を返し目を閉じる。


「後頼んだ…………………………」

「レン?待て起き」


 意識が暗転した。



眠いんゴ













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