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『異世界狂騒録』~兄妹揃って異界に飛ばされたので好き勝手に生きる~  作者: 御星海星
郷里と郷里と異変と

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虎と奴隷と都市と

投稿速度が死んだ!この人でなし!!

 飛竜の群れを退けてから大体一日がたった今、俺たちは…………………林道を遁走していた。

 必死になって竜車を走らせる俺たちの後ろを、凄まじい速度で追いかけてくる巨大な虎。

 小一時間以上続いた追いかけっこにもめげずについてきた、ど根性の持ち主。

 いい加減、竜も限界が近いしここらで撒きたいところだが、そう上手くいく訳も無く。

 体長6メートルを超えているであろうその剛体から繰り出される一撃が竜車のすぐ後ろを掠め、地面に突き刺さって爆ぜる。

 アレ、アカン奴や。

 喰らったらミンチになる奴や。

 どうせすぐ治るけど。


「おいギンカ!もっと速度出せないのか!!!」

「無理!そっちで何とかして!!」

「わかった!」


 無茶振りにヤケクソで応え、幌の上から飛び降りる。

 こちら目掛けて疾走する虎に対し、十字槍を携え正面から対峙。

 殺意を滾らせて振り下ろされた致命的一撃(猫パンチ)の下を滑り込むようにして潜り抜け、背後から後脚を裂く。

 甘く饐えたような匂いの血が飛び散る中、背中に飛び乗って脊椎に刃を突き立てる。

 間欠泉か何かのように噴き出す血を浴びながら、深々と埋まった穂先を捻じ込もうとして。


「ガッギ、………ッ」


 回る視界。

 異常な圧力。

 呼吸の止まって久しい肺から零れる汚血と、砕けて拉げる肉体。

 自ら転がって俺を圧し潰そうとしたその判断の素早さは、歴戦の経験という奴か、それとも生存本能という奴か。

 前足で掴まれ地面に押さえ付けられそうになるのを、無理矢理生やした肉体に身体強化を全力で使って撥ね退けて距離をとる。

 槍を担ぎ腰を落とし水平に構えて───────────────薙ぎ払う。

 前に打って出ながら膂力に物を言わせて振るった横刃が虎の腹を大きく引き裂いて抉り取る。

 悲痛な叫びをあげる虎のあばらを狙い、ズブリと湿った音と粘着質な響きを立てて、熱く湿った臓物を引き摺り出した。





















 幌の上に腰掛け、輸血パックを飲み干して一息。

 腕を組んで寝っ転がり空を見上げる。


「何してるの、お兄ちゃん?」

「休んでるんだよ」


 実際、今俺がするべき事が何も無いから仕方ない。

 サボっている訳じゃない、断じて。


「レンさんも働いてくださいよ?」


 こちらを見上げてそんなことを言うリリアナ。

 することがなんもないんよ、ワイは。


「皆、もうそろそろ就くから準備しておいてね」


 オネットさんのそんな言葉に釣られて前を見るが………………視界に映るのはだだっ広い森林の緑だけ。


「………なぁ、オネットさん?」

「どうかした?」

「エルフの里ってのは確か、世界樹とやらの傍にあるんだよな?」

「そうだね。それがどうかした?」

「……………世界樹ってのはデカいのか?」

「大きなお城くらいはあるね」

「…………まだ見えないのか?」


 そのサイズの樹木が森のど真ん中に突っ立っていたら、かなり目立つだろうし、そもそも気付けない筈が無い。

 そう思って聞いてみたのだが………………何故か嬉しそうに笑うオネットさん。


「もう見えるよ」


 そんな言葉の直後、何か、壁を突き破ったような感覚。

 唐突に吹き荒れる突風に、思わず目を閉じてしまう。

 風圧が止んで目を開けると………………


「………………マジかよ」


 視界に飛び込んできたのは、天に向かって聳え立つ一本の大樹。

 否、そう表現するのも憚られるほどに、余りにも大きすぎる、悠久に近い時間の重みを感じさせる老木だった。

 その周りを、近衛兵か何かの様にぐるりと囲む大木の群れ。

 つい先ほどまでなかったはずのそれらが、まるで、魔法か騙し絵の類の様に出現していた。

 自身の理解の範疇を超えた現象に、認識が追い付かない。


「………………何だ、これは」

「驚いてくれているみたいでよかったよ。これこそが〔禁域の世界樹〕の名の由縁にしてエルフの里の秘術が壱!【隠し伏せる垂幕(ハイド・カーテン)】!!」

「「「「……………………」」」」

「ねぇ………僕の話、聞いてた?」

「悪い、もう一回話してくれ」

「酷くない!?」


 そんな悲鳴を上げるオネットさん。

 というか。


「そもそも何でこんな仕掛けを?」


 わざわざこんなに手の込んだ仕組みを使う必要があるとは思えないのだが…………………


「僕たちの種族って、まぁ、見目麗しい方なんだよね。だからこそ『商品』として人気があるというか…………アルディルナ王国(あのクソ共)とか違法奴隷商(どっかのクソ共)とかに攫われてねぇ…………滅べばいいのに」


 闇が深いな。仕方ないのかもしれないが。


「奴隷は嫌ですよねぇ………………私の場合、買われてから散々な目に合ってるんですけど」


 死んだ魚のような目でしみじみと言うリリアナ。

 罪悪感に目を瞑り、遠くを見る。


「………………苦労してきたんだねぇ………………」


 リリアナの頭をなでるオネットさん。

 微妙に頬を赤く染めるリリアナ。

 何故かクソ気まずい。


「レン、もう着く」


 ギンカに言われて前を見れば、丸太を束ねて作られた壁に囲まれた都市の影。

 樹上に作られた家や建造物が木製のつり橋や通路で繋がれた、異様な建築の街。

 大きく開けられたその門の中に竜車を進めた。





トラトラトラ ( `ー´)ノ





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