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『異世界狂騒録』~兄妹揃って異界に飛ばされたので好き勝手に生きる~  作者: 御星海星
郷里と郷里と異変と

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竜と龍と竜と

誤字に非ず。

「やだやだやだやだ、帰りたくない!!!」

「子供かよ」

「だってめんどくさいんだもん!お願いだから皆だけで行ってよ!!」

「黙れ」


 床に転がり、駄々っ子の様に手足をバタつかせるオネットさん。

 この人本当に年上なのか。

 なんか嫌だな。


「お兄ちゃん、結局なんで私たちが行くことになったの?自己防衛ぐらいできると思うんだけど」


 珍しく的を射たアヤメの疑問。

 槍の雨でも降るんじゃなかろうか。


「相手が強すぎて、通常の防衛戦力だと話にならんらしい」


 地球と違って、この世界では個が群を圧倒することが非常に多い。

 それこそ、一体の魔物に町が蹂躙される程度には。


「物騒だねぇ」

「お前も大概だがな」

「いや~、それほどでも~………………」


 頬を赤く染めクネクネと身を捩るアヤメ。

 極めて何か生命に対する侮辱を感じる。


「レン、今回の相手は何?早く片付けて観光しよう?」


 地味に物騒なことを言うギンカ。

 ソファーに寝っ転がり、魔王様から貰った書類の束に目を通す。


「多分それは難しいぞ?」


 なんせ敵が……………………


「災害級の魔物とその取り巻きだからな」

「「「はぁ?」」」





















 軍から支給された幌付きの竜車。

 マニュアル通りに竜を走らせる。

 俺みたいな素人に乗りこなせるか不安だったが、こいつらが賢いのもあって意外によく進む。

 手綱を握り、御者席から話しかける。

 取り敢えず自己紹介。

 仲間の情報も無いんじゃ話にならない。


「それじゃあ、自己紹介といこうか。異世界、〔二ホンコク〕出身。元外道戦士、現在無職の吸血鬼。レン・アガワだ。一応ながらこの部隊の隊長をしている。無いと思いたいがフレンドリーファイヤはしないでほしい」

「同じく異世界は〔二ホンコク〕出身の撃滅魔導士。アヤメ・アガワです。お兄ちゃんなら思う存分的にしてもいいので、ジャンジャン撃ってください」


 おい。


「どうせ覚えてるだろうけど、ランチェルブス地方〔巨人の里〕出身。『巨人の巫女』ギンカ・オリバナ。ゾンビは死なないから幾らでも肉壁にして欲しい」


 おい。


「あっ、あの、〔今は亡き黒獅子族の村〕で生まれました。アヤメさんのメイドのリリアナです。出来れば、お手柔らかにお願いします」

「みんな丁寧にありがとうね。〔禁域の世界樹〕出身の撃滅魔導士。オネット・トルニエンだ。一応お偉いさんだから、崇め奉るように」


 ………………今、物凄く嫌な事を聞いた気がする。

 撃滅魔導士?

 アヤメと同じ?

 あの過剰破壊(オーバーキル)が生業みたいな奴が二人も?

 アカン、ワイ死んだわ。


「レンくんはどうせ前に出るしか能がないだろうしほうっておくとして……………アヤメちゃん、何処まで進んでる?」


 さらりと暴言を吐きつつ悪い顔でアヤメに尋ねるオネットさん。

 同じく悪い顔のアヤメ。


「……………【破砲】は完全に覚えて、【昇砲】が解読中ってところかな?そっちは?」

「【破砲】と【昇砲】、【裂砲】までは行けたけど、【爆砲】と【業砲】でどん詰まり」

「あ~……やっぱりそこら辺で詰むのか…………」

「要求される魔力の桁が違い過ぎてねぇ………【昇砲】の段階で一人で撃つのがほぼ無理になるし……」


 そいつは僥倖。

 あの超火力がバカスカ撃ち込まれるわけじゃないのはいい事だ。

 実にいい事だ。


「ねぇ、お兄ちゃん?」

「どうかしたのか?」


 急に尋ねてくるアヤメ。


「結局、今回は何があった?」


 そういえば話してなかったな。































 一連の事件の発覚はそもそも、エルフの里周辺での魔物のランクの上昇と数の増加だった。

 平常時なら滅多に見かけることのない、ある程度強力な魔物が出始め、さらに数も増える。

 最初は里の自警団で対応出来ていたのが、次第に厳しくなって死者も出た。

 流石にこれはおかしいと調査に乗り出したところ、『龍亀』と呼ばれる魔物の存在が発覚。

 ランクはS。

 つまり伝説やら神話に出てくるような存在。

 不幸中の幸いと言えるのはこの個体が未だ幼体であること。

 だが、ほかにも問題はある。

 龍亀に追い出される形で逃げてきた、本来ならば生息していないはずの魔物。

 止めとばかりに龍亀が散々荒らした後の()()()()にでも与ろうとした上位の魔物。

 そのせいで里の近辺ばかりか、里を中心としたかなりの範囲が危険地帯と化したらしい。

 エルフの里へ続く道を竜車に揺られながら、そのあたりの事情を掻い摘んで話す。


「………………つまりレンさんは、そんな危ない場所に私を連れて行こうとしているってことですか?」

「まぁ、そうなるな」

「今からでも帰っていいですよね?」

「すまんがもうそろそろ『そんな危ない場所』だぞ?今、この竜車から出たらどうなる事か………」

「ヒイィ!?」


 リリアナに軽く脅しをかける。

 実際、嘘はついていないから問題無し。

 もう既に、外でうるさく騒いでる奴等がいるし。

 空を見上げれば弧を描いて舞う無数の影。

 捕食者が獲物を見る目でこちらを睥睨するそれらは――────────


飛竜(ワイバーン)かよ」


 確か小型の竜種だったっけな。

 目測で5~6メートルある奴が小型ってのも空恐ろしいが、どっちにしろ殺せば解決する。


「ギンカ!運転頼んだ!!」

「わかった!」


 二つ返事で引き受けてくれるギンカ。

 ありがたい。

 御者席から身をひるがえして幌の上に飛び移る。

 手綱を握り締めたギンカが竜に鞭を打ち更に速く走らせる。


「アヤメ、あいつら狙えるか!」

「ゴメン無理!もっと引き寄せないと!!」

「僕も手伝うよ。………アレくらい墜とせないと遠距離攻撃職を名乗れない」


 やや険を帯びたオネットさんの返事。

 幌の隙間から突き出されたクロスボウが撃ち出した紫光を纏った征矢が、旋回していた飛竜の眼窩を穿ち、撃ち落とす。

 後頭部から脳漿と血液のカクテルをばら撒いて絶命する飛竜。

 仲間の惨状か、或いはただ単に餌が反撃してきたことに激昂したのか、怪鳥音を発しその口腔から火の玉を吐き出すワイバーン。


「ギンカ、避けろ!!」

「了、解っ!」


 地面に深々と跡を残して曲がる竜車。

 振り落とされないようにしがみつきつつ、モーニングスターを振り回し。直撃する軌道にある火炎球を打ち払う。道に着弾したソレが炸裂し、爆風に大きく煽られる竜車。

 散発的に矢が放たれるが相手の頭数が大きいため、焼け石に水状態といったところ。

 …………矢か。


「………………試してみるか」


 手に持ったモーニングスターに意識を集中して変異させる。

 骨が軋むような音を立てて形状を変えていく武具。

 緩く湾曲した特異な形態と、2メートルを超える長さ。

 湿り気を帯びた皮で裏打ちのされた弓身と、鯨の髯で張られた弦。

 大弓と呼ばれるそれを半身に構える。

 右腕の骨を掌を突き破って伸ばし、尖るように生成した歪な『矢』を番える。

 今まさに、火球を放とうとしていた一頭を見据えて腕を固め、身体強化を使い異常な抵抗に負けずに目一杯引き絞り─────────撃ちだす。

 ビィイィィンッと間延びした音を立てて飛翔した矢が、竜の胴体を貫き撃墜する。

 「へぇ?」という、僅かに感心したようなオネットさんの声。

 気にせず第二の矢を番えて放ち……………外した。

 思いっきり外れた。

 出来るだけ飛竜が密集した場所を狙って撃つ。

 翼膜を貫いた鏃が2,3体を巻き込んで穿つ。

 やってやったぜ。

 掌から生やした甲殻蛇を硬化させ鏃の様にして纏めて弦に掛けて撃つ。

 散弾状に飛んだ矢が飛竜の肉を裂き苦悶の声をあげさせ地に墜とした。

 分が悪いとでも判断したのか、急降下を仕掛けてくる飛竜の群れ。

 流石にこの物量は手に負えないが関係ない。


「≪始原の種火≫≪転じて劫火≫≪古き微風≫≪色付きて風穴≫≪併せ造りし≫≪斬り裂く陽光≫───【緋色の斬焔】!!」


 アヤメの放った赫灼の熱線が、襲い来る飛竜を薙ぎ払い爆殺した。







過去に投稿した話で誤字を見つけたので修正します。暫く投稿速度が死ぬかもしれません。















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