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『異世界狂騒録』~兄妹揃って異界に飛ばされたので好き勝手に生きる~  作者: 御星海星
不死と戦友と死と

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不死者と侍と決着と

な?!馬鹿なッ!!貴様は昨日夜10時半に書き上げ投稿したはずの58話!何故お前がここにいるッ!!

「で、ここが戦線という訳か」


 眼の前に広がる荒野を見下ろす。

 敵影を確認。

 肉眼で見る限り、鎧の騎士(勇者)魔導士(ローブの女)女侍(サムライガール)修道女(シスター)

 前衛二人に後衛に回復とバランスの取れたパーティー、羨ましいな。

 もっとも俺の場合は回復されるとダメージを喰らうらしいが。


「見つけたぞ」

「相変わらず、馬鹿げた視力」

「頭おかしいんじゃない?」


 錫杖で俺の頭を小突き、揺さぶるアヤメ。

 ヤメロ、バカになったらどうする。


「頭じゃないだろ………というか」

「どうかした?」


 首を傾げこちらを不思議そうに見上げるギンカ。


「いや……………その恰好どうした?」


 灰色の金属で作られた、急所のみを覆う露出度高めの軽鎧に、装飾の様につけられた金属板。

 そして熊革のマントと兜。


「似合ってるでしょ?」

「……………蛮族の戦士(バーバリアン)かよ」

偉大な(グレイテスト)をつけろ、偉大な(グレイテスト)を」

「わかったよ」


 膨れっ面で睨んでくるギンカ。

 つい先日、怒りに任せてかなり酷いことをした分、微妙に気まずい。


「あ~………取り敢えず作戦を確認するぞ。俺がヒーラーを片付けてその後は各個撃破。何か質問はあるか?」

「勇者は私が殺す。それでいいよね?」


 ある種の怒気すらまき散らしながら告げるギンカ。

 言うと思った。

 当然のことではあるが…………………


「死ぬなよ?」

「ほざけ、腐れゾンビ」



 軽口を叩き、敵地に向かった。




























「『隠したまえ隠したまえ』『汝が似姿の御業の如く』『我は只静かなる潜航を望む』──────【潜行】」


 自身の気配を消し、勇者パーティーの後ろから近づく。

 暢気に話す勇者たち。


「これで街に侵攻して成功したら一回帰投できるんだろ?」

「そうなるのかしら?」

「確かにそうだが、油断は禁物だろう。どこに伏兵が潜んでいるか分かったものじゃない」

「それもそうですけど……………まぁ死にさえしなければ私が治して差し上げられるので大丈夫だと思いますよ?」


 気の抜けた会話をする勇者一行。

 その後ろから歩み寄り太刀を構え─────────────神官の下顎から刃を突き通す。

 切先を引き抜いて延髄を刺し貫き、刀を捻じって首の骨をへし折り、確実に抹殺する。

 ヒーラーを速攻で潰すのは常識。

 体を痙攣させて崩れ落ちる修道女を傍目に、魔導士を片付けしようとして。


「チイィッ!【背信者】ァア!!」


 勇者の発した言葉と同時に、体が重くなり感覚が鈍る。

 世界と切り離されたような錯覚すら覚えるような悪寒。

 …………恐らく、奇跡の使用を制限する魔術か、権能の類だろう。

 だが無意味だ。

 逃げる魔導士を追いかけようとする俺の進路上に割り込んでくる侍。

 気にせず斬り伏せようとするが、難なく阻まれる。

 その背後で、複雑に捻じれた樫の木の杖を構える魔導士。

 まさか。


「≪全能たる御名に於いて命ずる≫≪その雷鳴をもって≫≪わが敵を討て≫──────【雷槍(ライトニングランス)】!!」

「─────────雷斬り」


 放たれた雷撃を刀で弾きながら回避し、ちゃっかり俺に命中させる前衛の鑑。

 そして遅れてくるアヤメ。

 遠くから響く轟音。

 恐らくは勇者と交戦中のギンカ。

 無事だといいが………………気持ちを切り替え戦闘態勢に。


「アヤメ!そっちの相手は任せた!!」

「任された!」


 意気揚々と錫杖を手に携えるアヤメ。

 こっちは問題ないか。

 今の所、負ける出目がありそうなのは俺とギンカのみ。

 さっさと終わらせて、余裕があれば加勢すべきだろう。

 喰剣と身体強化を重ね掛けし突撃する。

 下段から擦りあげるように振るった一撃を躱され、反撃とばかりに頭を斬られる。

 間違いなく相手の方が格上。

 本来、俺の様な無限再生する相手に刀は不利だが、関係ないようだ。

 刀を突き込み、すれ違いざま、袈裟懸けに斬られる。


「【牡丹】」

「桜花閃舞」


 爆発する斬撃はあっさりと防がれ、連撃をもらう。

 痛覚はないが、このまま一方的に削られる展開はマズい。

 再生時にも消耗するし、身体強化に合わせて喰剣の同時発動でゴリッゴリ減る。

 何とか切り抜けたいが、どうしたしたものか。


「【芍薬】からの【螺鈿蓮彫り】!!」


 腹を割かれながらも顔面を突き刺しに行き、そのまま薙ぎ払い爆破する。

 爆炎から飛び出してきた相手の首を刈りに行こうとして、逆に首を裂かれる。


「……………人間離れした動きに異常なまでの再生。不死者か、汚らわしい」


 ばれたっぽい。

 どっちにしろ問題ないが。

 そして心底軽蔑したような目で見てくるのは止めて欲しい。

 地味に傷つくんだよ。

 ボディはゾンビでも心は人間なんだよ。


「【乱れ牡丹】」

「閃牙」


 連続で斬りに行くも腕と腹を同時に突き刺され縫い留められる。

 じわじわと力を削られ、詰みが着実に這い寄ってくる感覚。

 これは、本気でヤバい。

 地龍戦だって、ここまでゆっくりと追いつめられるようなことはなかった。

 腕を斬り落とされ、足を切断され、肉を抉られ、全身を鱠に切り刻まれる。

 嬲り殺しにされる中、脳裏を過ぎるこれまでの光景。

 それはまさしく走馬燈(ファンタズマゴリア)

 振り下ろされた太刀を防ぎ、真逆の方向から切り裂かれる。

 文字通り、神速の2連撃。

 胴体を割断されながら刀を振るい、腕を斬られた。

 瞬間を狙って全力の回し蹴りを放ち、飛び退って躱す相手。

 思いっ切り踏みこんで。


「【乱れ牡丹・駆け牙】!!」

「松風」


 突進しざまの連撃を繰り出し、盛大に腹を裂かれた。

 腰椎をやられて倒れ込む俺と、かすり傷の1つもついていない侍。

 マズいな。

 格が違い過ぎる。



「潔く往生しろ、不死者が」


 冷めた目でこちらを睨めつける侍。

 俺の何かが気に喰わなかったんだろうが、流石に扱いが酷すぎる。

 大体、不死者で何が悪いってんだ。

 俺だって、なりたくて不死になったわけじゃな。


「俺はアンデットだったなぁ」

「貴様、何を言ってっ?!」


 ()()()()()()()()()()()()()()が相手の刀を掴み、一気にへし折る。

 振り払おうとした侍のあばらを掠めるように噛み付く大百足。

 外したか。

 百足に変化させていた左腕を戻し、十字槍を構える。

 焦ったように脇差を抜く侍。

 腕の方が射程は短いが操作しやすく、百足は遠くまで届くが操作性が壊滅していると。


「……………何をした?」

「…………さぁな」


 発想の転換。

 わざわざ相手の土俵(人間の武術)で戦う必要性なんか、何処にも無い事に気付いただけの話だ。

 もっと早く、バイオな生物兵器を見習うべきだった。


「答えろ!!」

「悪いが、答える気はない!」


 腕を変化させ肉塊にし、前面に押し出して突撃。

 必殺の圧撃が奴を捉え、その体を宙に打ち上げる。

 インパクト直前、俺を切ってきた技量は凄まじいが、そんなちっぽけな刃で、肥大化した肉が斬れるはずもなく。

 拡張した腕を振りかざし、地べたへ叩き伏せた。

 このまま一気に叩き潰して。


「────────【断線】」


 斬られた。

 肉壁が肩口からずれ落ちる。

 腕を生やしながら飛び退る俺の視界に、赤い光が映りバラバラに刻まれる。

 相手の構えた脇差しが、緋色の輝きを帯びていた。


「正直…………コレを使う気は無かったが………背に腹は代えられないか」


 赤が走り、全身を撫で斬りにされた。

 赤が閃き、総身を微塵に裂かれる。

 特攻を仕掛けるも軽々といなされ、赤の束に腕を血霧にされる。

 勝ち目が見えない。

 

「だから!どうしたってんだ!!」


 距離を取り、血路を見出すべく勝負に出る。

 残った活力のほぼ全てを注ぎ込み、両足を四足獣のソレのように捻じ曲げ、槍を変化させた。

 思い描くは、鋭く研ぎ澄まされた一振りの突撃槍。

 右腕を引き延ばし膨張させ、硬化したうえで突撃槍を包み、自身の体自体を一本の巨大な杭のようにして構え、更に氷で足と右手を覆う。

 不恰好だが問題ない。

 大事なのは火力と強度だ。

 油断なくこちらを睨めつけながら、下段に脇差を構える相手の姿。

 目を見開き、足を撓ませ、この一手で決着をつけるべく走り出す。


「ガッ、アアァァアァァァァァァッッ!!!」


 狂妄な獣の様に叫び跳躍、一つの巨杭と化した白銀の光を纏う肉の塊を、振りかぶり打ち下ろそうとして。


「馬鹿が────────【断線:乱撃】」


 視界を赤が埋め尽くし一拍の静止の後、血霧と化す俺の上半身。

 空中でぐらりと傾いた俺の半身が、地に落ちて。

























「………………馬鹿はお前だ」
















 強化した脚力のみで相手を蹴り飛ばし、体勢を崩した。

 勝機は一瞬。

 余裕は一厘。

 残りカス以下の余力を振り絞って、上半身を生やす。

 時間も余力も全くないので、両腕と幾つかの内臓器は省略。

 みちり、と嫌な音を立てて、頬が裂けるまで口を開く。

 淡く血管の這う白い首に牙を突き立てて──────────────喰い千切る。

 冗談のように溢れる血と、それに濡れた甘い肉片と骨を咀嚼し、味わいもせずに飲み込む。

 活力が満ち、乾ききっていた体が修復される、確かな生の感覚。

 ふと下を見れば血だまりの中に仰向けで倒れ伏して、パクパクと酸欠の金魚のように無様に口を動かしながら、怯えと恐怖を湛えた目でこちらを見上げる獲物。

 何かを言おうとしているように見えるが………………………………あぁ、そういう事か。


「悪い、とどめを刺すのが遅れた」

「ッ………………ぁ………………」


 声ですらないただの音色を、穴の開いた喉から漏らす侍の頭を踏み潰して、終わらせた。









遅れましたすいません何でもする気はないけど出来れば許して。








気に入って頂けたのなら、高評価、ブクマ登録など宜しくお願いします。モチベーションに直結するので。

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