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『異世界狂騒録』~兄妹揃って異界に飛ばされたので好き勝手に生きる~  作者: 御星海星
仲間と魔王と栄転と

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茸と獅子とコラテラルと

しまった…‥‥‥…ッ!寝過ごしたッッ!!!

「焼きキノコ旨ぇ。塩が欲しいな」

「お兄ちゃん、なんで私は山菜食べてるの?」

「苦いし美味しくない。この扱いは納得できない」

「徹夜で見張りした挙句、味方に殺されかけるよりマシだろ」

「巻き込まれた非戦闘員の前で、それを言いますか?」

「………スマン」


 他愛のない会話を続けながら飯を食う。

 特大サイズの舞茸を噛み千切り腹に詰めるが、喰った気がしない。

 ごちそうさま腹減ったとはまさにこのこと。

 空腹感が本当にひどい。

 これ普通にマズい状況なのでは?


「お兄ちゃん、いつもより顔色悪いけど大丈夫?」

「いや割とマジでヤバ」

「お休みお兄ちゃん」

「あとは任せた」

「寝ずの番頑張ってくださいね?」


 テントに消えていく皆。

 昨晩の繰り返し。

 訪れる反復記号。

 絶望の再来。

 終わらない夜が再び幕を開ける。























「徹夜明けお疲れ様、お兄ちゃん!!」

「…………………悪いが今日は休ませ」

「なに言ってるの?これから戦いに行くけど?」

「早く食料調達に行きますよ?」


 畳みかけるように言う二人。


「なるほど、ここが地獄か」


 諦観と失望の中、森の奥に向かった。




























 眩む視界と碌に動かない体を無理矢理動かし甲虫を両断する。

 突っ込んできた鹿に轢かれて吹き飛ぶ俺。

 全く力が入らない。

 そして遅々として進まない再生。

 なりふり構わず近くにいた狼の脇腹に噛み付き食い破る。

 僅かながら回復する活力。

 ここぞとばかりに鹿の頭部を握り潰し血を啜る。

 思考が一気にクリアになり意識が覚醒する。

 気合一閃、大太刀を振り抜き周りにいた魔物を斬殺、漸く本調子に戻った気がする。

 やっぱり血を飲まないと駄目だな、うん。

 後からドン引きしたような雰囲気が流れてきているように感じるのは、きっと気のせいだろう。


「お兄ちゃん………………流石にそれは庇えないよ?」

「単純にキモイ。潔く死ねばいいのに」

「レンさん、一度頭のお医者さんに診てもらったらどうですか?」


 流石に少し傷つく。

 刀を槍に変え、上から降ってきた蜥蜴の頭を刺し貫き放り捨てる。

 こちら目掛けて跳躍してきた蜘蛛の顔面に振り回した横刃を突き刺し、地面に縫い付けた。

 異常なサイズのゲジゲジの突撃を槍身で受け流し、穂先をどてっぱらにめり込ませる。

 そのまま全力でかちあげ石突で頭を砕く。

 痙攣する死体を余所に滑空してきたカエルの額に刃を埋め掻き混ぜて抹殺。

 槍を引き抜き返す勢いのままに、こっそり接近してきていた虎の脊椎に穂先を撃ち込み捻じり圧し折る。

 後ろで膨れ上がるプレッシャー。

 危機感に従って後ろに退避。

 直後辺り一帯を巻き込んで炸裂する爆炎。

 タイミングを見計らって身体強化発動。

 全力で突撃し、その勢いを十分に乗せた一撃をカマドウマの顔面に叩き込む。

 グロテスクな昆虫標本から目を背け、渾身の力を込めて周囲の魔物を薙ぎ払い吹き飛ばす。

 腕が悲鳴を上げるが、どうせ治るし問題なし。


「【叩き潰せ】そして【捻り殺せ】!!」


 殺意高めのギンカの攻撃を頑張って回避し、ビックサイズのチンパンジーの腕を切断。

 広範囲にばら撒かれた火炎弾に穴だらけにされるチンパン君と俺。

 味方の攻撃によるダメージが敵の攻撃によるダメージよりデカい現状は、きっとどうにもならないのだろう。


「俺に攻撃を当てるのはやめてくれないか?」

「ゴメン無理」

「気を付けてお兄ちゃん!!」

「頑張ってくださいね」


 酷いなコイツら。

 馬火力コンビ(ちびっこ二人)回収一人(非戦闘員)

 前衛(ゾンビ侍)一人のアンバランス構成に、誰一人味方の心配をしない絶望的なメンバー。

 早く戻って来てくれアヴィンさん。


「おッ、ラアァアアァァァ!!!」


 雄たけびをあげて猪を持ち上げ叩き伏せる。

 ゴキャリといい音がして動かなくなる猪。

 晩飯確保。

 そしてそれを引き摺って回収するリリアナ。

 いつの間かだいぶ図太くなってるんだよなぁ。

 原因俺らだけど。


「アヤメさん、回収終わりました!大きいのお願いします!!」

「任せてリリアナちゃん!≪始原の種火≫≪転じて劫火≫≪古き微風≫≪色付きて風穴≫≪併せ造りし≫≪煌炎の檻≫──────」


 アヤメの詠唱が終わる前に撤退しようとする俺。

 後ろに跳躍して逃げるタイミングで違和感。

 下を見下ろせば俺の足をしっかりと握りしめたお猿さん。

 後ろで練り上げられる灼熱。


「──────【緋色の慟哭】!!!」


 解き放たれた紅く燃え盛る焔の塊が、俺を掠めながら飛び着弾し炸裂。

 滞空中の俺を巻き込んで爆発した。

 一瞬で消し飛ぶ魔物たちと、消し炭にされる俺。

 そして延焼する森。

 圧倒的人災。


「大丈夫お兄ちゃん?」

「上半身だけの人間にそれを言うのか?」

「お兄ちゃん人間じゃないから問題ないでしょ?」


 こちらを覗き込みながら言うアヤメ。

 こいつなんでこんな風に育ったんだろうな。

 俺のせいだとは思いたくないが……………………


「あれくらい避けろよ、腐れゾンビ」

「腐ってもないしゾンビでもないんだが?」


 煙を上げる肉体を再生し、立ち上がる。

 焼野原みたいになった森と、足元に散らばる黒焦げになった何かの残骸。

 そして遠くから押し寄せてくる魔物の群れ。

 さっきの爆発に惹かれたんだろうな、きっと。

 それぞれ武器を構え臨戦態勢に。


「早く前に出てお兄ちゃん」

「さっさと肉壁になって、役目でしょ?」

「あの、レンさん。援護頼みますね?」

「………………最近俺の扱い雑過ぎやしないか?」

「大丈夫でしょ」

「いい加減行けよ」


 乱暴に背中を押され仕方なく歩み出す。

 太刀を槍に変え、先陣を切ってきた百足の頭を粉砕し、薙ぎ払い、駆ける。

 俺の頭上を越えて飛んでいく無数の火炎弾に透明な武具。

 直撃した奴らは無視して突っ込み、叩き伏せ刺し殺し斬り裂き抉り突く。

 いつも通りの戦闘が始まった。






中途半端だな、と。そう思っただろう?だがこれには深いわけがあってだな(などと容疑者は申しており………………)











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