クマと雪山と過労と
昨日投稿できずすいませんでした。(決してリトルナイ〇メアとゴーストオブツ〇シマとダーク〇ウルの実況が面白くて見過ぎたわけではない。決してだ)
「やあ皆!元気かな!!ちょっと頼みたいことがあるんだけどいいかな」
訓練を終えて控室に帰ると、魔王様が円卓に座ってお茶を飲んでいた。
アグレッシブすぎるだろ、この魔王。
「またモンスターの連鎖暴走でも起こったんですか?」
げんなりとした顔のアヴィンさん。
列車の事はよくわからないが、多分俺も同じような表情になっているんだろう。
「クマ退治かな?」
…………はぁ?
「お前らクマさんじゃねえぇ!!!!」
「完全に同意、こいつらはクマじゃない」
「おい待てこいつら一応クマだぞ」
「可愛くないからクマじゃない!」
雪山の斜面にて遁走する俺達。
その後ろを馬鹿みたいな速さで追いかけてくる異形の怪物たち。
巨大な蜘蛛のような胴体に熊の頭部。
前衛芸術家とマッドサイエンティストの合作を思わせる、異形の生命。
鋭く尖った脚が雪煙を上げる。カサカサキイキイという悍ましい音から必死になって逃げる。
そして割とヤバい状況にもかかわらず余裕のある会話。
「おい、コレどうするよ!!」
「レンが生贄になればいい」
「それだ!」
こいつら、人の気も知らずに好き勝手言いやがって。
「お兄ちゃん、ちょっと囮になってくれる?」
妹に裏切られた。
周りに味方はおらず、まさしく孤軍奮闘。
気分はまるで悲劇のヒーロー。
追走するクマサンズ。
カオスすぎんだろクソッタレ。
「避けてお兄ちゃん!≪始原の種火≫≪転じて劫火≫≪創世の土塊≫≪移ろいて黒曜≫≪併せ造りし≫≪噴炎の顎≫──────【炎泥の罠】」
「おい待」
俺が言い終わる前に地面が隆起し、爆裂した。
盾の上に乗って爆風の勢いで飛ぶアヴィンさんに、その上に跨ったアヤメとギンカ。
そして直撃をもらい首だけになって宙を舞う俺。結局始まる全裸待機タイム。
空中で体を修復して走り出す。
雪原を疾走する全裸ゾンビ。
「潔く死んだら?」
「ふざけるッな?!」
悪態をつく俺の右腕にべったりと絡みついた、白い束状の糸の塊。
後ろを振り返れば、尻から糸を伸ばした蜘蛛。
「がぁああぁああ!!!」
口を限界まで大きく開き、右腕を食い千切る。
風を切って宙を舞い、後ろに消えていく俺の腕。
危うく本体ごと持っていかれるところだった。
「飛んでお兄ちゃん!」
「ほあ?!」
全力でジャンプする皆。
足を雪にとられる俺。
揺れる視界に映ったのは急な坂道。
…………これアカン奴や。
「うおあっいってぇつおああぁぁアアァァがッギグぇあああああ!!!」
雪の積もった坂道を超乱回転しながら駆け降りる。
否、転がり落ちる。
時々段差に突っかかりバウンドしながら滑り落ちる。
砕ける骨、軋む肉。
顔面から滑り込み雪原に倒れ伏す。
修復される肉体。
手をついて起き上がり……………
「いってぇええぇあぁ!?」
「あっすまん!」
後ろから何かに轢かれた。
正面を見れば颯爽と滑っていくアヴィンさん。
「ああくそったれがあぁ!?」
ゴキャリと嫌な音。
背中と後頭部に響く衝撃。
上を見れば、俺の背中に着地したアヤメとギンカの二人組。
「…………………てへぺろ?」
「ゴメンおにいちゃん」
ふざけやがって。
そして降りてきたクマたち。
やっぱりこうなりますか。
背中に二人を担いだまま走り出す。
「ねぇ、荷物扱いしないでくれる?」
「離せ変態ゾンビ」
「後ろを見てからそれを言え!」
後ろから迫りくる蜘蛛の集団。
息をのむ二人。
ホントどうしようかなこの状況。
そして前方を滑るアヴィンさん。
さながら歴戦のスノーボード選手のようだ。
「こっちに、来るな!【手刀】、【叩き殺せ】!!」
不可視の斬撃と上からの衝撃を喰らって死ぬクマたち。
何か色々とグロイが、気にするべきではないのだろう。
雪を蹴散らし走り続ける。
唐突に俺を襲う悪寒。
いやな予感が止まらない。
「…………ねぇ、お兄ちゃん」
「どうしたアヤメ!」
「………最初からこうすればよかったじゃない♪」
加速する嫌な予感。
「≪始原の種火≫≪転じて劫火≫≪古き微風≫≪色付きて風穴≫≪併せ造りし≫≪斬り裂く陽光≫───【緋色の斬焔】!!」
「待てアヤメ止め」
アヤメにストップをかけようとした俺の言葉は、まるで意味をなさなかった。
放たれた紅い閃光がクマサンズに突き刺さり、雪山を貫通し薙ぎ払い、一拍の後に炸裂する。
消し飛んだクマの群れに、ドヤ顔のアヤメ。
訪れる生命の危機。
死が急速に迫ってくるが生は実感できそうもない。
「ふふっ、可愛くないクマさんに存在価値なんてないんだよ?」
「おい馬鹿!!」
「馬鹿って言った方がバカなんだよ?お兄ちゃん?」
「そうじゃねぇ!後ろを見ろぉ!!」
「ほぇ?」
雪山であれだけの規模の砲撃をかまして、この馬鹿が。
「逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ!!!」
後ろから迫り来る真白の津波。
押し寄せる死の足音。
日本の雪山でも時折り、多数の犠牲者を出すそれの名前は──────
「雪崩だ!!」
襲い来る雪崩に背を向け、全力で走り出す。
後ろから響く轟音に、木々のへし折れる音。
圧倒的危機。
「何とかしてアヴィン!!」
「流石に無理だ!!盾じゃ災害には対抗できない!」
「意外としょぼいんですね」
「やめろ俺も気にしてるんだよ!」
「何とかしてお兄ちゃん!」
「ふざけるな!?人間が一人で雪崩を止められるかよ!!」
「取り敢えず横に走るぞ!」
アヴィンさんに言われ、走る向きを横に変える。
アヤメを抱え全力で跳躍。
滑り込む俺達の後ろを通り過ぎていく、白の軍勢。
「助かった………のか?」
「恐らくは………というかアヴィンさんの装甲って意外に薄いんですね?」
胸をなでおろすアヴィンさん。
仕方ないのかもしれないが正直想定外だったな。
「俺の場合は【盾】だからな…………………攻撃ならまだしも災害は防げないんだよなぁ。………読んでて良かった、月間山登り」
なにそれ。
「…………私は【手】で行えることなら大体できる。つまり私は万能。よって私が一番強い」
ドヤ顔で嘯くギンカ。
その理屈はおかしい。
「お前何回か俺に負けてるよな?」
「…………………記憶にゴザイマセン」
顔を背けるギンカ。
「ごちゃごちゃ言ってないで早く帰ろ?いい加減寒くなってきた……………」
寒さゆえか、目がとろんとしてきたアヤメ。
確かに俺も小腹が空いてきた。
うとうとしだしたアヤメを背負って下山した。
あったかい鍋が喰いたい。
あと輸血パックが恋しい。
「帰ってくるなりで悪いけどちょっと勇者殺してきてくれるかな?」
「「「「はぁ?」」」」
☆絶対☆投稿☆ヌルヌル☆
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