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『異世界狂騒録』~兄妹揃って異界に飛ばされたので好き勝手に生きる~  作者: 御星海星
仲間と魔王と栄転と

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瓦斯と防具と絶望と

この字は読めるよな?

 青い空が見えた。

 なんだ、まだ空中にいるのか。


「お兄ちゃん、ちゃんと生きてる?」


 アヤメの顔が見えた。

 なんだ、地上にいたのか。


「………………生きてるよ、そして何があった」


 困ったように笑うアヤメ。

 起き上がろうとして………地面に倒れ込んだ。

 回る世界に揺れる意識。


「いや~、ゴメンね?グリフォン倒そうとしてたらお兄ちゃんに命中したみたい。グリフォンには逃げられちゃっただろうし」


 笑いながら『反省反省』などと嘯くアヤメ。



「………グリフォンならしっかり死んでたぞ」


 グリフォンハンバーグと一緒に空挺落下したから間違いない。


「えっホント?」

「ああ、しっかり汚い花火になってた」

「なら命中してたんだね。やっぱり最後のアレが良かったのかな?」

「…………いや、その前に死んでたから。俺を粉砕しただけだから」

「なるほど!つまり私の火力ならお兄ちゃんを気体に出来ると!」


 何故か嬉しそうなアヤメ。

 そして不穏すぎる単語(ワード)


「………なぁ、気体ってどういうことだ?」

「お兄ちゃん、文字通り気化してたよ?なんか黒い靄から再生してたから間違いないと思うけど」


 そうですか。


「というかそもそも何で撃った?お前の『作戦』からすれば必要ないだろ」


 アヤメの立てた作戦は俺が空中でグリフォンを討伐するというもの。

 アヤメの出番はないはずだが……


「お兄ちゃんを掴んだグリフォンの移動速度が思ったより早くてね?そのまま逃げられそうだったから私が撃墜しようと思って………………」


 こうなったと。


「アヤメ、2度と勝手な行動はするな。俺じゃなかったら間違いなく死んでるからな?」

「お兄ちゃんじゃなかったらそもそもこんなことしないけどね」


 あっけらかんと告げるアヤメ。

 そして、大きな問題に気付いた。


「………………アヤメ、一つ相談なんだが」

「ご飯ぐらい作るけど?」


 そうじゃない。


「………………服、どうすればいいと思う?」

「あっ」






























「大戦犯、変態全裸ゾンビを背負って帰ってくる苦痛の味はどうだった?」

「爆破で吹き飛ばしながら進んだからどうってことなかったけど?」

「ギンカ、お前サラッと毒吐くよな」

「頼むから仲良くしてくれ。俺の胃袋のために」


 顔を合わせるなり毒を吐くギンカとその意味を理解できていないアヤメ。

 胃のあたりをさすりながらため息をぶち撒けるアヴィンさん。


「分かった、アヴィンが言うならそうする。………アヤメ、仲よくしよ?」

「ありがと、ギンカちゃん!」


 差し出されたギンカの手を握り締めるアヤメ。

 若干表情筋がピクピクするギンカ。

 こいつら面白いな。


「レン、アヤメ。この後工房に行け」

「なんですかアヴィンさん?」

「そうか、………………漸く出来たのか」

「どうしたの、お兄ちゃん?」


 頭の上に疑問符を浮かべるアヤメと、天を仰ぎ感涙をこぼす俺。


「防具ができたんだよ」



























「お久し振りです、ジャオスさん、タオングさん。防具どこですか?」

「お、おう。いきなりだな小僧」

「よ、よお。さっそくだな坊主」


 工房にて二人を問い詰める。

 頭に衝撃、視界が途切れ回復する。


「もう、お兄ちゃん、こういうのはレディーファーストでしょ?」


 錫杖の先から細く煙をたなびかせたアヤメ。

 お前が犯人か。


「という訳で装備ください」


 装備をねだるアヤメ。

 ガクブルするドワーフコンビ。

 何だこの状況。

 奥の方から、金属板で補強された朱金色のローブのようなものが運ばれてくる。

 アレがアヤメの装備か。


日比色金(ヒヒイロカネ)ベースに|妖精銀(ミスリル)を加え神造金オリハルコン霊鉄鋼(アダマンタイト)を添加、地龍の血液を加えてマグネシアの銀(マグネシウム)燃える水(ガソリン)を触媒に使用した精霊の炎で溶融、プレートにしたものを極炎鳥の冠羽で作ったドレスに火龍の髭の糸で縫い付けた。火炎系統の威力上昇と耐性付与の効果がある。無難だが安定はするはずだ」

「お、おお~~」


 妙にキラキラした目でドレスアーマーを見つめるアヤメ。


「それで、俺の装備は何処に?」


 途端に目をそらす二人。おいまさか。



「………………お前にはこれを渡す」 


 そう言って渡されたのは一冊の分厚い本。 


「…‥‥‥‥‥‥‥なるほど、これに魔力を込めると、いい感じの鎧になるんですね?」

「いや、違う。すまんがお前の要望通りの防具は作れなくてな。代わりに歴代のヴァンパイアの編み出した戦闘技法を纏めておいた。参考にしてくれ」


 知ってた。ああ知ってたよ!アヤメの装備だけ来た瞬間から薄々こんな気がしてたさ!


「日頃の行いが悪いからこうなるんだよ、お兄ちゃん?」

「うるっせえええぇぇぇ!?お前はいいよなぁ!専用の防具もらえてよおぉ!?」

「人徳、かな?」

「ふざけてんじゃねぇぞあっつぁぁあああああぁぁぁ?!」


 アヤメに掴みかかった俺の両手が、ジュンッとフライパンに落ちた水滴のような音を立てて焼け焦げた。

 転がり悶絶する俺。

 呆然とするアヤメ。

「……………妖精銀(ミスリル)も、精霊の力も、ヴァンパイアからすればただの劇毒だ。あまり触れない方がいいぞ」


 両腕が炭化した俺とハイテンションモードなアヤメ。

 二人そろって自室に帰った。

 厄日だチクショウめが。




ガスでゲス。

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