武具と魔法少女と身長と
仲良きことは美しきこと。「……………何書いとんなアンタ」
おはようございます。
とても気持ちの悪い目覚めです。
頭痛い気持ち悪い頭痛が痛くてペインしてる。
デスメタとヘビメタと道路工事が、トリオを組みやがった。
「お兄ちゃん起きた?」
ひょい、と俺の顔を覗き込むアヤメ。
気のせいでなければ、コイツ、昨日俺より多く飲んでいたはずなんだが………
「なぁ、アヤメ」
「どうかした、お兄ちゃん?」
「二日酔いとかないのか」
「あれって都市伝説でしょ?」
ふざけるな。
「起きたか」
「アヴィンさん、おはようございます」
ベッドの中で首だけを動かしアヴィンさんの方を向く。
「すいません、二日酔いが激しくて」
「吸血鬼は脈がほとんどない。酔っぱらいにくいが一度酔うと血中のアルコールがなかなか分解されずに長引く。回復魔法もポーションも吸血鬼からすれば致命傷。つまり諦めろ」
無情な。
「早く工房に行くぞ。装備の作成には時間がかかるんだ」
無情な。
魔王城軍属工房。
重厚な扉の奥からでも伝わってくる金属音と熱気に、少し怯みながらも扉を開ける。
「来たかアヴィン!そいつらが例のガキどもか!?」
「来たなアヴィン!そいつらの武器を作ればいいのか!?」
声は聞こえるが姿が見えない。
「こっちだボウズ!」
「ここだボウズ!」
下を見る。
小さいおっさんが二人いた。
身長は100センチあるか無いかといったところ。
「工房における金属の精錬工程を管轄しているジャオスだ」
「工房の中で金属の鍛錬加工等を仕切っているタオングだ」
挨拶してくる変なおじさん。
偉い人なのか。
「よおアヴィン。相変わらずデカいな。元気だったか?」
「おうアヴィン。ドワーフの国でお前が一番デカかったからな」
なるほど、この二人もドワーフなのか。
………………アヴィンさんを見る。
デカい。
二人を見る。
小さい。
…………………はぁ!?
「えっ、同じ種族、えぇ!?」
「俺は突然変異なんだよ。子供の時から並のドワーフの倍はあった。さらにドワーフの身体能力もきちんと受け継いでいるからな。当然のように魔王軍に入って、気付いたら魔王軍直属強襲部隊にいたってわけだ」
なるほどね。
「早くしろ、武器が欲しいんだろ?」
「急ぎやがれ武具が入用なんだろ?」
「あっはい」
急かされるままに二人に欲しい防具の要望を伝えたのだが…………
「それは難しいな。ヴァンパイアの防具を作るのは初めてだしな」
「これは難しいぞ。無限に再生する防具は作ったことがないしな」
そうなんですか。
「まぁ、何とかしてやるさ」
「あぁ、五日で仕上げるさ」
マジですかい。
流石ドワーフとでもいえばいいのか。
「…………………皆、楽しそう」
後ろから聞こえてくる、凍え切った様な声。
能面のような、表情の抜け落ちた顔のギンカ。
心なしか場に立ち込めていた熱気が弱まった気がする。
「今朝起きたら私一人で魔王城中歩きまわって、たらい回しにされて、漸く辿り着いたら皆で談笑してるし………………コミュ障を煽ってるの?」
「おはよう、ギンカちゃん!今日も可愛いね!食べていい?」
「なっ待てヤメひぃん!?」
挨拶から抱き締めて押し倒すまでの工程が見えなかった。
恐ろしく早いタックル。
俺でも見逃しちゃうね。
「離っ、せ!!………ハァ……ハァ…………」
必死になってアヤメを振りほどき、肩で息をするギンカ。
「よぅギンカ嬢。久しぶりだな!」
「おぅギンカ嬢。久方振りだな!」
知り合いだったのか。
…………まぁ当たり前か。
ギンカも割と前から強襲部隊にいるみたいだし。
「ん…………お久し振り。アヴィンのお世話をしてる」
「それは逆だぶへばぁッ!?」
突っ込もうとした俺の鳩尾に突き刺さる正拳突き。
空中を舞い、地に落ちる寸前で腹に放たれたヤクザキック。
2,3回バウンドし壁に叩きつけられる。
飛び散る鮮血。
修復される肉体。
「そうだ!ギンカちゃんの防具はあるの?ないなら作ってもらいなよ~」
はにかみながら「どうせならお揃いにしたいし」というアヤメ。
俺の心配ぐらいしてくれよ、妹だろ。
「私はもう持ってる。好きなものを作ってもらうと良い」
淡々と告げるギンカ。
俺の心配ぐらいしろよ、下手人だろ。
「そうなの?…………じゃあ魔法少女系で!」
困惑するドワーフコンビに魔法少女が何なのか説明するアヤメ。
ますます混乱する二人。
「お、おう。取り敢えずやれるだけやってみるさ」
「あ、あぁ。何とか出来る限り手を尽くしてみる」
「やったあ!!」
飛び跳ねながら喜ぶアヤメ。
よほどうれしいのだろう。
気まずそうにする二人。
よほど難しいのだろう。
「そ、そうだアヴィン!お前まだ嫁さんは貰わないのか!」
「そ、そうだぜアヴィン!お前もいい年なんだからよぉ!」
あたふたとアヴィンさんに話を振る二人組。
『えっ?』とでも言いそうな顔でこっちを見るアヴィンさん。
「大丈夫、アヴィン。私がいるから」
そんなことを言いながらギンカがアヴィンさんの首にしがみつ……………こうとして身長が足りずに腰に抱き着いてた。
「………プッ」
「殺す!!」
激昂するギンカ。
煽る俺。
「…………ギンカ。早く離れてくれないか?」
「私じゃ……………ダメ?」
ウルウルした目でアヴィンさんを見上げるギンカ。
困ったような顔をするアヴィンさん。
なんとなく理解できる。
ハムスター系の小動物と接する感覚なんだろうな、きっと。
そして何故か満足そうに頷くアヤメ。
というか…………………
「身長差えぐいな」
「……………レン、お前は殺す。絶対に。考えつく限り最も苦痛を伴う方法で殺す」
熱烈な殺害宣言を受けた。
うれしくねぇ。
「そもそも結婚する気がないんだがなぁ……」
ぼやくアヴィンさん。
五日後に訪れる約束だけして工房を出た。
何文字ぐらいが読みやすいか誰かコメください。




