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『異世界狂騒録』~兄妹揃って異界に飛ばされたので好き勝手に生きる~  作者: 御星海星
仲間と魔王と栄転と

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訓練と広島焼きと酒と

遅くなってすまない!(; ・`д・´)

 訓練場に響く激突音。

 縦横無尽に純白の十字大槍を振るう俺と、壁盾を持ってそれを防ぐアヴィンさん。

 今日の訓練目的は鉈の形状変化を使いこなすことなのだが………………


「………………なんで、これが防げるんですか」


 大盾の死角から回り込んで放った突きは、それが至極当然であるかのように大盾に防がれる。

 というか、この訓練が始まってから俺はこの人を一歩も動かせていない。

 今の攻撃だってわざわざ大盾を背後に回して防いできたし、デタラメすぎる。


「今の突きはいい線行ってたぞ?」

「そうです、かッ!!」


 突き立てた穂先を滑らせ、柄をしならせて跳躍、そのまま槍を振り下ろそうとして………こちらを照準するように掲げられた大盾。


「【盾突進(シールドチャージ)】」

「ガッ?!」


 鈍い打撃音、回る視界。

 浮遊感、半ば気を失いかけながら目を見開いたその上に──────大盾を振りかぶったアヴィンさんがいた。


「ちょっ待」

「【盾攻撃(シールドバッシュ)】」


 地面とキスした。




















「立ち回りは大体良かったが最後に焦ったな」


 ドカバキズドン!


「ですね、もっと慎重に動かないと………………あっ輸血パック飲みます?」


 ドパラタタタタタタッ!


「俺はドワーフだ。…………というか旨いのかそれ」


 ドゴンドゴンドゴン!


「B型はあまりおいしくないですね。甘すぎる。個人的にはО型が一番おいしく感じます」


 ドカアアァァン!


「…………そうか」

「というかギンカもアヤメも飛ばし過ぎでは?」


 えげつない密度と範囲の弾幕を張るアヤメに、長く伸びた黒腕を振るい、それを叩き落すギンカ。


「思いっ切り動いて昨日のことを少しでも忘れたいんだろう」


 なるほど理解した。


「そうだ、明日、魔王城の工房に行くぞ。いくつか装備を見繕っておきたい。何か欲しい装備はあるか?」

「無限再生する服を。流石に全裸で戦闘はきついので」

「…………………そうか」


 諦めたように溜息をつくアヴィンさん。

 真っ当な要求だと思うのだが、理由が分からない。


「ところで…………あれ、止めなくていいんですか?」

「あれっ、て……………」


 目の前には明らかに大技を撃とうとしているアヤメと、何やらチャージ中のギンカ。


「お前等その辺にしておけ!午後からも相手を変えて訓練だ!!」

「うにゃああああ!!!」

「アアアァアアアア!!」

「……………聞いてませんが?」

「お前等アアアァァ!?」


 キレて突撃するアヴィンさん。

 弾幕を張るアヤメ。

 止まらないギンカ。

 傍観する俺。

 卑怯者と罵りたいならそうしろ。

 俺にこの混沌(ケイオス)に乱入する蛮勇はない。

 昼食の用意を終えて呼びに来たリリアナが、奇怪な悲鳴を上げて流れ弾を回避する中、時間は過ぎていき──────────────


















「はあぁ……………‥お昼美味しかったあぁぁ………」


 満足そうな顔でお腹をさすり、ぐでっと倒れ込むアヤメ。

 昨晩、帰ってこなかった理由を聞きたいが、なんか嫌な予感がする。


「確かに、久し振りにお好み焼きを食べた」


 何食わぬ顔でギンカが口を拭う。

 ……………かなりの枚数の広島焼を食べていたはずだが、体形は変わらず。

 そのミニマムボディのどこに、あれだけの食い物が収まるのか分からな。


「…………死ねい」


 繰り出された正拳突きを躱し、膝蹴りを脛で止める。


「それを作った私は死にかけたんですけどね」

「アレは広島焼きだぞ?」

「………えっ、何それ聞いたことない」

「焼きそば麺が入ってるのが広島焼きで、そうじゃないのはお好み焼きだ」


 俺の料理の師匠(クラスの主夫系男子)直伝のレシピ。

 異世界の謎食材で再現したソレをレシピ帳に纏めて、リリアナに渡しておいたのだ。


「『オコノミヤキ』って言うのか?あれ。てっきりドワーフ焼の変わり種かと思っていたが…‥」

「ドワーフ焼とは?」

俺の故郷(鋼人の国)の郷土料理でな。干し肉や芋、あとは葉野菜なんかを小麦粉を水で練って作った種に入れて焼くんだが………これが火酒と合うんだわ」


 ニマニマと笑いながら言うアヴィンさん。

 嬉しそうだし旨そうだな。


「……………………なら今日の夕食のときに呑む?」


 こちらを見ながら言うギンカ。

 それ以前にコイツ…………


「お前、まだ12かそこらだろ。酒飲めるのか?」


 途端に全員からじろりと睨まれた。

 何故だ。


「失礼な。私は19歳。もうお酒も飲める」


 ギンカを見る。

 小さい。

 とても小さい。

 年上とは思えない。


「……………いや、それは無いな。お前みたいなちんちくりんが年上とかありえなアッガアァ!?」


 頭突きされた。

 顎に。

 普通に痛い。

 眼の前に星が散った。


「馬鹿にするなよ、雑魚が。酒ぐらい飲める」

「…………………………なら飲み比べでもするか?」

「上等。泣いても許さないから」

 

 互いに笑い合いながら部屋へ戻り。
































「ぅぅ…………………もう無理」

「お前弱いな」

「うるしゃい!」


 赤ら顔で恨めしそうにこちらを見つめるギンカ。


「あっはは♫赤くなっちゃって可愛い~!」


 テンション高めのアヤメが、ギンカを抱き締めて撫でまわす。

 奇妙な冒険の第5部が脳裏に過ぎる。


「ううぅ………ありがたいありがたい」


 泥酔したリリアナ。

 ……………コイツの一人称が吾輩でなくてよかった。


「お前等もっと静かに飲め」


 ものすごい勢いで()()()空にしていくアヴィンさん。

 ………うん。

 酒樽。

 この化け物め。


「にゅ~~ふん♫お酒た~のし~い!」


 カパカパと酒を飲むアヤメ。


「にゅのあぁぁ~~?」


 既に呂律の回っていないリリアナ。


「と、いう訳で~?恋バナ行ってみよ~~!はい、まずはリリアナちゃんから!」


 どういう訳だよ。


「そう、ですね。……………………優しくて、抱き締めてくれる人、ですかねぇ……」


 物憂げな表情で言うリリアナ。

 何も律義に答えなくても。


「じゃあギンカちゃんは?」

「どうでもいい。これ以上何か言うとセクハラで訴えるぞ」


 キレてらっしゃる。

 投げつけられた酒瓶をキャッチし、机の上へ。


「アヤメ、そもそもお前はどうなんだよ」

「どうって何が?」


 小首を傾げるアヤメ。


「好きなやつとかタイプとか」

「う~ん…………美少女?」

「分かったもういい」


 相変わらず、アヤメはアヤメのようだ。

 ………………まぁ、本人が幸せならそれでいいか。

 混乱と酩酊の中、夜は明けていく。



広島焼き[ロー●ン]喰いながら書いてた。ウメエ。







 





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