血と冒険と死亡宣告と
どこどこ書くぞい☆
喉の渇きで目が覚めた。
知ってる天井だった。
最近こういう事多いな。
それなりに見慣れた自室の天井。
脳味噌が悲鳴を上げる。
さっきから頭痛が酷すぎる。
水差しから水を注ぎ、ひりつく口の中にぶち撒けた。
上手く水が飲み込めない。
口から零れた水がベッドに落ちる。
治まらない渇き。
いつの間にか、水が無くなっていた。
漂ってくる、甘く蠱惑的に鼻腔を刺激する香りにつられて、階下に降りる。
キッチンで料理を作るリリアナの後ろ姿。
足音を立てないように、後ろから近づく。
「ん?………………レンさん!?起きていたんですか!?…………もう、本当に心配したんですよ?ちょっと待ってくださいね。もうすぐご飯ができるのでッ!?」
何か言い続ける獲物を後ろから抱きすくめ、首筋に牙を突き立てた。
赤い雫が口腔を通り、喉を流れて胃袋に滴り落ちる。
体の奥が熱く熱を持ち活力が満ちる確かな感触。
充足感とともに『まだ足りない』と俺を突き動かす衝動。
腹が減った。
「アグッ!?は、離して、、くださッい!ひゃっ…………」
最初こそ、僅かに抵抗していたが、それすら徐々にしなくなる獲物。
一度首筋から顔を離し、再度牙を突き立てようとして…………………
「リリアナちゃん♫お風呂あがったから入ってき、て…………うわあぁあああ!?何してんのバカやろおおぉぉぉ?!?!」
「グボラベビュラ?!」
混乱の絶叫と共に放たれた、焦げ茶色に逆巻く空中回し蹴り。
俺の延髄にヒットしたそれが、ゴキャアッといい音を立てて、俺の頸椎を粉砕する。
空中で2,3回転して床に落ちる俺。
俺の後頭部に華麗に着地するアヤメ。
へたり込むリリアナ。
なんだこのカオス。
「大丈夫リリアナちゃん?!」
「え、ええ。ちょっと体が熱っぽくはありますが……レンさんは?」
「………………あっ」
二人そろってこっちを見る。
ゴキャッだかメキャッだかよくわからない音とともに、あらぬ方を向いていた首が元の向きに戻る。
うん、問題なし。
「…………お兄ちゃん、自分を鑑定してみて?」
言われるままに自分自身を鑑定する。
レン・アガワ
種族:吸血の厄星
体力:A 魔力:B
攻撃力:S 魔法攻撃力:B
魔法防御力:F 防御力:F
速度:S
技能 剣闘術:LV10 幻闘術:LV10
白鯨式:LV6 呪刻:LV5
天歩:LV8 縮地:LV9
無拍子:LV10 氷魔術:LV10
大氷魔術:LV10 極氷魔術:LV6
死霊術:LV8 超速再生:LV10
吸血:LV10 鑑定:LV7
……………色々とステータスがおかしい。なんだよ防御力Fって。
アヤメの蹴りで首が折れた原因はこれか。
「お兄ちゃん、人間をやめるんだったら先に言ってよ」
「石仮面をかぶった覚えはないんだけどな」
「石仮面とは?」
「奇妙な冒険のことだよ、リリアナちゃん」
「………?」
ネタを振ってくるアヤメ。
遠い目をする俺。
通じないリリアナ。
究極生命体になりたかった。
せめて時止めさせて欲しかった。
「そういえば中央から目を覚まし次第来るようにと連絡がありましたが…………」
…………………早く言って欲しかったな、それは。
「急ぐぞ」
中央への道を歩く。
いつも通りの石畳にいつも通りの街並み、のはずなのだが……………
「?」
「どうかした、お兄ちゃん?」
「いや、…………町の様子少し変わったか?」
「そうでもないと思うけど…………」
空気の匂いに人混みの雑踏、風の流れ。
それら一つ一つの要素が、記憶のものより鮮明に思える。
いつも通り曖昧に笑うリリアナと、いつも通り何考えてるか分からない笑顔のアヤメ。
……………気のせい、なのか?
少しの違和感を抱いたまま、中央へ向かった。
中央のドアを開く。
いつも通りの喧騒が耳に飛び込んで………こなかった。
代わりに聴こえてくるのは念仏のような音楽。
壁に立て掛けられた誰かさんの白黒写真。
そこに写った仏頂面は俺にそっくりでってコレまさか…………………
「これより、地龍討伐の立役者、その片割れ。レン・アガワの葬送を始める」
知ってた。
なんだよ、この世界ではまだ生きている奴の葬式をするのか?
「彼はその命を懸けて地龍に挑み、これを討伐した。幼体とはいえこの功績は大きい。不死特例規律に基づいて、血族のアヤメ・アガワ嬢に大金貨120枚を授与し、これを以て褒賞と」
「俺はまだ生きてるぞ!!」
流石にいたたまれなくなってきたので待ったをかける。
一斉に俺の方を見る探索兵の、バケモノを見るような、恐怖の視線。
そんな死人を見るような目で見なくてもいいだろうに……………
「あ~………レン、お前は確かに死んでるんだよ」
諭すように言うおっさん。
そんなふざけた話があってたまるか。
「お兄ちゃん、リリアナちゃんの前で言うとそのまま後追いそうだったから黙ってたけど…」
不穏なことを言うアヤメ。
途轍もなく嫌な予感がする。
「…………お兄ちゃん、心臓止まってるからね?」
「そうか、今日が4月1日だったのか」
「違うから。ホントのことだから」
「何を馬鹿なことを、現に今も俺の心臓は、こうして脈を打って………………」
胸に手を当てる。
うんともすんとも言わない。
「……………ちょっとごめんね、お兄ちゃん」
いきなり、アヤメに口と鼻を塞がれた。
体温の高い手が、顔面に押し付けられる。
「………………ねぇ、息苦しかったりする?」
勿論、と答えようとして俺は少しも苦しくないことに気付いた。
「心拍もなく、息もしない。これって死んでるんじゃないの?」
………………嘘だろおい。
「………レン。ちょっとコレを見ろ」
「だから何が…………死亡診断書?」
「ああ、その通りだ。今のお前の状況を簡潔に説明するが……………理性ある不死者…………つまり、魔物みたいなものだな」
「嘘だろ」
「信じたくない気持ちも分かるが……………話は後だ。レン、アヤメ、お前らに連絡がある」
なんだろう。嫌な予感がする。
「お前ら移動な」
「「…………………はぁ?!」」
早くストーリーを進めたい。
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