痙攣と蛇と機関砲と
やったぞ!!昨日より短い!!!(どれくらいの文字数が読みやすいか教えてください)
目が覚めた。
知ってる天井だった。
起き上がれない。
頭痛い気持ち悪い眩暈がする思考がまとまらない。
脳内を蹂躙するデスメタルとヘビメタ。
隣でリリアナさんが吐いていた。
鼻にツンとくる、饐えた臭い。
ふらつく足と震える視界を動かし階下に降りる。
置いてあった背嚢から解毒ポーションを取り出し、一息に呷る。
脳裏を掠め過ぎ去っていく、アビスウォーカーの残像とデジャブ。
途端に楽になる体。
キッチンには誰もいない。
痙攣する手を気力で動かし、朝飯を作る。
肩をたたかれる。
振り返れば少し背伸びをしたアヤメ。
「アヤメお前大丈夫だったのか?」
「大丈夫って………食べ過ぎて少し苦しかったけど…………どうかしたの?」
「い、いや。何でもない」
あれを平然と食って、しかも無事とか……おかしいよ。
こんなの間違ってるよ。
「起きるのがっ、遅くなりました。っつうぅ。申し訳うっぷ、ございません」
フラフラと降りてきて盛大にコケるリリアナさん。
重症じゃないか。
「昨日あれだけ無茶したんだ。むしろそれが普通だ」
「大丈夫?リリアナちゃん?」
声をかけるアヤメを無視して解毒ポーションをリリアナさんに飲ませ、ソファーに横たえる。
「体調が良くなったら、昼飯と風呂の用意をしておいてくれ」
「ううぅ……………すみません」
朝飯は………市場の売店で適当に買っていこう。
家事の指示だけ出して中央に向かった。
今回俺達が受けた依頼は、Aランクモンスターヒュドラの討伐。
「あらよっとぉ!」
「ふにゃあぁぁああ?!目がああ、目があああ!!」
吐き出された毒液を回避する俺と、避けきれず顔面に直撃するアヤメ。
地龍の迷宮、68階層。
華麗な空歩再生するヒュドラ相手に、俺達は攻めきれずにいた。
奴がそれなりに堅いうえに、動きも早いせいで倒しきれない。
どこぞの神話と同じように傷口を焼けば再生は止まるらしいのだが、そもそも決定打にかける上に、俺が頭を切り落としてアヤメが傷口を焼くといった連携も、アヤメの狙撃能力から考えると勝算が低すぎる。
「あんのやろ~!よくも私のご尊顔に汚いものをかけてくれやがって!………お兄ちゃん!!ソイツさっさと殺しちゃってよ!!」
自前の解毒ポーションで回復したアヤメが俺に無茶振りをしてくる。
「俺もそうしたいんだがなぁ。切っても切ってもきりがないんだよ」
それを示すように先ほど切り落とした頭が再生する。
どや顔のヒュドラ。
たまるストレス。
「…………ねぇ。お兄ちゃん?」
背後から漂ってくる尋常じゃない重圧と圧倒的な熱量。
蛇に睨まれた蛙状態のヒュドラ。
恐る恐る振り返ると、笑っているのに目が笑っていないアヤメの顔。
「確かヒュドラって燃やすと再生しなくなるんだよね?」
「それはそうだが、切った後に焼く隙がな」
「だったら最初っから焼けばいいじゃない♫」
にこやかに言うアヤメ。
猛烈に嫌な予感がする。
腰だめに構えられた錫杖。
その先端に生まれた煌炎が白く輝き、無数に分裂、螺旋を描き回転を始める。
それはまるで地球の特撮で見た機関砲のようでっておいおいおいおい!!
「アッハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
「あっぶねえぇ?!」
なりふり構わず床に突っ伏す俺。
その上の空気を焦がしながら炎の群れが通り過ぎた。
無数の白熱した炎弾がヒュドラを薙ぎ払う。
異常な数の炎の弾丸がヒュドラを吹き飛ばし打ち据え焼いていく。
必死さを感じさせる悲鳴ごと、鱗を纏った巨体が焼かれていく。
「アハハハハハハハハハッ!」
狂気を帯びた目で撃ち続けるアヤメ。
ヒュドラ討伐まで、さほど時間はかからなかった。
「はい、ヒュドラ討伐の依頼達成、確かに確認しました。……………それにしても、これは」
「受付さん。世の中には知らない方がいいこともあるんですよ」
高笑いしながらヒュドラの上半身を蒸発させる魔法少女なんか知らない方がいいに決まってる。
「今日のお昼何食べる?」
「お前の作ったもの以外なら何でm「何か言った?」…………なんでも」
凄むアヤメと黙る俺。
二人そろって家に帰った。
「お帰りなさいませ。旦那様、お嬢様」
「ありがとーリリアナちゃん。それとむず痒いから私のことはアヤメでいいよ。私も呼び捨てにするから」
急に妄言を吐き出すアヤメ。
混乱するリリアナさん。
………もうリリアナでいいや。めんどくさくなってきた。
「それでリリアナ。今日の昼飯は?出来ていないなら今から作るが………」
「そっちもですか!?………まぁ、別にいいですけど………今日のお昼は私の故郷の料理を作らせていただきました」
若干膨れるリリアナと、早く飯を食わせろと無言で訴えかけてくるアヤメ。
促されるままに食卓について…………
「カレー?」
「嘘でしょ!?この世界にカレーってあったの!?」
驚愕するアヤメ。
実際俺もかなり驚いている。
「お二人ともご存じでしたか。少し残念です」
溜息をこぼしながら愚痴を言うリリアナ。
俺と同じく黒髪だし、リリアナの親か先祖が、地球出身なのかもしれない。
「私の故郷というか、獣人国でよく作られている料理で、死んだ母が良く作ってくれてそれで……」
俯くリリアナ。
握りしめた手から真っ赤な雫が垂れていた。
「すみません。大した話じゃないですよね」
「早くカレー食べよう?」
おい馬鹿空気読めよ。
溜息をつくリリアナと目を合わせ、カレーをいただく。
うん、辛くてうまい。
バーモ○トよりココ○○屋に近い味がする。
中辛だな。
「ああー辛くておいひい」
水をがぶ飲みしながらカレーを食べるアヤメ。「1から作った甲斐があります」と満足そうなリリアナ。……………1から!?
「このカレースパイスから作ったのか?」
「ええ。市場でスパイスがそろったので」
何でもないように「醤油が隠し味です」というリリアナ。
凄いな。
辛くておいしくて懐かしい昼飯を食べ、明日の計画を練った。
さあ続きを書くぞぉ「あんた~。ご飯できたで~」




