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『異世界狂騒録』~兄妹揃って異界に飛ばされたので好き勝手に生きる~  作者: 御星海星
兄妹と異世界と脱国と

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迷子と道とモヒカンと

世紀末ムーブ

 魔国に入ってから、おそらく二週間。

 俺たちは………………………道に迷っていた。

 それはもう迷っていた。

 そもそも、魔国の地理について何も知らないというのに逃亡先に選んだのが間違いだった。

「「この国を出よう」」などと暢気に宣った過去の自分を全力でぶん殴ってやりたい。

 ある晩、六本の腕を持つ蟷螂に夜襲をかけられた。

 刀もない上に置いてあった携帯食料もだめにされた状況で夜が明けるまで殴りあって撲殺した。

 火の二狩りも差さない昼の森で、金色の体毛と白銀の羽を持ち火を吐く獅子と出会った。

 速攻で逃げた。

 少し炙られた。

 死ぬかと思った。

 風呂も、まともな飯も無く。

 心身ともに疲れ果てた状態で、その他にもいろいろなやばい奴らと出会い逃げ続けて彷徨って心身ともに疲れ果てた俺達は……………………………


「み、ち?」

「やったぜ、やってやったぜ、二週間ぶりの文明だアアァ!!!」      

                       

 ようやく見つけた轍道。

 久々の人間の痕跡。

 歓喜に泣き叫ぶ俺。

 思えばこの二週間、何度も死にそうな目にあって。


「………………で、これどっちに進めばいいの?」

「グスッ、そりゃ町に向かって」

「町ってどっちにあるの?」


 しょっぱい水は一瞬で引っ込んだ。


「……………………取り敢えず前に進もう」


 森を彷徨っていたときも俺の氷魔法で氷を出して飲み水を確保したわけだし多分大丈夫でしょう。


「うん、きっと、たぶん、大丈夫だといいな」

「全然安心できないんだけど?!……………………まぁ、道沿いに進めば大丈夫だと思うけど」

「ならよし。このまま行けるとこまで行って……………………」

「どしたの?お兄ちゃん」

「いや、今なにか物音が…………………」


 空気を揺らす、高周波のような怪鳥音。


「何だこれ、爬虫類か?」

「知らないけど……………鳥とか?」


 二人揃って振り返りそして絶句した。

 街道らしきこの道を数台の馬車、いや、二足歩行の蜥蜴のような動物が引いているから蜥蜴車か?が爆走していた。

 いや、、まだそれはいい。

 明らかな異常事態だが、どうせ異世界のファンタジー生物だし別にいい。

 ………………問題は、何で傷だらけなのかだ。

 背中やら脚やら脇腹やらに鏃が突き刺さっている。

 身体から血を垂れ流し、泡を吹いているモノも居る惨状。

 その答えというか元凶はすぐにやって来た。


「ヒャッハアアァアーー!!!」 

「積み荷と女おいてけーー!!」

「ひいいぃ?!」


 盗賊ライフを満喫してしてそうな奴等が12人位と、それから逃げる蜥蜴車。

 ……………………盗賊から逃げる商隊ってところだろうか。


「助けるか。ついてったら町まで行けるかもしれないし」

「その方が良さそ「グァアッ?!」……………御者のおっちゃん、死んだくさいけど」

「よし、急ごう」


 踵を返して盗賊に突っ込む俺とアヤメ。

 全力で駆けながら拳を振りかぶり、近くにいたモヒカンを2、3人まとめて殴り飛ばす。

 一歩踏み込みモヒカンのモヒカンを鷲摑みにして投げ飛ばす。

 アヤメは後ろで敵の矢を防いでいるようだ。

 アイツの事だから危ない目には遭わないだろうが……………


「どいてお兄ちゃん!──《始原の種火》《転じて尖弾》《礫群がりて》《汝を穿つ》【炎弾:8連】!!!」

「アッツウァアア!?」


 俺の脇腹を拳大の火球が掠めた。

 斜め下に飛んだソレが、勢い良く地面に突き刺さって爆ぜる。


「アヤメ!撃つならよく狙え!!」

「だって狙っても当たんないんだもん」


 俺のすぐ側を通り過ぎた火炎弾が、哀れな盗賊に着弾し、黒焦げにする。

 直撃だったら死んでたかも。

 振り返ると唇を尖らせたアヤメ。


「もん、じゃねえんだよ。当たらないなら撃つなよ」

「は~い。せっかく役に立てると思ったのに………」

「ガキがフザケてんじゃねえよ!!」

「怯むなお前等!相手はひょろい武闘家モンクが一人に、チビの魔法使いが一匹だけ!!頭数はこっちが勝ってんだ!数で擦り潰せ!!」


 ……………馬鹿野郎。


「……………………………誰が、チビだって?」


 額に青筋を浮かべ、怖気すら感じるようなプレッシャーを立ち昇らせるアヤメ。

 アヤメの背後に、明王様の炎が見える。

 掲げられた杖の先に、獰猛なナニカが収束していき。


「あぁん?おチビちゃんは家に帰って、ママのおっぱいでも飲んでろよ」


 ブチ、と。

 そんな音が聴こえた気がした。


「誰が、チビだ!!」


 そんな叫びとともに放たれた爆炎が、盗賊をまとめて吹き飛ばした。

 断末魔をあげる暇もなく炭化する盗賊たち。

 必滅の一発を寸前で回避。


「……ツゥ、フゥッフゥ、フゥ……………」


 闘牛か何かのように肩で荒く息をするアヤメ。

 うちの妹が怖い。


「…………………あの、すみません。もしかして〈探索兵〉の方でしょうか?」

「あ˝ぁ˝?!」


 おそるおそる話しかけてきた堅肥りのおっちゃんが、狂犬に睨みつけられて縮こまる。

 アヤメ、ハウス。


「助けて頂いた商隊のブライアン・アギャンズというものです。見ての通り商人をさせて頂いております」

「こちらこそ丁寧にどうも。………………それで探索兵というとは…………………」

「おや、違われましたか。これはご無礼を。探索兵の説明については………………………じきに日もくれます。ぜひ龍車の中にお入りください。町まであと一日ほどありますのでゆっくり説明させて頂きます」


 異世界に来て、既に一ヶ月弱。ようやく広い知識が得られそうだ。




ほあっちゃアアア!!!

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