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逃走

俺は前世の頃の瑠璃の言葉を思い出していた。


「パパは何もしなくてもいつもいろんなことに巻き込まれてそれでいろんな人を守ろうとするんですから気を付けてくださいね。」


あの時の俺はそんなことないと思っていたが生まれ変わってからわかる。

この癖っていうより体質は変わってなかったんだな…(泣)


まぁ、そんなことは置いておくとして、この状況をどうするか。

何とか樋野さんの手をつかんで逃げることはできているが、後ろからついてきているのがわかる。


しかもまだこの状況をわかってない人がいる。

いきなり手を引かれれば状況をつかめれないのは当たり前のことだろうが。


しかもやっぱりこの子ってあの有名なところの娘じゃ。


あの有名とはこの世界には県ごとに一人多くても二人、貴族のような存在がいる。

その中には確かに樋野という人がいるが流石に同じ学校とは思わなかったが、ここまでくれば本物だろう。


「ねぇ…、急に…手を引っ張って…どう…したの…はぁ」


息が切れながら苦しそうに聞いてくる。

まだ子供だからか息が切れるのが早い。


しょうがない。


俺は隠れるように公園の草の中に入り事情を説明する。


「なんで私を狙ってるってわかったの?」


事情を説明すればその疑問が出るのは当たり前だろう。

子供にしてはその考えが出るのが早すぎだが。


「その答えはまたあとで」


草の陰から覗くと3人の男がいた。


「くそどこ行きやがった」


一人の男はイラついているようでベンチを蹴っていた。


その音に驚いたのか声が出そうになってくれたが抑えてくれた。


状況をすぐに理解してくれるのはありがたい。


「なんでしょうね。あの男の子は。まるで俺たちの行動がわかっていたみたいな行動をしてましたが。」


「知るかよ俺が。」


イレギュラーな俺に作戦を邪魔されたのが余計に苛立ちを誘ったのか荒々しく声を出していた。


これは今ならここを離れるチャンスかもしれない。


なので俺は小声で


「今から君を抱えるからこえださないでね」


少し戸惑っていたがコクコクとうなずいてくれた。

質問の返事を聞くと俺はすぐに行動に移し樋野さんを抱えて、フェンスを飛び越えた。


手も使わずに自分の身長より高いところを飛び越えたからか目を見開いていたが、静かにしてくれていた。


俺はそのままその公園を離れた。



何とかばれずに学校の校門まで戻ってくると黒い車が止まっていた。


「あれ、私の迎えの車」


あまり時間をかけずに男たちを撒けたのであまり大事にはなってないみたいだ。

使用人がおろおろとしていたが大丈夫だろう。…たぶん……。


俺は抱えていた樋野さんを降ろすと車のところまで走って行った。

使用人は驚いていたがなんともない姿を見てほっとしているようだった。


その後樋野さんは何か使用人に話していたがたぶんさっきまで起きていたことだろう。


すると樋野さんが自分のところまで走ってきた。


「ちょっと来て」


手を握られて車のところまで案内された。


「えっと宮野様でございますか?」


「そうですが」


すると使用人が頭を下げてきた。


「私は樋野家のメイド長を務めます朝野と申します」


メイド長。さすがにそこまですごい人とは思わず固まりそうになる。


「今回は明日香様を助けてくださりありがとうございます。後日になるとは思いますがきっと樋野家に足を運んでなるとは思いますご了承を。」


樋野さんが樋野家ということがわかっていた時点でそんな気はしていた。


「わかりました」


「………」


「えっと、どうかしましたか」


固まっている朝日さんを見て気になって聞いてみた


「いえ、子供とは思えない雰囲気だったので」


さすがに気づきそうになりますよね。


「気のせいではないですか」


一応とぼけたふりをする。


「…そうですね、すみません。それではそろそろ帰りますので」


よかった、深く聞いてくるような人じゃなくて。


「バイバイ」


樋野さんもそういうと車に乗り込みそのまま走り去っていった。


はぁ、入学式からこんなんだとこれから先どうなるか心配になってくるな。

そう思いながら今度は何事もなく家に帰って行った。

ありがとうございました。

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