過去とこれから
私はお母さんにとって邪魔な存在だったんだと思う。
そのことに気づいたのは幼稚園の頃。
最初はお母さんもちゃんと育ててくれていた。
そのころのお父さんは仕事が忙しくあんまり家に帰ってきてなかった。
でも帰ってきたときはいっぱいかわいがってくれている。
私が育っていくたびにお母さんの目はどんどん変わっていった。
最初は私も気づかなかった。いや気づこうとしなかった。
お母さんは優しいから、お母さんのことが大好きだったから。
ずっとお母さんについって行った。
幼稚園に入ると友達もたくさんできた。
いろんなことをお母さんに話した。
あれが楽しかった。あの人とこんなことをした。
でもその話をしていた時のお母さんの顔は笑顔だったけどどこか暗いような顔をしていた。
幼稚園に通って1年。異変が起こった。
いつも仲良くしてくれていた友達が急に遊んでくれなくなった。
それが一人や二人なら何も考えなかった。
でもほとんど全員が急に反応をしてくれなかった。
ただ楓ちゃんだけはいつも通りだった。
このことをお母さんに話すと
「そんなことがあったんだね」
お母さんはこのころから私には関心がなかったのだろう。
それでも私はずっと話し続けた。
でも話すたびにお母さんの私を見ている目が変わっていった。
ある日お母さんとお父さんが喧嘩してるところを見てしまった。
お父さんたちは外にいたため声は聞こえなかった。
そして幼稚園2年目が終わろうとしていたころ、夜にお母さんに呼ばれた。
お母さんの部屋に行くと真っ暗で誰もいなかった。
「お母さん。どこ?」
お母さんを呼ぶ。でも反応がない。
電気をつけようと奥に進もうとすると後ろから衝撃が来る。
でもそれは気絶するようなものではなく、転ばせるように倒された。
後ろを見るとお母さんが立っていたがなんだか様子が変だった。
「お母さん…」
お母さんは何も言わずゆっくりと近づいてくる。
それは不気味で後ろに下がろうとするが恐怖うまく動いてくれない。
そしてお母さんの手が首を絞めつけてくる。
「やめて…お母さん…くる…し…」
「どうして、あなただけこんなに幸せなの。私はもう…大助さんすら」
そういうとさらに締め付けがひどくなる。
死ぬと思った。
でもお父さんがお母さんを呼んでいると知らせに来たメイドに見つかったためそれは止められた。
☆
「そこからの記憶はあいまい。いつの間にかお母さんは家を出て行ってた」
それほどショックが大きいものだったのだろう。
当たり前だ。子供にとってお母さんという存在は偉大だ。
それなのに殺されそうになってしまった。
「お母さんが出て行った日ぐらいから私は襲われているの」
なるほど襲われたときとお母さんが殺そうとした日は近いからお母さんが明日香を狙っていると。
でも、
「…なんでそれがかかわってほしくない理由なんだ」
「実は友達がかかわらなくなった理由はお母さんが原因だったんだ。だから…。」
「俺がほかの友達と同じように離れていくかもしれないと」
「…うん」
一度起こったことがまた起こるかもしれない。
そんな不安があったから距離を置こうとした。
「あのさ…」
俺は明日香に抱き着く。
明日香は一瞬驚いたように震えた。
「家族だけで解決することも大切だ」
俺はそっと頭を撫でる。
「でも友達の白崎さんはずっとっしょにいてくれたんでしょ」
こくりと頷く。
「だから俺のことも信じてほしい。俺も明日香から離れないからさ。だから俺にも協力させてくれないか」
「………うん…」
明日香は泣いていた。
「これから…も…おねがいします」
「あぁ任せろ」
俺は普通の人生を送りたいと思っていた。
でも俺の普通はほかの人とは違うらしい。
困っている人がいればその人を助ける。それが俺の目指したいものらしい。
どうやら前世から変わってないな。




