表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スライムだけに使える最強チート!  作者: 六傘ヒロシ
第1章 紺碧の神子降誕編
18/42

17:女騎士と一戦交える(物理)

前回のあらすじ

ルインズの街に王国の騎士団がやってきた!

そして、エスカが兵団長にチアガールにスカウト!

私は!?


「君、ぜひチアガールとして大会で踊ってくれ!!」


「……は!?」


 エスカと私、そしてヤスタカが同時に叫ぶ。


「君のように可憐で美しい少女は見たことがない! さぁ、早く馬車に乗り込んでチアガールとして頂点を目指そう!」


 フレアはアイドルプロデューサのようなことを言って、エスカを馬車の方へグイグイ引っ張る。


「お、フレア殿! エスカだけは勘弁してください! エスカは私の娘でして、娘がいないと私は寂しくて死んじゃいます!」

「なにウサギさんみたいなこと言ってんだ、おっさん! ほんの4、5日留守(るす)するだけだから我慢しろ!」


「ゴホン」


「そんな殺生な! エスカが半日いないだけで禁断症状が出るのに!」

「麻薬かな?」

「とにかくエスカだけは勘弁を!」

「でも、他に若くて可愛い子いないんだろ!?」


「ゴホンゴホン!!」


「あ、そうだ! 私、ヤスタカがチアガールとして参加するのはどうでしょう!?」

「いやいや、おっさん! なにいってんだ!?」

「こう見えても、昔はタコ踊りのヤスなんて呼ばれてたんですよ!」

「聞いてねぇよ!」

「ああ、でも! 私がチアガールとして王国へ行ったら、どのみちエスカと離れ離れになってしまううううう」

「いや、そういう問題じゃないだろ!」


「ゴホンゴホン、ガハ、ガハ!! ボエエエエエエ!!」


「ええい、つーか誰だ! さっきからわざとらしい咳払いをしているのは!」

「神子様!」


 フレアとヤスタカが、コチラを見た。

 咳払いの主は、何を隠そう私。


 まったく、この超絶美しい私を無視してチアガールの話を進めるなんてどういう神経!?

 

「コホン、えっとフレアさん? 私がチアガールになろうか?」

「すまん、君のような学ランが似合う応援団長タイプは求めてないんだ」

「誰が学ランが似合う応援団長タイプだ! つか、学ランってこの世界にあんの!?」


「ガハッ!」


 声を荒げる私の横でエスカが吐血した。


「ちょ、エスカ大丈夫!?」

「み、神子様の学ラン姿……萌えます!」


 やりきった顔で親指を立てるエスカ。

 口から魂出てるよ?

 ああもう、ていうかなんなの!?

 どうして私がチアガールになれないのさ!

 おいこら、フレア隊長さんよ。

 いきなり出てきて、アンタ何様?

 そんなに可愛い娘にチアして欲しいなら……!


「アンタがチアガールにやれよ」

 

 私はフレアに対して、ついつい本音をポロリ。


 ざわ……!

 

 突然、兵士たちが動揺し始めたかと思うと、ゴゴゴゴゴゴ!

 フレアの周りにドス黒いオーラが蔓延!


「貴様……今なんて言った!」


 フレアは、射殺すような視線を私に向ける。

 

「いや、だから……アンタがチアガールやればいいじゃん、可愛いんだし」

「貴様あああああ!」


 フレアは、激昂して私の胸ぐらをつかんだ。


「私の顔を見ろ! この醜い隻眼を! この顔だけでなく、体にも無数の傷がある。この傷たちは私が女を捨て、兵士として生きることを選んだ証だ。そんな戦場に身を捧げることを誓った私にチアガールをやれだと!? 剣の代わりにポンポンを持って、鎧を脱いでスカートを履けというのか!? これほどの侮辱は初めてだ! 許さん、斬り伏せてくれるわ!!」


 そう言うとフレアは私を突き飛ばし、自らの腰に刺さった剣に手をかける!


「「うわああああああああ」」


 住民たちが蜘蛛の子を散らすように逃げ出した!

 私は、白目を向いたまま全身硬直。


 あわわわわわわ、まずいまずい!

 なんだか知らないけど地雷踏んじゃった!

 謝らなくちゃ、謝らなくちゃ……だ、だめだ、口が震えて声が出ない!


「やめて!!」


 人々が逃げ惑う中、声をあげたのはエスカだった。

 エスカは、今にも私に斬りかかろうとするフレアの前に立ち両手を広げる。


「どけ!」

「いいえ、どきません! アナタに言われた通り、チアガールとして王国へ行きますから、神子様は見逃してください、お願いですから!!」


 鬼のような表情を浮かべるフレアに対して、エスカは凛とした態度で懇願する。

 しかし、広げた両手はプルプルと震えていて。


 ああ、私ったら情けないなぁ。

 本来だったら、10歳くらい年下の女の子に守られちゃってさ。

 どうするの、私?

 このまま、エスカをチアガールにしちゃう?

 NO!

 ちょっとはお姉さんらしいとこ見せなきゃね!


「エスカありがとう。もう大丈夫」

「神子様?」


 私はエスカの前に歩み出ると、フレアの向かって高々と宣言した。


「私が王国へ行く……!!」


 

 ……。

 ……。


 場に流れる数秒の沈黙。

 その中で、フレアが。


「いや、だからそもそも、お前じゃチアガールになれないって言っただろ!」

「げっ、しまった!!」

「やっぱりお前、斬る! 斬る斬る斬る斬る切断する!!」


 怒りがピークに達したフレアは、とうとう抜刀!


「ひいいいいいい!!」


 もはやこれまで!

 覚悟を決めた、その時。


「待って、そうじゃないわ! 神子様は、チアガールとしてではなく、武闘大会の参加者として王国へ行くと言ったのよ!」


 エスカが、大声で叫んだ。


「……どういうことだ?」


 剣を止めて、首をかしげるフレア。

 私も同様に、?マークを頭に浮かべる。


「さっきの話によると、大会に参加できるのはBランク以上のステータスが必要なんでしょ? だったら、心配ご無用よ。何を隠そう神子様のステータスはSランクなんだから、優勝間違いなしよ!」


 エスカは、背後に波がザパンと波が打ち付けるような勢いで、腕組みをしながら堂々と宣言!


「おお、そうだそうだ! 神子様が出場すれば、他のチアガールは解放されるんだろ!?」

「神子様の力は半端ないんだぞ!」

「紺碧の神子様、万歳!!」


 エスカに呼応して住民たちが、百姓一揆のごとく拳を突き上げる。


 うむむむむむ、何かややこしいことになってきた……つまりどういうこと?

 私が武闘大会に参加?

 無理無理無理無理、だいたいSランクステータスは例のスライムチートが発動したってだけで、普段の私は見た目こそ若いが心はダメダメの24歳児。

 大会に出たところでフルボッコ必至。

 まともに日常生活を送れない体にされる可能性大。

 そんなリスクを背負って武闘大会に参加するなんて真っ平御免だ……ああ、でもでも、ここで何もかも正直にブチまけたら、それこそ住民たちからフルボッコにされるかも!

 ええい、しょうがない!


「ふふふ、その通り! 私は紺碧の神子。いざ行かん王国へ!!」


 紺碧の神子モード発動。


「ふん、何が紺碧の神子だ、訳のわからんことを! 第一、Sランクのステータス保持者なんて資料に載ってないぞ!」

「へっへーん、残念でした~! 神子様のステータスはさっきギルドで測ったばかりなのです。しかも、その時に神子様の力が強すぎて計測器が壊れちゃったんですから!」


 小馬鹿にしたような態度のフレアに、エスカは得意げに告げる。

 

「うんうん、確かにそうだけど、アレには色々事情があって……ていうか、エスカお願い。これ以上、ハードルを上げるようなこと言わないで!」

「いいえ神子様。ここは、どんどんアピールしていきましょう。兵士の皆さん聞いて驚かないでよ! なんと神子様はさっきダンジョンでドラゴンをたった1人で倒したんだから!」


「え……ドラゴン!?」

「嘘だろ!?」


 兵士たちが、どよどよとザワつく。

 そんな中、

 

「ほう……数十人以上の部隊を編成してようやく倒せると言われているドラゴンを1人で倒したというのか」

 

 ザシュッ!!

 突然フレアは何を思ったのか、手に持っていた剣を私の目の前に突き刺した。


「え? え?」

「面白い、ならばドラゴンを倒したという力、私に示してみろ! 貴様に相応の実力があるなら、娘たちを解放してやる。さぁ、その剣を取ってかかってこい!!」


 そう言って隻眼少女は近くにいた兵士から剣を受け取り、構える。


「うおおおおお、神子様と王国騎士団長の一騎打ちだ!」

「神子様がんばれえええええ!!」

「神子様が勝つ方に50ドール!!」


 目の前の急展開に盛り上がる住民たち。


 いやいやいや、冗談でしょ!?

 なんで私が、フレアと一戦交えなきゃいけないのさ!

 普通に考えて、勝てる訳ないじゃん!


「無理無理無理無理」


 ブツブツ呟きながら後ずさりする自分の背中にドン。

 振り返るとエスカとヤスタカが。


「神子様、頑張ってください!」

「絶対、勝てます!!」


 ええいこの親子め、人の気も知らないで!

 ああ、でもここで逃げたら紺碧の神子ブランドはガラガラ崩壊。

 ……やるしかないの!?


 地面に刺さった剣に視線を移す。

 磨かれた刀の表面には、この世の終わりのような顔をした私が写っていて。


「……ゴクリ」


 生唾を飲み込んで剣に手を伸ばした、その時。



「「「ちょっと、待ったああああああ!!」」」


広場に響いた声は……まさかあの兄弟!?

読んでいただきありがとうございました!

次回更新は、明日の19時ごろになります!

ブクマ評価、感想、ぜひお気軽にどうぞ!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ