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私と冒険者と日常  作者: アイリス卿
王都ベルンイン編
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第4話 美味しいご飯とお酒

 川で不思議な出会いをして、精霊と魚達に感謝をしながら休憩をした私達は夕方に目的の村へと到着した、コロナ村と呼ばれ近くにある川と小さな森から捕れる食物を加工して大きな街へと持っていき売ることで生計を立てている家庭が多くここに立ち寄る冒険者が多い為か酒場と宿屋があるのが特徴らしい。


 長旅で疲れていた私達は早速宿を取り酒場で食事をすることにしたのだ。そこで出て来た食事はとても美味しそうだった。ミニボアの丸焼きとクーレを酒場特製ソースで絡めて食べるサラダ、ポロの実と呼ばれる甘酸っぱい果実の爽やかな飲み物、パンプキリンというほんのり甘いオレンジ色の野菜の実を使ったコロというスープ。焼きたてのフィンという細長いパン、美味しそうな香りが達が私の鼻に入ってくる。


「美味しそうだ。さぁ食べようか。いただきます。」

「うんっ、頂きます」


 私は最初にコロというスープに口を付けた、広がる自然な甘さは旅の疲れを解してくれる。後味に残る少しピリっとした辛さは何かの香辛料だろうか? いくらでも飲めてしまいそうなるほど美味しくて病みつきになってしまいそうだ。次はフィンを食べてみよう、歯を立てるとカリッと良い音を鳴らし麦の香ばしい香りを感じられて素材の味がよくわかるパンだ。


「美味しそうに食べるなお嬢さん、フィンをもう一つあげよう、コロのお代わりもあるから欲しくなったら言うんだぞ?」

「いいんですか? あ、でも彼にも頂けないなら私は結構です。」

「ハハッ、いい嬢ちゃんじゃねぇか‥‥ほら、兄貴のほうにもサービスしてやるから食べてくれよ。」

「わぁ、ありがとうございますっ」


 酒場の店主は気のいいお父さんだった、シリウスが私によかったなと優しく目を細めてくれた。気が付けば周りにいるお客さんも私達が食べている料理をこぞって頼むようになっていてお嬢さんのお陰で今日は大黒字だと言って食事の代金は払わなくていいと言ってくれたのだ。


「嬉しいっ」

「ふふっ、そうか。」


 シリウスと仲良く食べている私を見て、数々の冒険をしてきた屈強な男の人達も柔らかい笑顔で見ていてくれた。一部の人達はシリウスを凄く熱い目で見ていたけどシリウスはそれに気づかないフリをしていた。


「食べたら部屋に戻ろうか、今夜は早め休もう。」

「うんっ」


 同じ部屋に泊まるのか!? ふざけるな!! んな訳ないよなぁ・・・!? やめてくれそれは!! 許せねぇあの男!! 一体どんな手を使ったんだ!? と何処からか聞こえてくる気がしたけど気のせいかな? シリウスは少し顔が引きつっていたけど‥‥うん、気のせいってことにしておこう。


 シリウスといるとやっぱりよくこんな声を聴く気がする、シリウスがカッコイイから? でも聞こえた気がしたのは男の人の声なんだよなぁ‥‥なんでだろ? 女の人の冒険者の人達は私を見るとみんな抱きしめようと揉みくちゃにされる‥‥それと必ず女の敵ってシリウスが言われてて、なんだか可哀そうに思えるときがあるのだ。


 シリウスはもう慣れてしまったのか、涼しい顔をしながら汗をかいていた、本当どうしたんだろう‥‥?


「私と一緒に居ると‥‥困る?」

「そんな訳ないだろう、ずっと一緒に居るつもりなんだからそんな事を言うな。」


 不安になってしまった私は聞いてしまったのだ、捨てられてしまうのは嫌だ。


「俺が君を助けたのは気まぐれでもなんでもない、使命感があったからだ、これからも一緒に居ると言ったのは俺が傍に居たいからなんだぞ。」

「うん‥‥ありがとう。」

「‥‥ありがとう、か‥‥」


 シリウスは何故か落ち込んでいた。少しは分かるようになってきたけど貴方のそういう所はまだよくわからない。


 ざまぁみろ!! そりゃそうだ!! ご愁傷様!! そんな声がまた聞こえた気がした。後ろや横の席で冒険者の人達は既にお酒が入っているのかみんなゲラゲラと笑っていた。みんな楽しそうでよかった。


「ふぅ、お腹いっぱい。眠い‥‥。」

「はははっ、たくさん食ってくれてありがとうお嬢さん、今日はゆっくり休んでくれ、おい母ちゃん!お嬢さんを送ってってやってくれ」

「はいよ、さぁ、帰りましょう」


 シリウスも一緒に帰ろうとしたが‥‥おじさん達に囲まれて何かを悟った顔をしていた。


「あれ? シリウス?」

「気にしちゃだめよ、男ってのはバカな生き物だから、好きにさしてやんなさい。」


 酒場のお母さんは苦笑いをしながら私を連れて宿屋へと送ってくれた。次の日の朝までシリウスは帰ってこなかったが、酒場にシリウスを探しに顔を出してみると、顔に傷を作って酔いつぶれてほかの冒険者の人達と一緒にいびきをかいて寝ていた‥‥楽しんでたみたいでよかった。

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