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私と冒険者と日常  作者: アイリス卿
王都ベルンイン編
43/47

第43話 両親への道7

‥‥砂糖が口から出そうだ。

「ん‥‥‥‥」


 鳥がちゅんちゅんとうるさい。もう起きる時間が来ちゃった。


「んー・・・?」


 隣の布団でシリウスがスース―と寝ている。

 口を開けて、若干いびきをかいているみたい。

 意外と可愛い。


「顔あらお‥‥」

 

 布団から出て、井戸へとやってきた私は、意外と思い縄を引っ張り、桶に入った水に手をつけ、顔に思い切り当てる。

 冷たいけど、爽やかな気分になる。


「今日も、頑張って歩かなきゃね。」


 明るく照り付ける太陽が眩しくて、手をかざす。指の間から光が私の顔を照らして、暖かい。

 ついこの間までこんな事出来なかったのに、今の私は出来てる。

 とても喜ばしいことなんだなって思う。


「起きたのか、アラン。」


 窓から眠そうな顔をしたシリウスが私に声を掛けて来る。起こしちゃったかな。


「うん、おはようシリウス、よく眠れた?」

「あぁ、そこに居てくれ、すぐに行く。」


 こっちに来るみたい、大人しく私は待ってることにしよう。


「お待たせアラン、桶を貸してくれ。」

「うん。」


 桶に顔ごと突っ込んで顔を洗うシリウス、朝から豪快だ。

 彼を見て居ると、寝ぐせがついている髪に目がつく。

 触ってみたい。


「‥‥‥‥」


 よし、触ることにしよう。


「ん、なんだ?」

「寝ぐせついてると思って。」


 彼は、そうか、と言ってそのまま顔を洗い続ける。

 お許しが出たので触る、結構堅いけどふわふわして面白い。


「アランも寝ぐせがついてるぞ。」

「え‥‥‥‥」


 やられるがままなシリウスじゃない、私の頭を見てニッコリしながら手を伸ばしてくる。

 そのままワシャワシャされて‥‥寝ぐせが更にひどくなりそうだった。


「やめてよ‥‥直すの大変なんだから。」

「君だって俺の寝ぐせで遊んだろう? お互い様だぞ。」


 寝起きのシリウスは少し子供っぽい。孤児院に居た時の弟分みたいな‥‥


「ハハハッ、アランの髪は柔らかいな。」

「もう‥‥」


 それでも、目はとても優しかった。

 私は彼の優しそうに細める目が好き。


「なんだ‥‥? 顔に何かついてるか?」

「べ、べつに。なんでもないよ。」


 ジッと見てしまっていた私に気付かれた。

 少し恥ずかしくなって目を逸らす。


「ふふっ‥‥」


 シリウスはワシャワシャから撫でるほうに手を動かし始める。私の機嫌を取ろうとしてるのかな。


「子供じゃないよっもう大人だよっ」

「まぁまぁ、させてくれよ。」

「‥‥むぅ」


 そのまま少し、私はされるがままだった。


‥‥砂糖が‥‥

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