第43話 両親への道7
‥‥砂糖が口から出そうだ。
「ん‥‥‥‥」
鳥がちゅんちゅんとうるさい。もう起きる時間が来ちゃった。
「んー・・・?」
隣の布団でシリウスがスース―と寝ている。
口を開けて、若干いびきをかいているみたい。
意外と可愛い。
「顔あらお‥‥」
布団から出て、井戸へとやってきた私は、意外と思い縄を引っ張り、桶に入った水に手をつけ、顔に思い切り当てる。
冷たいけど、爽やかな気分になる。
「今日も、頑張って歩かなきゃね。」
明るく照り付ける太陽が眩しくて、手をかざす。指の間から光が私の顔を照らして、暖かい。
ついこの間までこんな事出来なかったのに、今の私は出来てる。
とても喜ばしいことなんだなって思う。
「起きたのか、アラン。」
窓から眠そうな顔をしたシリウスが私に声を掛けて来る。起こしちゃったかな。
「うん、おはようシリウス、よく眠れた?」
「あぁ、そこに居てくれ、すぐに行く。」
こっちに来るみたい、大人しく私は待ってることにしよう。
「お待たせアラン、桶を貸してくれ。」
「うん。」
桶に顔ごと突っ込んで顔を洗うシリウス、朝から豪快だ。
彼を見て居ると、寝ぐせがついている髪に目がつく。
触ってみたい。
「‥‥‥‥」
よし、触ることにしよう。
「ん、なんだ?」
「寝ぐせついてると思って。」
彼は、そうか、と言ってそのまま顔を洗い続ける。
お許しが出たので触る、結構堅いけどふわふわして面白い。
「アランも寝ぐせがついてるぞ。」
「え‥‥‥‥」
やられるがままなシリウスじゃない、私の頭を見てニッコリしながら手を伸ばしてくる。
そのままワシャワシャされて‥‥寝ぐせが更にひどくなりそうだった。
「やめてよ‥‥直すの大変なんだから。」
「君だって俺の寝ぐせで遊んだろう? お互い様だぞ。」
寝起きのシリウスは少し子供っぽい。孤児院に居た時の弟分みたいな‥‥
「ハハハッ、アランの髪は柔らかいな。」
「もう‥‥」
それでも、目はとても優しかった。
私は彼の優しそうに細める目が好き。
「なんだ‥‥? 顔に何かついてるか?」
「べ、べつに。なんでもないよ。」
ジッと見てしまっていた私に気付かれた。
少し恥ずかしくなって目を逸らす。
「ふふっ‥‥」
シリウスはワシャワシャから撫でるほうに手を動かし始める。私の機嫌を取ろうとしてるのかな。
「子供じゃないよっもう大人だよっ」
「まぁまぁ、させてくれよ。」
「‥‥むぅ」
そのまま少し、私はされるがままだった。
‥‥砂糖が‥‥




